ゴルフにおいて「スコアの半分はパット」と言われるほど、パッティングは重要です。そして、その成否を大きく左右するのがパター選び。しかし、ゴルフショップに行くと「マレット型」や「ピン型(ブレード型)」など、様々な形状のパターが並んでおり、特に初心者の方はどれを選べば良いか迷ってしまうのではないでしょうか。
この記事では、パターの二大巨頭であるマレット型とピン型に焦点を当て、それぞれの特徴、メリット・デメリットを徹底的に比較・解説します。自分のプレースタイルや課題に合った「エースパター」を見つけるための手助けになれば幸いです。
ピン型(ブレード型)パターの特徴とメリット・デメリット
ピン型パターは、その名の通り「ピン(PING)」社が開発した「アンサー」というモデルが原型となっており、現在ではブレード型とも呼ばれる最もオーソドックスな形状です。プロゴルファーにも長年愛用され続ける、その魅力と注意点を見ていきましょう。
伝統的な形状とシャープな見た目
ピン型パターの最大の特徴は、薄く、L字またはT字に近いシャープなヘッド形状です。この洗練されたデザインは、構えたときにスッキリとしており、「いかにもゴルフクラブらしい」伝統的な美しさがあります。多くのゴルファーが憧れるタイガー・ウッズ選手が長年愛用しているのも、このタイプのパターです。
操作性の高さと繊細なタッチ
ヘッドが小ぶりで重心距離が長いため、フェースの開閉をコントロールしやすいのがピン型の大きなメリットです。自分の感覚でフェースを操作し、繊細なタッチで距離感を合わせたい上級者や、ボールを意図的に操作してラインに乗せたいゴルファーに好まれます。打感がダイレクトに手に伝わりやすいため、ボールの転がりを細かく感じ取ることができます。
デメリット:ミスヒットへの弱さ
操作性が高い反面、ピン型パターはヘッドの慣性モーメント(MOI)が比較的小さいため、ミスヒットに弱いというデメリットがあります。芯を少しでも外して打ってしまうと、ヘッドがブレてしまい、距離や方向性が大きく狂いやすくなります。常に同じ場所でボールを捉える技術が求められるため、初心者にとってはやや難易度が高いと言えるでしょう。
マレット型パターの特徴とメリット・デメリット
マレット(Mallet)とは「木槌」を意味し、その名の通りヘッド後方が大きく膨らんだ形状をしています。近年、アマチュアだけでなくプロゴルファーの間でも使用者が急増しているマレット型パターの強みと、留意すべき点を探ります。
大きなヘッドと高い安定性
かまぼこ型や、より大型で個性的な形状を持つマレット型パター。その大きなヘッドには、重量をヘッドの外周に配分するという設計思想が込められています。これにより、非常に高い慣性モーメント(MOI)を実現しており、ストローク中のヘッドのブレを最小限に抑えることができます。
寛容性の高さとオートマチックなストローク
マレット型の最大のメリットは、その寛容性の高さです。慣性モーメントが大きいため、多少芯を外してもヘッドがブレにくく、ボールの転がりが安定します。これにより、方向性のミスや距離のロスが大幅に軽減されます。また、ヘッドの重さを利用して振り子のようにストロークしやすく、余計な手の動きを抑えた「オートマチック」なパッティングが可能です。
デメリット:距離感の掴みづらさと操作性の低さ
安定性が高い反面、ヘッドが大きいために操作性はピン型に劣ります。繊細なタッチで距離感を調整したいゴルファーにとっては、その安定感が逆に「感覚が出しづらい」と感じることがあります。また、インサート(フェース面の素材)が柔らかいモデルが多く、打感がマイルドになるため、打音や手応えで距離を測るタイプのプレーヤーは慣れが必要かもしれません。
【徹底比較】マレット型とピン型、7つの違い
両者の特徴を理解したところで、具体的な7つの項目でマレット型とピン型を直接比較してみましょう。どちらが自分に合っているかを判断する材料にしてください。
1. 寛容性(ミスの許容度)
マレット型 > ピン型
これはマレット型の圧勝です。ヘッド周辺への重量配分による高い慣性モーメントは、ミスヒット時のヘッドのブレを劇的に抑制します。パッティングに苦手意識がある方や、打点が安定しない初心者の方には、マレット型の寛容性が大きな助けとなります。
2. 方向性・直進性
マレット型 > ピン型
方向性の安定しやすさもマレット型に軍配が上がります。ヘッドの重さと安定性に加え、多くのマレット型パターには太い線や複数の線などのアライメント(目標に合わせるための目印)機能が充実しています。これにより、ターゲットに対して真っ直ぐ構えやすく、狙った方向に打ち出しやすくなります。
3. 距離感・操作性
ピン型 > マレット型
繊細なタッチが求められる距離感のコントロールにおいては、ピン型が優位です。ヘッドが小ぶりで操作しやすく、打感がダイレクトに伝わるため、自分の感覚を頼りにパッティングを組み立てたいゴルファーに適しています。特に高速グリーンなど、微妙な力加減が必要な場面で真価を発揮します。
4. 構えやすさ(アライメント)
マレット型 > ピン型
ヘッド自体が大きく、地面に置いたときの座りが良いため、マレット型は非常に構えやすいです。前述の通り、視覚的にターゲットを狙いやすくするアライメントデザインが豊富な点も、安心感につながります。一方、ピン型はシャープな分、目標に対して正確に構えるには少し慣れが必要です。
5. ストロークタイプとの相性
ピン型:アーク(円弧)タイプ向け
ピン型の多くは、フェースのトウ側(先端)が重くなる「トウヒールバランス」設計です。これにより、ストローク中にフェースが自然に開閉し、インサイド・インの円弧を描くストロークと相性が良いです。
マレット型:ストレート(直線)タイプ向け
マレット型の多くは、フェースが真上を向いてバランスが取れる「フェースバランス」設計です。これはフェースの開閉を抑え、真っ直ぐ引いて真っ直ぐ出すストレートなストロークをサポートします。
6. 打感
ピン型:ソリッドでダイレクト
金属の塊から削り出されたモデルが多く、インパクトの衝撃がコツンと手に響く、ソリッドな打感が特徴です。ボールの硬さや転がりを敏感に感じ取れます。
マレット型:ソフトでマイルド
フェース面に樹脂などの柔らかい素材(インサート)を採用しているモデルが多く、インパクト時の衝撃を吸収し、ソフトな打感になります。打音が静かで、ボールがフェースに食いつくような感覚があります。
7. 見た目の好み
ピン型:伝統的、クラシック、シャープ
マレット型:現代的、ハイテク、安心感
これは完全に個人の好みですが、パターはメンタルに影響するクラブなので非常に重要です。自分が「格好いい」「これで入る気がする」と思えるパターを選ぶことが、自信につながります。
失敗しない!自分に合ったパターの選び方
比較を通じて、それぞれのパターがどんなゴルファーに向いているかが見えてきました。ここでは、具体的な選び方の指針を3つのステップでご紹介します。
ステップ1:初心者におすすめなのはどっち?
