なぜ子供に「ジュニア用クラブ」が必要なのか？
親子で楽しめるスポーツとして、ゴルフの人気が高まっています。広大な緑の中で一緒にボールを追いかける時間は、かけがえのない思い出になるでしょう。しかし、子供にゴルフを始めさせるとき、多くの保護者が最初に悩むのが「ゴルフクラブ選び」です。
「大人用の短いクラブで代用できないか？」「すぐに成長するから、少し大きめでも良いのでは？」と考えるかもしれません。しかし、それは上達を妨げるだけでなく、怪我の原因にもなりかねません。
ジュニア用ゴルフクラブは、単に大人用を短くしたものではありません。子供の体力や体格に合わせて、重量、シャフトの硬さ（フレックス）、ライ角などが最適化されています。体に合わないクラブを使うと、正しいスイングが身につかず、変な癖がついてしまう可能性があります。だからこそ、子供の成長段階に合わせた専用クラブを選ぶことが、ゴルフを安全に、そして長く楽しむための第一歩なのです。
ジュニアのクラブ選びで何より大切なのは、身長に合わせたシャフト長とライ角のクラブを使うことです。最適な長さのクラブなら、アドレスで手元が最適な位置に収まり、ボールとの距離も適正になります。
この記事では、ジュニアゴルファーの父親でもある筆者が、自身の経験と専門家の知見を基に、失敗しないジュニア用ゴルフクラブの選び方から、年齢・身長別のおすすめ商品までを徹底的に解説します。お子様へのプレゼントや、家族共通の趣味を始めるきっかけとして、ぜひ参考にしてください。
子供用ゴルフクラブの選び方│失敗しない4つの重要ポイント
ジュニア用ゴルフクラブは種類が豊富で、何を基準に選べば良いか迷ってしまいます。ここでは、購入前に必ず押さえておきたい4つの重要なポイントを解説します。
ポイント1：最優先は「身長」。成長に合わせたクラブを選ぼう
ジュニア用クラブ選びで最も重要な要素は、お子様の「身長」に合っているかどうかです。自転車のサイズを選ぶのと同じように、ゴルフクラブも体格に合ったものを選ぶ必要があります。多くのメーカーは、身長に合わせて3段階程度のサイズ展開をしています。
- 90～110cm（3～6歳頃）
- 110～130cm（6～9歳頃）
- 130～150cm（9～12歳頃）
これらの身長表示はあくまで目安です。購入する際は、必ずお子様の現在の身長を確認し、対応するモデルを選びましょう。長すぎるクラブは振りにくく、短すぎると前傾姿勢が深くなりすぎてしまい、どちらも正しいスイングの習得を妨げます。
ポイント2：最初からフルセットは不要！年齢別の推奨本数
大人のゴルフでは最大14本のクラブを使いますが、子供に最初からフルセットは必要ありません。むしろ、クラブが多すぎるとどれを使えば良いか混乱してしまいます。まずはゴルフの楽しさを知ることが大切なので、必要最低限の本数から始めるのがおすすめです。
年齢や身長に応じた推奨本数の目安は以下の通りです。
- 3～6歳用：3～5本（フェアウェイウッド、アイアン、パターなど）
- 6～9歳用：4～7本（ドライバー、アイアン2本、ウェッジ、パターなど）
- 9～12歳用：6～10本（ドライバー、フェアウェイウッド、アイアン数本、ウェッジ、パターなど）
特にゴルフを始めたばかりのお子様なら、ドライバー、7番アイアン、サンドウェッジ、パターの4本があれば十分に楽しめます。
ポイント3：持ち運びやすい「スタンドバッグ付き」が便利
子供用のクラブセットを選ぶ際は、バッグの種類にも注目しましょう。おすすめは、自分で背負ったり、手軽に持ち運んだりできる「スタンドバッグ付き」のセットです。
親子でプレーしやすいショートコースや河川敷コースでは、乗用カートではなく手引きカートを使ったり、自分でバッグを担いで移動したりする場面が多くあります。軽量なスタンドバッグなら、非力な子供でも負担が少なく、最後まで疲れずにプレーに集中できます。
ポイント4：左利き（レフティ）用は選択肢が限られる
左利きのお子様の場合、クラブ選びには注意が必要です。大人用と同様に、ジュニア用でも左利き（レフティ）モデルは種類が非常に少ないのが現状です。特に、3～6歳向けの幼児用セットでは、左利き用はほぼ皆無と言っていいでしょう。
もし左利きのお子様がゴルフを始める場合、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- 右打ちを試してみる：子供は順応性が高いため、右打ちから始めてもスムーズに習得できる場合があります。
- 練習場の打席を確認する：よく行く練習場に左打席が十分にあるかどうかも判断材料になります。
- 数少ないレフティモデルを探す：YONEXなど一部のメーカーでは、単品アイアンなどで左利き用を用意している場合があります。
【年齢・身長別】おすすめジュニアゴルフクラブセット10選
ここからは、選び方のポイントを踏まえ、具体的なおすすめ商品を年齢・身長別にご紹介します。各商品の特徴やセット内容を比較し、お子様にぴったりのクラブセットを見つけてください。
【3～6歳向け】身長90cm～120cm｜ゴルフを楽しむ第一歩
