LINE公式アカウント運用 読了時間: 1分

医療・福祉業界におけるLINE活用最前線|業務効率化と患者満足度向上の事例集

2025年12月3日

医療・福祉業界におけるLINE活用最前線|業務効率化と患者満足度向上の事例集

KUREBA

人手不足、増え続ける業務負担、そして患者や利用者とのコミュニケーションの複雑化。これらは、現代の医療・福祉業界が直面する深刻な課題です。2023年度の調査では、医業利益が赤字の病院が約7割にのぼるなど、経営環境は厳しさを増しています。このような状況下で、業務を効率化し、患者・利用者満足度を高めるための新たな一手として、「LINE」の活用が急速に注目を集めています。

はじめに:なぜ今、医療・福祉業界でLINE活用が求められるのか

LINEは、日本国内で9,700万人以上が利用するコミュニケーションアプリであり、もはや社会インフラの一部です。特筆すべきは、近年60代以上の利用率も急増し、高齢者の約9割が「毎日使っている」という調査結果もあるほど、世代を問わず浸透している点です。患者や利用者が日常的に使うツールを活用することは、医療・福祉サービスを提供する側にとって、これまでにない多くの可能性を秘めています。

専用アプリのダウンロードといった手間をかけることなく、予約、問い合わせ、重要情報の受け取りが普段使いのアプリで完結する利便性は、患者・利用者にとって大きなメリットです。一方、医療機関側も、電話対応の削減や情報伝達の効率化、さらには患者との関係構築に至るまで、多岐にわたる課題を解決する強力なツールとなり得ます。

本記事では、医療・福祉業界におけるLINE公式アカウントおよびLINE WORKSの具体的な活用事例を交えながら、そのメリット、成功のポイント、そして導入にあたっての注意点を網羅的に解説します。

LINEがもたらす5つの変革:医療・福祉現場の課題解決

LINEを導入することで、医療・福祉現場は具体的にどのようなメリットを享受できるのでしょうか。ここでは、5つの主要な変革について掘り下げていきます。

メリット1:業務効率化とコスト削減

現場の負担を最も軽減する効果の一つが、業務の自動化と効率化です。特に、電話での問い合わせ対応は、受付スタッフの大きな負担となっています。診療時間やアクセス方法といった「よくある質問」にチャットボット(自動応答)で対応することで、スタッフは本来集中すべき業務に時間を使えるようになります。あるクリニックでは、自動応答の導入で電話対応時間が約30%減少したという事例も報告されています。

また、介護現場では記録業務が大きな負担となっていますが、LINEを活用した記録システムを導入したことで、記録に要する時間が3分の1に減少したケースもあります。さらに、山口総合健康センターの事例では、各種案内を紙からLINEに切り替えたことで、年間40万円の経費削減に成功しました。これらの事例は、LINEが人件費や印刷・郵送費といった直接的なコスト削減にも貢献することを示しています。

メリット2:患者・利用者とのコミュニケーション強化

LINEのメッセージ開封率は平均60%とも言われ、メール(約10〜20%)と比較して圧倒的に高いのが特徴です。これにより、休診や診療時間変更、災害時の案内といった緊急性の高い情報を迅速かつ確実に届けることができます。

介護施設では、利用者家族とのコミュニケーションツールとしても威力を発揮します。日々のケアの様子を写真や動画で共有することで、離れて暮らす家族に安心感を与え、信頼関係を深めることができます。電話ではタイミングが合わないことも多いですが、LINEならお互いの都合の良い時に確認・返信できるため、コミュニケーションが円滑になります。

メリット3:予約管理の最適化とキャンセル率の低減

「電話が繋がらない」「診療時間内に電話できない」といった予約時のストレスは、患者が来院をためらう一因です。LINEと予約システムを連携させれば、患者は24時間いつでも好きなタイミングで予約・変更が可能になり、利便性が飛躍的に向上します。

さらに強力なのが、予約日時のリマインド機能です。「うっかり忘れ」による無断キャンセルは、医療機関にとって大きな機会損失ですが、予約前日にLINEで通知を送ることでこれを大幅に削減できます。あるクリニックでは、リマインド機能の導入後、キャンセル率が約40%減少したとの報告もあります。急なキャンセルが出た場合も、キャンセル待ちの患者に一斉に連絡できるため、予約枠を無駄なく活用できます。

