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不要なWindows PCを最強のAIアシスタントハブに変える:Clawdbot完全活用ガイド

2026年1月29日

不要なWindows PCを最強のAIアシスタントハブに変える:Clawdbot完全活用ガイド

KUREBA

自宅で眠っている古いWindows PCはありませんか?性能不足でメインマシンとしては使えなくなったものの、捨てるには惜しい。そんなPCを、24時間365日稼働する強力なパーソナルAIアシスタントハブとして蘇らせる方法があります。その鍵となるのが、オープンソースのAIエージェント「Clawdbot」(現在はMoltbotに改名)です。

この記事では、不要になったWindows PCにClawdbotをインストールし、SlackやDiscordと連携させて日々の業務や情報収集を劇的に効率化するための具体的な手順と活用法を、ステップ・バイ・ステップで徹底解説します。

はじめに:Clawdbotとは何か?

Clawdbotは、単なるAIチャットサービスではありません。ChatGPTやClaudeのような大規模言語モデル(LLM)を「頭脳」として利用し、ユーザーのデバイス上で動作する「手足」となるAIエージェントです。ローカルで実行されるため、プライバシーを確保しながら、PC内のファイル操作、ブラウザの自動化、コマンド実行など、より高度で実践的なタスクを実行できます。

Clawdbotは、特定のAIモデルそのものではなく、様々なAIモデルを切り替えて利用できる「ラッパー」であり「オーケストレーター」です。これにより、タスクに最適なモデルを選択し、PC上のツールと連携させることが可能になります。

古いPCをClawdbot専用サーバーにすることで、以下のようなメリットが生まれます。

  • 常時稼働:PCをつけっぱなしにすることで、24時間いつでもSlackやDiscordからAIアシスタントに指示を出せます。
  • コスト効率:高価なMac miniなどを新規購入することなく、手持ちの資産を有効活用できます。クラウドの無料枠を利用する方法もありますが、ローカルPCならより高い自由度とコントロールが得られます。
  • データプライバシー:全ての処理がローカルで完結するため、機密性の高い情報も安心して扱えます。

Clawdbotで何ができるのか? 可能性を最大限に引き出す

Clawdbotの真価は、その圧倒的な拡張性と連携能力にあります。SlackやDiscordと組み合わせることで、単なる対話相手から、業務を自動化する強力なパートナーへと進化します。

コア機能:単なるチャットボットを超えて

Clawdbotは、他のAIサービスとは一線を画すユニークなアーキテクチャを持っています。

上図のように、Clawdbotは「Gateway」と呼ばれる制御プレーンを中心に構築されています。ユーザーはWhatsApp、Slack、Discordなど様々なメッセージングアプリからGatewayに接続し、そこからAIエージェント(Pi agent)を介してタスクを実行します。この構造により、以下のような強力な機能が実現されています。

  • マルチチャネル対応:WhatsApp, Telegram, Slack, Discord, Google Chat, Signal, iMessageなど、10種類以上のプラットフォームに対応。普段使っているツールから離れることなくAIと対話できます。
  • スキルによる機能拡張:Clawdbotの能力は「スキル」によって無限に拡張可能です。コミュニティが作成した565以上のスキルが公開されており、Web検索、Git操作、画像生成、ドキュメント要約など、あらゆるタスクに対応できます。
  • 高度なエージェント機能:ブラウザを自動操作して情報を収集したり(Browser Control)、PC上でコマンドを実行したり(Elevated bash)、cronジョブで定期的にタスクを実行したりと、PCそのものをエージェントとして活用できます。

Slack/Discord連携による具体的な活用例

SlackやDiscordと連携することで、Clawdbotはチームの生産性を飛躍的に向上させるツールになります。

開発ワークフローの自動化

開発チームでは、定型的な作業が数多く発生します。Clawdbotを使えば、これらを自動化し、開発者は本来の業務に集中できます。

  • コードレビューの効率化:特定のブランチがプッシュされたら、Clawdbotが自動でプルリクエストを作成し、関連するSlackチャンネルにレビュー依頼を通知する。
  • デプロイ通知:CI/CDパイプラインと連携し、デプロイの開始、成功、失敗をリアルタイムでDiscordに通知する。
  • ドキュメント検索@Clawdbot この機能の仕様は? とメンションするだけで、社内ドキュメントを検索し、回答をスレッドに投稿する。

情報収集とチームへの共有

最新情報のキャッチアップは重要ですが、時間がかかる作業です。Clawdbotに情報収集を代行させましょう。

  • 競合の動向調査:cronスキルとブラウザ操作スキルを組み合わせ、毎日決まった時間に競合他社のWebサイトやプレスリリースをチェック。更新があれば要約してSlackの特定チャンネルに投稿する。
  • 専門分野のニュース収集tavilykagi-searchといったWeb検索スキルを使い、「最新のAI論文」や「Reactの新しいライブラリ」に関する情報を収集・要約させる。
  • Slack/Discordチャンネルの要約:活発なチャンネルの議論を追いかけるのは大変です。Clawdbotに特定チャンネルの過去24時間の会話を要約させ、毎朝ダイレクトメッセージで送ってもらうことができます。

