新卒で入社したものの、「本当にこの会社でいいのだろうか」「もっと自分に合う仕事があるのではないか」と感じている方も少なくないでしょう。一般的に新卒入社後1〜3年で転職を考える若手社会人を指す「第二新卒」は、今や転職市場で非常に価値のある存在として注目されています。
本記事では、2025年の最新情報に基づき、第二新卒を積極的に採用している大手企業を一覧で紹介するとともに、転職を成功させるための具体的な戦略を徹底解説します。
第二新卒の採用市場は活況!大手企業も採用を拡大
近年、第二新卒の採用市場は著しい拡大を見せています。少子化による新卒採用の難化や、入社後のミスマッチによる早期離職者の増加を背景に、多くの企業が第二新卒の獲得に力を入れています。日本経済新聞の報道によれば、主要転職サイトにおける第二新卒向けの求人件数は、この2年間で約2倍に急増しました。
実際に、求人情報メディアの調査でも、第二新卒を対象とした求人数は右肩上がりに増加しており、2020年1月の約9,300件から2024年5月には21,000件を超えるなど、その需要の高さがうかがえます。
では、なぜ大手企業はこれほどまでに第二新卒を求めるのでしょうか。その理由は主に3つあります。
- 教育コストの低減:第二新卒は、基本的なビジネスマナーや社会人としての常識を身につけています。そのため、新卒社員に比べて研修コストを抑えつつ、早期の戦力化が期待できます。
- 高い柔軟性と成長意欲:特定の企業文化に染まりきっていないため、新しい環境や仕事の進め方に対する順応性が高いのが特徴です。また、キャリアアップへの意欲が高い人材が多く、組織全体の活性化にも繋がります。
- ポテンシャルと即戦力性の両立:中途採用で求められる即戦力としてのスキルはまだ十分でなくても、社会人経験を通じて培った基礎能力と、これからの成長可能性(ポテンシャル)を併せ持っている点が大きな魅力とされています。
JTBや三菱電機といった名だたる大手企業も採用を拡大しており、第二新卒にとって、かつてないほど大手企業への転職の門戸が広がっていると言えるでしょう。
【業界別】第二新卒を積極採用する大手企業一覧
ここでは、第二新卒の採用に積極的な大手企業を業界別に一覧でご紹介します。ただし、採用状況は常に変動するため、最新の情報は各企業の採用サイトや転職エージェントを通じて確認することが重要です。
dodaの「社会人が選ぶ“働きたい企業”ランキング」などを参考に、2025年時点で第二新卒が応募可能な大手企業をまとめています。
総合商社
グローバルな舞台で活躍したい第二新卒にとって、総合商社は非常に魅力的な選択肢です。近年、ポテンシャル採用として第二新卒向けの採用枠を設ける企業が増えています。
| 企業名 | 特徴 |
|---|---|
| 三菱商事 | 第二新卒採用選考を明示的に実施。勤続年数3年以内が対象。 |
| 三井物産 | キャリア採用枠で第二新卒も応募可能。若手向けの育成プログラムが充実。 |
| 丸紅 | キャリア採用を通じて、多様なバックグラウンドを持つ人材を募集。 |
メーカー
日本の基幹産業であるメーカーも、技術革新や事業の多角化に伴い、若手人材を積極的に求めています。特に技術職だけでなく、企画や営業など幅広い職種でチャンスがあります。
| 企業名 | 特徴 |
|---|---|
| トヨタ自動車 | 新卒枠(卒業後3年以内)とキャリア採用枠の両方で応募可能。 |
| ソニーグループ | 職種別採用で第二新卒の応募を歓迎。専門性を高めたい人材に最適。 |
| キーエンス | 高い営業力と企画力が身につく環境。若手の成長を後押し。 |
| パナソニック、日立製作所、任天堂、花王など | 各社キャリア採用ページにて、第二新卒が応募可能な求人を多数掲載。 |
IT・Web・SaaS
成長著しいIT業界は、慢性的な人材不足から未経験の第二新卒に対しても門戸を広く開いています。ポテンシャルを重視した採用が活発です。
| 企業名 | 特徴 |
|---|---|
| NTTデータ | 金融分野などで若手採用を強化。文系出身者やIT未経験者も歓迎。 |
| ソフトバンク | 通信事業からITサービスまで幅広く展開。多様なキャリアパスが魅力。 |