もしあなたがゴルフを始めたばかりで、どのパターを選べば良いか全くわからないのであれば、まずはマレット型を試してみることを強くおすすめします。理由はシンプルで、「やさしい」からです。ミスヒットに強く、方向性も安定させやすいため、パッティングの成功体験を積みやすく、自信につながります。難しいクラブで悩むよりも、やさしいクラブでゴルフの楽しさを知ることが上達への近道です。
ステップ2:自分のストロークタイプで選ぶ
自分のストロークが「アークタイプ」か「ストレートタイプ」かを知ることも重要です。簡単なチェック方法は、パターのシャフトを人差し指の上に乗せてバランスを取ってみることです。
- フェースのトウ側が下を向けば「トウヒールバランス」 → アークタイプのストロークに合います(ピン型に多い)。
- フェースが真上を向けば「フェースバランス」 → ストレートタイプのストロークに合います(マレット型に多い)。
自分のストロークの癖に合ったパターを選ぶことで、より自然で安定したパッティングが可能になります。
ステップ3:改善したい課題で選ぶ
自分のゴルフの課題から逆算して選ぶのも効果的です。
- 課題:ショートパットをよく外す、方向性が定まらない
→ マレット型がおすすめです。高い直進性とアライメント機能が、1〜2mのパットの精度を高めてくれます。 - 課題:ロングパットの距離感が合わない、3パットが多い
→ ピン型を試す価値があります。繊細なタッチを出しやすく、自分の感覚で距離をコントロールする練習になります。
もちろん、これはあくまで一般的な傾向です。最終的にはゴルフショップなどで実際に試打をして、自分の感覚に最もフィットする一本を見つけることが何よりも大切です。
【2025年最新】Amazonで人気のおすすめパターモデル
ここでは、Amazonで評価が高く、多くのゴルファーに支持されている人気のパターを、ピン型とマレット型からそれぞれご紹介します。※在庫状況や価格は変動する可能性があります。
伝説的な「WHITE HOTインサート」を搭載した、オデッセイの超定番モデル。プロからアマチュアまで、時代を超えて愛されるソフトでありながら芯のある打感は、絶妙な距離感と安定したボールの転がりを生み出します。ステンレスを精密に削り出した美しいヘッド形状は、構えやすさも抜群。まさにピン型パターの王道と言える一本です。
- ソフトな打感と安定した転がりを生むWHITE HOTインサート
- 精密な削り出しによるシャープで美しいヘッド形状
- あらゆるゴルファーにフィットするオーソドックスなデザイン
世界のトッププロも多数使用する、テーラーメイドの「SPIDER」シリーズ。このモデルは、高い慣性モーメントによる圧倒的な安定性と、明確なアライメントラインによる構えやすさが特徴です。フェースには適切な順回転を与える「PURE ROLL™インサート」を搭載し、ミスヒット時でも安定した転がりを実現。ショートパットに悩むゴルファーの強力な味方となるでしょう。
- 高い慣性モーメントがもたらす抜群の安定性
- ターゲットに合わせやすいトゥルーパスアライメント
- 安定した順回転を生み出すPURE ROLL™インサート
まとめ:最適なパターはスコアを劇的に変える
今回は、マレット型とピン型パターの違いについて、多角的に解説しました。それぞれの特徴をまとめると以下のようになります。
- マレット型:ミスに強く、方向性が安定しやすい。オートマチックに打ちたい、初心者やパットが苦手な方におすすめ。
- ピン型:操作性が高く、繊細なタッチが出しやすい。自分の感覚を重視したい、中〜上級者におすすめ。
しかし、最も重要なのは、スペックや評判だけでなく「自分が信頼できるかどうか」です。この記事を参考に、ぜひ実際にいくつかのパターを手に取って試打してみてください。構えたときの安心感、打感、ボールの転がりなど、自分の感覚に最もフィットするパターこそが、あなたのスコアを劇的に改善する最高の一本となるはずです。
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