インストール前の準備:Windows PCをサーバーに変える

Clawdbotを安定して動作させるには、まずWindows PCの環境を整える必要があります。ClawdbotはLinuxベースで開発されているため、Windows上で直接実行することは推奨されていません。公式ドキュメントでも推奨されている通り、WSL2 (Windows Subsystem for Linux 2) を使用します。

システム要件の確認

古いPCでも十分に動作しますが、快適に利用するためにはある程度のスペックが求められます。

  • OS: Windows 10/11 (WSL2が実行可能なバージョン)
  • CPU: 2コア以上
  • メモリ(RAM):
    • 最小: 2GB (基本的なチャット機能のみ)
    • 推奨: 4GB以上 (ブラウザ自動化など、より高度なスキルを利用する場合)
  • 必須ソフトウェア: Node.js v22以上

Windows Subsystem for Linux 2 (WSL2) の導入

WSL2は、Windows上でLinux環境をほぼネイティブに近いパフォーマンスで実行するための仕組みです。以下の手順で簡単にインストールできます。

  1. PowerShellを管理者として実行:スタートメニューを右クリックし、「Windows PowerShell (管理者)」または「ターミナル (管理者)」を選択します。
  2. WSL2とUbuntuをインストール:開いたウィンドウで以下のコマンドを実行します。これにより、WSL2の有効化と、標準的なLinuxディストリビューションであるUbuntuのインストールが自動的に行われます。
    wsl --install -d Ubuntu
  3. PCを再起動:インストールが完了したら、PCを再起動します。
  4. Ubuntuの初期設定:再起動後、Ubuntuのターミナルが自動的に起動します。ユーザー名とパスワードを設定すれば、準備は完了です。

これ以降の作業は、すべてこのUbuntuのターミナル内で行います。

Clawdbotのインストールと初期設定

環境が整ったら、いよいよClawdbotをインストールします。公式のインストールスクリプトを使えば、数分で完了します。

ステップ1:Clawdbotのインストール

Ubuntuのターミナルを開き、以下のコマンドをコピー&ペーストして実行します。これにより、必要な依存関係のチェックとClawdbot本体のインストールが自動的に行われます。

curl -fsSL https://get.clawd.bot | bash

インストールが成功したかを確認するために、バージョン情報を表示してみましょう。

clawdbot --version

バージョン番号(例: `v2026.1.25`)が表示されれば、インストールは成功です。

ステップ2:オンボーディングウィザードの実行

次に、対話形式で初期設定を行うための「オンボーディングウィザード」を起動します。PCを常時稼働サーバーにするため、システムサービスとして登録するオプション(`–install-daemon`)を付けて実行するのがおすすめです。これにより、PCを再起動してもClawdbotが自動的に起動するようになります。

clawdbot onboard --install-daemon

ウィザードでは、主に以下の項目を設定します。

  • AIモデルの選択と認証:使用したいAIモデル(Anthropic ClaudeやOpenAI GPTなど)を選択し、APIキーを設定します。OAuth認証にも対応しています。
  • 連携チャネルの選択:Slack、Discord、Telegramなど、連携したいメッセージングプラットフォームを選択します。
  • Gatewayの設定:通常はデフォルトのままで問題ありません。

画面の指示に従って進めるだけで、基本的な設定ファイルが自動的に生成されます。

ステップ3:Gatewayの起動とステータス確認

オンボーディングが完了すると、Clawdbotの心臓部であるGatewayがバックグラウンドサービスとして自動的に起動します。以下のコマンドで、正常に動作しているかを確認しましょう。

# Gatewayのステータスを確認
clawdbot gateway status

# システム全体の健全性をチェック
clawdbot doctor

`gateway status`で “active (running)” と表示され、`doctor`で特にエラーが出ていなければ、初期設定は無事完了です。詳細な設定は、ホームディレクトリ内の `~/.clawdbot/moltbot.json` というJSONファイルで直接編集することも可能です。

SlackとDiscord連携の具体的な設定方法

Clawdbotをインストールしただけでは、まだ宝の持ち腐れです。SlackやDiscordと連携させて、初めてその真価を発揮します。

Slackとの連携設定

Slackとの連携には「Socket Mode」を利用します。これにより、ファイアウォールの内側にあるPCでも安全にSlackからのイベントを受け取ることができます。