| 楽天グループ、サイバーエージェント、LINEヤフーなど | Webサービス、広告、SaaSなど各分野で若手人材を積極的に採用。 |
金融・インフラ
安定した経営基盤を持つ金融・インフラ業界でも、第二新卒採用の動きが活発化しています。特に保険業界や一部の銀行では、未経験者向けの研修制度を充実させています。
| 企業名 | 特徴 |
|---|---|
| 東京海上日動、日本生命 | ポテンシャル採用に積極的で、未経験から金融のプロを目指せる。 |
| みずほ銀行、三井住友銀行 | 未経験者向けの研修プログラムを用意し、第二新卒の挑戦を後押し。 |
| JR東日本、KDDI | 社会インフラを支える安定企業。一部職種で卒業後3年以内を新卒枠で応募可能。 |
コンサルティング
若いうちから多様な業界の課題解決に携われるコンサルティングファームは、成長意欲の高い第二新卒に人気です。地頭や論理的思考力が重視されます。
| 企業名 | 特徴 |
|---|---|
| アクセンチュア | 第二新卒に人気の企業ランキングで常に上位。大規模な採用を行う。 |
| デロイト トーマツ、PwC、KPMG | BIG4と呼ばれる大手ファーム。若手ポテンシャル層の採用に積極的。 |
| 野村総合研究所(NRI) | ITソリューションとコンサルティングを融合。第二新卒もキャリア採用で応募可能。 |
注目大手5社の第二新卒採用動向
ここでは、特に第二新卒の採用に力を入れている、あるいは門戸を開いている注目企業5社について、その採用方針や求める人物像を詳しく見ていきましょう。
三菱商事:ポテンシャル重視の第二新卒採用枠
総合商社の筆頭である三菱商事は、「第二新卒採用選考」という明確な枠を設けています。2025年度の募集では、勤続年数が3年以内の方を対象とし、特定のスキルや専門性を持っていなくても、ポテンシャルやチャレンジ精神を重視する採用を行っています。
- 採用の特徴:特定の職務経験を問わないポテンシャル採用。入社後に配属先を幅広く検討。
- 求める人物像:現状に満足せず、新しいことに挑戦したいという強い意欲を持つ人材。
- 研修・キャリアパス:海外研修やビジネススクール派遣など、グローバルで活躍するための充実した研修制度が魅力。英語力や経営知識を体系的に学べます。
三井物産:キャリア採用と充実した若手育成制度
三井物産は、第二新卒専門の採用枠はありませんが、年に複数回実施されるキャリア採用を通じて、若手人材も積極的に採用しています。同社の特徴は、入社後の手厚い育成制度です。
- 採用の特徴:通年でキャリア採用を実施。第二新卒も実務経験者として応募可能。
- 求める人物像:挑戦意欲が高く、自らビジネスを創造したいという気概のある人材。
- 研修・キャリアパス:「Business Integration Program (BIP)」など、若手社員が実務を通じて専門知識を習得するためのプログラムが用意されています。また、年次に関わらず責任あるポジションに挑戦できる「キャリアチャレンジ制度」もあり、早期の成長が可能です。
トヨタ自動車:技術系総合職で未経験者も歓迎
日本を代表するメーカーであるトヨタ自動車も、第二新卒にとって門戸の開かれた企業です。大学卒業後3年以内であれば新卒採用枠で、それ以降はキャリア採用枠で応募が可能です。
- 採用の特徴:技術系総合職では「第二新卒歓迎」「実務未経験歓迎」の求人があり、多様な教育制度が用意されています。
- 求める人物像:自動車業界の変革期において、新しい価値を創造したいという情熱を持つ人材。IT大手からの転職者など、異業種の経験も歓迎されています。
- 研修・キャリアパス:先行開発、生産技術、情報システムなど、個々の適性に応じた多様なキャリアパスが用意されています。
ソニーグループ:専門性を高める職種別採用
ソニーグループは、エンタテインメントから半導体まで多岐にわたる事業を展開しており、職種別採用を基本としています。各募集職種において「第二新卒応募可」と明記されており、自身の専門性を深めたい若手にとって絶好の環境です。
- 採用の特徴:希望する職種を一つ選んで応募するスタイル。専門性がマッチすれば、経験年数が浅くてもチャンスがあります。