メリット4:再診率・リピート率の向上

安定した経営基盤を築くには、新規患者の獲得だけでなく、既存患者との関係を維持し、再診につなげることが不可欠です。LINEは、そのための効果的なツールとなります。

例えば、友だち追加後の患者に対し、段階的にメッセージを自動配信する「ステップ配信」機能を使えば、クリニックの理念や医師の紹介、健康に関する豆知識などを送ることで、患者の知識を深め、信頼感を醸成(ナーチャリング)できます。ある調査では、ユーザーがLINE公式アカウントに期待する情報として「クーポンやお得な情報」が最も多い結果となっており、定期的なクーポン配布やポイントが貯まるショップカード機能も、再来院のきっかけ作りとして非常に有効です。

また、診療後のフォローアップメッセージや、定期検診の案内を自動で送ることで、患者との接点を維持し、リピート率向上に繋げた成功事例も報告されています。

メリット5:採用活動の効率化

LINEは患者・利用者向けだけでなく、人材採用の場面でも活用できます。採用サイトや求人広告にLINE公式アカウントへの導線を設け、採用窓口として利用することで、応募者とのコミュニケーションがスムーズになります。メールよりも気軽に質問できるため、応募のハードルが下がり、優秀な人材との接点を増やせる可能性があります。面接予約の調整などもLINE上で完結できるため、採用担当者の業務負担を軽減し、採用コストの削減にも貢献します。

【ケース別】医療・福祉現場でのLINE活用事例

LINEの活用は、対外的なコミュニケーション(LINE公式アカウント)と、組織内の連携(LINE WORKS)の二つの側面に大別できます。それぞれの具体的な成功事例を見ていきましょう。

対患者・利用者向け活用(LINE公式アカウント)

LINE公式アカウントは、患者や利用者、その家族との直接的なコミュニケーションを担います。

  • 皮膚科クリニックの事例:予約数120%を記録
    ニキビ治療専門の「アクネクリニック」は、リッチメニューに「予約」ボタンを常設。タップするとチャットボットが起動し、簡単な問診に答えるだけで予約が完了する仕組みを構築しました。これにより、予約対応の工数を削減しつつ、予約数を大幅に向上させました。
  • 内科・小児科の事例:シンプルな機能で予約比率が増加
    「水ノ江医院」では、メッセージ配信で予防接種の案内やHPへの誘導を行い、チャット機能で予約を受け付けるという基本的な機能を活用。特別なツールを使わずとも、Webやチャット経由での予約比率を増加させることに成功しています。
  • 介護施設の事例:家族との信頼関係を構築
    介護施設では、利用者家族とのコミュニケーションツールとしてLINEが活用されています。テキストだけでなく写真や動画で日々の様子を報告することで、家族は利用者の状況を視覚的に把握でき、安心感につながります。また、請求書送付などの事務連絡を電子化し、郵送コストや確認作業の負担を軽減する動きも進んでいます。

職員・組織内連携向け活用(LINE WORKS)

LINE WORKSは、セキュリティが強化されたビジネス版LINEです。職員間の情報共有や多職種連携を円滑にし、医療・介護の質と安全性を高めます。

  • 病院DXの事例:多職種連携で急患対応を迅速化
    「白十字病院」では、脳卒中センターでLINE WORKSを導入。救急隊からの患者情報を担当医師がグループトークに投稿することで、看護師、放射線部、手術室など関係各署が一斉に情報を共有。これにより、チーム全体で迅速に治療を開始できる体制を構築しました。電話による伝言ゲームがなくなり、情報の正確性とスピードが格段に向上しました。
  • コロナ禍での情報共有事例:院内感染ゼロを達成
    「済生会栗橋病院」は、コロナ禍でLINE WORKSを導入。不確かな情報が飛び交う中、コロナ対応事務局が正確な最新情報を集約し、全職員に一斉配信。また、発熱患者の動線や感染防止策のノウハウを動画や画像付きで共有・更新し続けることで、3,000名以上のPCR検査を行いながら院内感染ゼロを維持しました。
  • 在宅医療・介護の事例:音声入力で記録業務を効率化
    訪問介護やケアマネジャーの業務では、移動中や利用者宅で記録を取る時間が限られます。「LINE WORKS AiNote」のようなAIツールを使えば、会話を録音するだけでAIが要約付きの議事録を自動作成。これにより、記録作成の時間が大幅に短縮され、本来のケア業務に集中できるようになります。「言った・言わない」のトラブル防止にも繋がります。