この年齢では、まずボールにクラブを当てる楽しさを体験することが最も大切です。軽くて振りやすい、最低限の本数が揃ったセットがおすすめです。
キャロウェイ XJ-1 ジュニアセット
石川遼選手も契約するトップブランド「キャロウェイ」のキッズ向けセット。ドライバーより短く打ちやすいフェアウェイウッドが含まれているのが特徴です。人気の「ODYSSEYパター」がセットになっており、子供の感性を活かしながらパッティングの基礎を学べます。デザインもスタイリッシュで、子供のやる気を引き出します。
- 対象身長：100～120cm
- クラブ本数：4本（FW, 7I, SW, パター）
- 特徴：本格的なブランド、打ちやすいクラブ構成、ODYSSEYパター付属
クリーブランドゴルフ ジュニアセット (SMALL)
松山英樹選手がウェッジを愛用することで知られる「クリーブランド」のジュニアセット。フェアウェイウッド、7番アイアン、パターの3本というシンプルな構成で、ゴルフの基本を学ぶのに最適です。身長に合わせて3サイズ展開されており、成長に合わせて同じブランドでステップアップできるのも魅力です。
- 対象身長：90～110cm
- クラブ本数：3本（FW, 7I, パター）
- 特徴：シンプルな構成、信頼のブランド、成長に合わせたサイズ展開
【6～9歳向け】身長110cm～130cm｜本格的なスイングの基礎作り
体も大きくなり、少しずつ力強いスイングができるようになる時期。ドライバーを含め、クラブの本数が少し増えたセットで、様々な状況に対応する練習を始めましょう。
YONEX ジュニア J120 セット
岩井明愛・千怜姉妹の活躍で注目度が急上昇中の「YONEX」。同社のジュニアセットは、長年蓄積されたジュニアのデータから導き出された「正しいスイングが身につく」設計が特徴です。特に競技志向のジュニアからの評価が高く、本格的にゴルフに取り組みたいお子様におすすめです。
- 対象身長：110～130cm
- クラブ本数：4本～7本セットなどバリエーションあり
- 特徴：競技志向のジュニアに人気、自社製カーボンシャフト技術、正しいスイングをサポート
Wilson PROSTAFF JGI (SMALL)
初心者でも扱いやすい設計で定評のある「ウィルソン」のジュニアセット。5～8歳を対象とし、ドライバー、ショートアイアン、ウェッジ、パターの基本的な4本が揃っています。軽量で振りやすく、ゴルフを始めたばかりの子供でもしっかりとボールを打つ楽しさを実感できます。
- 対象身長：100～120cm（5～8歳対象）
- クラブ本数：4本（1W, SI, W, PT）
- 特徴：初心者向け、軽量設計、コストパフォーマンス
【9～12歳以上向け】身長130cm～150cm以上｜競技も視野に
大人に近い体格になり、飛距離も伸びてくるこの時期。クラブの本数を増やし、より戦略的なゴルフに対応できるセットが求められます。大人用のクラブへの移行も視野に入れ始める頃です。
キャロウェイ XJ-3 ジュニアセット
キャロウェイのジュニアシリーズ最上位モデル。大型のチタン製ドライバーは安心感があり、やさしくボールをつかまえて大きな飛びを生み出します。アイアンも大人用さながらのポケットキャビティ設計で、ミスヒットに強いのが特徴。本格的なコースデビューや、ジュニア競技への参加を目指すお子様に最適です。
- 対象身長：130～150cm
- クラブ本数：7本（1W, FW, 5UT, 7I, 9I, SW, パター）
- 特徴：大人用モデルに近い本格仕様、飛距離性能とやさしさを両立
ブリヂストンゴルフ B-Jr Type150
国内トップメーカー「ブリヂストン」が手掛けるジュニアシリーズ。身長130cmから150cmの子供を対象とし、本格的なゴルフデビューをサポートします。ソールの形状が正しいアドレスを導き、スムーズなスイングをサポート。グリップには1cm刻みの目印があり、子供の成長に合わせて握る位置を調整しながら長く使える工夫がされています。
- 対象身長：130～150cm
- クラブ本数：7本（1W, FW, UT, 7I, 9I, SW, PT）
- 特徴：成長に合わせて調整可能、正しいスイングをサポートする設計
【徹底比較】人気ブランドの特徴は？YONEXの躍進にも注目
ジュニア用ゴルフクラブは、多くの有名ブランドから発売されています。ここでは、特に人気の高いブランドの特徴を比較し、最近注目を集めるYONEXの動向についても掘り下げます。
キャロウェイ (Callaway) は、デザイン性と性能のバランスに優れたブランドです。大人用モデルの技術をジュニア用に落とし込み、初心者から上級者まで幅広い層に支持されています。特にXJシリーズは、成長に合わせてステップアップできるラインナップが魅力です。
クリーブランド (Cleveland) は、特にウェッジでプロからの信頼が厚いブランド。ジュニア用セットも、シンプルながら質実剛健な作りで、基本に忠実なスイングを身につけるのに適しています。