  1. Slackアプリの作成:Slack APIサイトにアクセスし、「Create New App」から「From scratch」を選択して新しいアプリを作成します。
  2. Socket Modeの有効化:アプリ管理画面の左サイドバーにある「Settings」>「Socket Mode」で、「Enable Socket Mode」をオンにします。
  3. App-Level Tokenの生成:Socket Modeを有効にすると、トークンの生成を求められます。トークンに任意の名前を付け、「`connections:write`」スコープを追加して生成します。生成されたトークン(`xapp-…`で始まる)をコピーしておきます。
  4. Bot Tokenの生成とスコープ設定:左サイドバーの「Features」>「OAuth & Permissions」に移動します。「Scopes」セクションで、ボットに必要な権限(例:`chat:write`, `channels:history`, `groups:history`, `im:history`など)を追加します。その後、ページ上部の「Install to Workspace」をクリックしてアプリをワークスペースにインストールし、表示されるBot User OAuth Token(`xoxb-…`で始まる)をコピーします。
  5. Clawdbotへの設定:`~/.clawdbot/moltbot.json`ファイルを開き、`channels`セクションに以下のようにSlackの設定を追記します。
    {
      "channels": {
        "slack": {
          "enabled": true,
          "appToken": "ここにxapp-...で始まるApp-Level Tokenを貼り付け",
          "botToken": "ここにxoxb-...で始まるBot Tokenを貼り付け"
        }
      }
    }
  6. Gatewayの再起動:設定を反映させるために、Clawdbot Gatewayを再起動します。
    clawdbot gateway restart

これで、SlackでClawdbotにメンションしたり、ダイレクトメッセージを送ったりすると、応答が返ってくるようになります。

Discordとの連携設定

Discord連携も同様に、Developer PortalでBotを作成し、トークンを取得します。

  1. Discordアプリケーションの作成:Discord Developer Portalにアクセスし、「New Application」から新しいアプリケーションを作成します。
  2. Botの作成とトークンの取得:左サイドバーの「Bot」タブに移動し、「Add Bot」をクリックしてBotユーザーを作成します。「TOKEN」セクションの「Reset Token」をクリックし、表示されるトークンをコピーしておきます。このトークンは絶対に他人に教えないでください。
  3. Privileged Gateway Intentsの有効化:Botがメッセージ内容を読み取れるようにするため、同ページの「Privileged Gateway Intents」セクションにある「MESSAGE CONTENT INTENT」をオンにします。これは非常に重要な設定です。
  4. Clawdbotへの設定:`~/.clawdbot/moltbot.json`ファイルに、以下のようにDiscordの設定を追記します。
    {
      "channels": {
        "discord": {
          "enabled": true,
          "token": "ここにDiscordのBot Tokenを貼り付け"
        }
      }
    }
  5. Gatewayの再起動:設定を反映させるために、Gatewayを再起動します。
    clawdbot gateway restart

最後に、Developer Portalの「OAuth2」>「URL Generator」で、「bot」スコープを選択し、必要な権限(例:「Send Messages」など)をチェックして生成されたURLにアクセスし、Botを自分のサーバーに招待します。これでDiscord上でもClawdbotが使えるようになります。

セキュリティと運用のヒント

強力なツールであるからこそ、セキュリティには十分な注意が必要です。Clawdbotには、安全に運用するための仕組みが備わっています。

DMペアリング機能によるアクセス制御
Clawdbotの最も重要なセキュリティ機能の一つが「ペアリングシステム」です。デフォルトでは、あなたのBotに初めてダイレクトメッセージを送ってきた未知のユーザーは、自動的にブロックされます。ユーザーにはペアリングコードが送信され、あなたがターミナルで以下の承認コマンドを実行しない限り、Botは応答しません。

moltbot pairing approve <channel> <code>

これにより、意図しない第三者によるBotの不正利用を効果的に防ぐことができます。

また、Clawdbotの真価は「スキル」にあります。`ClawdHub`という公式のスキルレジストリから、必要な機能を簡単に追加できます。例えば、Web検索機能を追加したい場合は、以下のコマンドを実行するだけです。

clawdhub install tavily-search

どのようなスキルがあるかは、コミュニティがまとめているリポジトリを眺めてみるのがおすすめです。きっとあなたのニーズに合ったスキルが見つかるはずです。

まとめ

Clawdbot(Moltbot)は、使われなくなったWindows PCに新たな命を吹き込み、パーソナライズされた強力なAIアシスタントハブへと変貌させる可能性を秘めています。WSL2の導入という一手間はかかりますが、それを乗り越えれば、SlackやDiscordといった日常的に使うツール上で、情報収集からタスク自動化まで、あらゆる作業をAIに任せられる未来が待っています。

この記事で紹介した手順は、その第一歩に過ぎません。500を超える豊富なスキルを組み合わせ、あなただけの「最強のAI執事」を育ててみてください。眠っていたPCが、あなたの生産性を劇的に向上させる最も価値ある資産に変わるかもしれません。

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