LINE活用を成功させるためのポイントと注意点

LINEの導入効果を最大化するためには、戦略的な運用といくつかの注意点を押さえることが重要です。

成功への4ステップ

  1. 目的の明確化と運用方針の策定
    「何のためにLINEを導入するのか」を明確にします。「電話対応の負担を20%削減する」「再診率を10%向上させる」など、具体的な目標(KPI)を設定し、配信内容、頻度、担当者を定めた運用マニュアルを作成することが、一貫性のある運用の第一歩です。
  2. 友だちを増やす施策
    アカウントを開設しても、友だちがいなければ情報は届きません。院内の受付や待合室にQRコードを記載したポスターやチラシを設置する、診察券にIDを記載する、会計時にスタッフから直接声かけをするといった地道な活動が最も効果的です。また、ウェブサイトやSNSにも友だち追加への導線を必ず設置しましょう。
  3. 有益な情報の継続的な配信
    友だちを維持するためには、ブロックされないよう有益な情報を提供し続ける必要があります。休診情報や予約リマインドだけでなく、季節の健康情報や予防に関するコラムなど、患者にとって役立つコンテンツを配信しましょう。ただし、配信頻度が多すぎるとストレスになるため、週1〜2回程度が目安とされています。
  4. 効果測定と改善(PDCAサイクル)
    配信したメッセージの開封率や、リッチメニューのクリック率などのデータを定期的に分析します。「どの情報に関心が高いか」「どの時間帯の反応が良いか」を把握し、配信内容やタイミングを改善していくPDCAサイクルを回すことが、運用の質を高める鍵となります。

運用上の注意点

  • 個人情報とプライバシーへの配慮
    医療・福祉情報は極めて機微な個人情報です。LINEで個別のやり取りを行う際は、必ず事前に本人や家族から同意を得る必要があります。また、一斉配信では個人が特定できるような内容を含めないよう、細心の注意を払いましょう。
  • 情報漏洩への対策
    LINE自体のセキュリティは高いですが、誤送信などのヒューマンエラーは起こり得ます。送信前の宛先確認を徹底するなど、院内でのルールを整備することが重要です。
  • 非利用者への代替手段の確保
    スマートフォンを持たない高齢者など、すべての人がLINEを利用できるわけではありません。LINEを使わない利用者にも情報が届くよう、電話や郵送といった代替手段も必ず用意しておく必要があります。

拡張ツールと専門家による支援の活用

LINE公式アカウントの基本的な機能だけでも多くのことが実現できますが、「Lステップ」のような拡張ツールを導入することで、さらに高度な運用が可能になります。

例えば、患者の年齢や性別、過去の診療内容に応じてメッセージを送り分ける「セグメント配信」や、来院後のアンケートで高評価を付けた患者にのみGoogleマップへの口コミ投稿を依頼する、といった施策を自動化できます。これにより、よりきめ細やかなコミュニケーションとマーケティング活動が実現します。

しかし、「どのツールを導入すれば良いかわからない」「運用するリソースがない」といった悩みも少なくありません。そのような場合は、専門家の支援を受けるのも有効な選択肢です。例えば、合同会社KUREBA(kureba.co.jp)のようなLINE公式アカウントの運用支援を専門とする企業は、医療・福祉業界の特性を理解した上で、戦略立案からコンテンツ作成、効果測定までをトータルでサポートしてくれます。プロの知見を活用することで、失敗のリスクを抑え、最短で成果を出すことが期待できるでしょう。

まとめ:未来の医療・福祉を支えるコミュニケーション基盤へ

本記事で見てきたように、LINEはもはや単なる連絡ツールではありません。患者・利用者にとっては利便性と安心感を高める窓口となり、医療・福祉施設にとっては業務効率化、コスト削減、そして患者との関係強化を実現する強力な経営ツールとなります。

LINE公式アカウントによる情報発信や予約管理、LINE WORKSによる組織内連携、そしてAIツールとの連携による記録業務の自動化――。これらの活用は、スタッフの負担を軽減し、本来注力すべき「人と向き合う時間」を生み出します。この時間と心のゆとりこそが、最終的に医療・介護の質を向上させる最も重要な基盤となるのです。

厳しい経営環境が続くと予測される中、LINEを戦略的に活用し、患者・利用者から「選ばれる」ためのコミュニケーション基盤を築くことは、これからの医療・福祉機関にとって不可欠な取り組みと言えるでしょう。

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