そして今、ジュニア市場で特に存在感を増しているのがYONEX（ヨネックス）です。もともとバドミントンやテニスで培ったカーボン技術に定評があり、その技術はゴルフクラブのシャフトにも活かされています。岩井明愛・千怜姉妹の活躍によりブランドの認知度が向上し、特に競技志向のジュニアゴルファーからの支持が急増しています。
全国高等学校・中学校ゴルフ選手権春季大会におけるYONEXクラブ使用者は、合計で26人（6.1％）から58人（13.7％）へと2倍以上に増加。特に女子の使用が顕著です。
YONEXの強みは、豊富な種類の自社製シャフトとヘッドを組み合わせ、個々のスイングに合わせたフィッティングが可能な点です。これにより、ジュニアゴルファー一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出すクラブが見つかりやすいと評価されています。
クラブだけじゃない！揃えておきたいジュニアゴルフ用品
ゴルフを快適に楽しむためには、クラブ以外にも揃えておきたいアイテムがいくつかあります。特にコースデビューする際には、マナーの観点からも準備が必要です。
ゴルフウェア
ゴルフ場にはドレスコードがあります。基本は「襟付きのシャツ（ポロシャツなど）」と「パンツ（チノパンなど）」です。女の子の場合はスカートも可能ですが、短すぎるものは避け、インナースパッツ付きのものを選ぶと安心です。Tシャツやジーンズはマナー違反となる場合が多いので注意しましょう。
- 春夏：吸汗速乾性のある半袖ポロシャツ、UVカット機能のあるウェアがおすすめ。
- 秋冬：長袖シャツにベストや薄手のアウターを重ね着して、体温調節しやすくするのがポイント。
- 帽子：安全対策と日差し対策のため、帽子の着用もマナーの一部です。キャップタイプが人気です。
ゴルフシューズ
「スニーカーではダメなの？」と思うかもしれませんが、専用のゴルフシューズは必須アイテムです。ゴルフシューズは、滑りやすい芝生の上でも足元を安定させ、スイングの土台を支える重要な役割を果たします。また、ほとんどのゴルフ場ではゴルフシューズの着用が義務付けられています。
- スパイクレスタイプ：最近のジュニア用では主流。スニーカー感覚で歩きやすく、練習場からコースまでそのまま使える手軽さが魅力です。
- サイズ選び：大きすぎず小さすぎず、ジャストサイズに近いものを選びましょう。靴の中で足が動くと力が入りにくくなります。
- 素材：手入れが簡単で比較的安価な「合成皮革」が、成長の早い子供にはおすすめです。
グローブ・練習器具など
グローブは、握力の弱い子供でもグリップをしっかり握り、クラブが滑るのを防ぐために重要です。手の負担を軽減し、クラブが飛んでいく事故を防ぐためにも、片手だけでも着用することをおすすめします。
自宅での練習には、スイング練習器具やパターマットがあると、ゴルフがより身近になります。正しいグリップの握り方を覚えるための練習器具などもあり、遊び感覚でスイングの基礎を身につけることができます。
よくある質問（Q&A）
- Q1. 中古のゴルフクラブでも大丈夫ですか？
- A1. サイズや状態が良ければ、中古クラブも選択肢の一つです。ただし、子供の成長は早いため、身長に合っているかをしっかり確認することが重要です。フリマアプリや中古ショップでは、状態の良いジュニアセットが見つかることもあります。
- Q2. クラブの買い替え時期の目安は？
- A2. 身長が15cm～20cm伸びたら、買い替えを検討するタイミングです。クラブが短く感じられるようになったり、スイングが窮屈そうに見えたりしたら、一度見直してみましょう。PINGの「Prodi G」シリーズのように、購入後に一度無料でシャフト交換などの調整をしてくれるサービスを提供しているメーカーもあります。
- Q3. 最初は何本から始めるのが良いですか？
- A3. 未就学児や小学校低学年であれば、アイアン1本とパターだけでも十分楽しめます。まずはボールを打つ楽しさを知ることが大切なので、無理に多くのクラブを揃える必要はありません。GDOゴルフショップでは、初心者なら4本（ドライバー、7番アイアン、サンドウェッジ、パター）あれば十分としています。
まとめ：最適なクラブで、親子のゴルフライフを最高に楽しもう
子供用のゴルフクラブ選びは、ゴルフを楽しく、安全に続けるための非常に重要なステップです。この記事で解説したポイントを参考に、お子様の成長とレベルに合った最適な一本を見つけてあげてください。
ジュニア用ゴルフクラブ選びの4大原則
1. 身長に合ったクラブを選ぶ。
2. 最初は少ない本数から始める。
3. 持ち運びやすいスタンドバッグがおすすめ。
4. 左利き用は選択肢が限られることを理解する。
正しいクラブを選べば、子供はスムーズに上達し、ゴルフの本当の楽しさを知ることができます。そして何より、親子で一緒にコースを回り、共通の趣味について語り合う時間は、何物にも代えがたい貴重な財産となるはずです。さあ、最適なクラブを手に、素晴らしいゴルフライフをスタートさせましょう！
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