- 求める人物像:特定の技術領域や事業分野への強い興味と、専門性を高めていく意欲を持つ人材。
- キャリアパス:自身の専門性を軸に、グループ内の多様な事業領域でキャリアを築くことが可能です。
NTTデータ:未経験から挑戦できる充実の研修体制
国内最大手のSIerであるNTTデータは、第二新卒専門枠はないものの、経験者採用の中で若手人材を積極的に募集しています。特に金融分野では「若手向けエントランスブック」を公開し、IT未経験者や文系出身者の採用に力を入れています。
- 採用の特徴:ITや金融の知識がなくても、仕事への意欲や成長へのポテンシャルを重視。営業職からエンジニアへのキャリアチェンジ事例も多数。
- 求める人物像:「世の中をより良くしたい」という強い意志と情熱を持ち、常に学び続ける姿勢を持つ人材。
- 研修・キャリアパス:入社後のIT基礎研修「BOOT CAMP」やOJT、e-ラーニング「Udemy」のライセンス提供など、未経験からプロフェッショナルへ成長するためのサポート体制が非常に充実しています。
第二新卒が大手転職を成功させるための3つの戦略
大手企業への転職は魅力的ですが、ライバルも多いのが現実です。ここでは、第二新卒が転職活動を成功に導くための3つの重要な戦略を紹介します。
1. 短い職歴を「強み」に変える自己分析
「すぐに辞めた」という事実をネガティブに捉える必要はありません。重要なのは、「なぜ転職するのか」そして「短い期間で何を学び、次にどう活かしたいのか」を前向きに語ることです。
「前職では〇〇という業務を通じて、顧客折衝の基本を学びました。しかし、より大規模なプロジェクトで社会に影響を与える仕事がしたいと考え、貴社を志望しました。」
このように、短い経験から得た学びと、将来へのポジティブな動機を結びつけることで、採用担当者に成長意欲をアピールできます。
2. 未経験でも挑戦しやすい職種を狙う
第二新卒のポテンシャルが評価されやすいのは、特に人材不足が深刻で、研修体制が整っている職種です。
- ITエンジニア/プログラマー:多くのIT企業が若手育成に投資しており、未経験者向けの求人が豊富です。PythonやJavaScriptといった需要の高い言語を自主的に学習しておくと、さらに評価が高まります。
- 金融専門職(保険・銀行など):損害保険の事務や銀行の窓口業務など、未経験歓迎の求人が増えています。入社後の研修で専門知識を習得できるため、コミュニケーション能力や学習意欲が重視されます。
- コンサルタント(若手アナリスト):大手コンサルティングファームでは、ポテンシャル採用が活発です。論理的思考力や課題解決能力を示すエピソードを準備することが重要です。
3. 転職エージェントを最大限に活用する
情報が少ない第二新卒の転職活動において、転職エージェントは強力な味方になります。特に大手企業に強いエージェントを活用するメリットは計り知れません。
- 非公開求人の紹介:一般には公開されていない、第二新卒向けの優良な大手企業の求人を紹介してもらえる可能性があります。
- プロによる選考対策:企業の採用担当者がどこを見ているのかを熟知したプロから、書類添削や面接対策のアドバイスを受けられます。
- 企業との交渉代行:給与や入社時期など、自分では言いにくい条件交渉を代行してくれます。
参考資料によれば、ムービンのように特定業界に強いエージェントや、マイナビエージェントのように若手採用に強みを持つ大手エージェントなど、自分の志向に合ったサービスを選ぶことが成功の鍵となります。
まとめ:万全の準備で大手企業への扉を開こう
第二新卒の採用市場は、売り手市場が続いており、大手企業への転職は決して「無理な挑戦」ではありません。むしろ、基本的な社会人スキルと高いポテンシャルを併せ持つ第二新卒は、多くの企業にとって魅力的な存在です。
重要なのは、市場の活況に甘えることなく、「なぜ転職するのか」「その企業で何を成し遂げたいのか」を深く掘り下げ、万全の準備で選考に臨むことです。本記事で紹介した企業一覧や成功戦略を参考に、ぜひあなたらしいキャリアの第一歩を踏み出してください。

コメント