その肌トラブル、pHの乱れが原因かも?
朝、鏡を見て感じるTゾーンのテカリやベタつき。日中、ふと触れた頬のカサつき。繰り返しできるニキビや、毎日の髭剃り後に感じるヒリヒリとしたカミソリ負け。これらの悩みは、多くの男性が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。様々なスキンケア製品を試しても、なかなか改善が見られない…そう感じている方も少なくないはずです。
実は、これらの根深い肌悩みの多くは、表面的な問題ではなく、肌が本来持つべき健全なバランスが崩れていることに起因します。そのバランスを測る重要な指標こそが、肌表面の『pH(ペーハー)バランス』なのです。
「pH」と聞くと、学生時代の理科の実験を思い出し、少し難しく感じるかもしれません。しかし、このpHこそが、あなたの肌のコンディションを左右する「司令塔」のような役割を担っています。肌のpHバランスが最適な状態に保たれていれば、肌は自らの力で潤いを保ち、外部の刺激から身を守ることができます。逆に、このバランスが一度崩れると、乾燥、ニキビ、敏感肌といった様々なトラブルを引き起こす「負のスパイラル」に陥ってしまうのです。
本記事では、スキンケアの核心とも言える「肌のpH」に焦点を当て、科学的な根拠に基づきながら、以下の点を徹底的に解説します。
- なぜ「弱酸性」の肌が理想とされるのか、その科学的なメカニズム
- なぜ男性の肌は、女性に比べてpHバランスが乱れやすいのか、その特有の事情
- あなた自身の肌が今、どのようなpH状態にあるのかを把握するためのセルフチェック方法
- 診断結果に基づいた、肌質別の具体的なスキンケアステップとアイテム選びの秘訣
この記事を最後までお読みいただければ、「なんとなく」で行っていた日々のスキンケアが、「確信」に変わるはずです。テカリも乾燥もコントロールし、揺らぎのない健やかな肌を手に入れるための、論理的かつ実践的な知識がここにあります。さあ、あなたも「pH」を制して、真の美肌への第一歩を踏み出しましょう。
肌pHの基本:なぜ「弱酸性」が美肌の鍵なのか?
スキンケア製品のパッケージで「弱酸性」という言葉を目にしたことがある方は多いでしょう。しかし、なぜそれが肌にとって良いのか、その理由を深く理解している人は意外と少ないかもしれません。ここでは、今後の議論の土台となる「肌pHの基本」を、要点を絞って分かりやすく解説します。
pHとは何か?美肌の基準値を知る
まず、pH(ピーエイチ、またはペーハー)とは「水素イオン指数」の略で、水溶液が酸性なのかアルカリ性なのかを示す「ものさし」です。このものさしは0から14までの数値で表され、以下のように分類されます。
- pH 0〜6.9:酸性(数値が低いほど酸性が強い)
- pH 7.0:中性
- pH 7.1〜14:アルカリ性(数値が高いほどアルカリ性が強い)
私たちの身の回りにあるもので例えると、レモン汁がpH2程度の強い酸性、水道水がほぼ中性のpH7、石鹸水がpH10程度のアルカリ性です。
そして、最も重要なポイントは、健康な人の肌表面は「弱酸性」に保たれているという事実です。具体的には、肌表面を覆っている天然の保護膜である「皮脂膜」のpH値が、およそpH4.5〜6.0の範囲にあります。この「弱酸性」という状態こそが、肌が健やかに機能するための理想的な環境なのです。
「弱酸性の肌」が理想的な2つの科学的理由
では、なぜ肌は「弱酸性」である必要があるのでしょうか。その理由は、大きく分けて2つあります。
理由1:外部刺激から肌を守る「バリア機能」の最適化
私たちの肌の一番外側にある「角質層」には、紫外線、乾燥、ホコリ、花粉、雑菌といった様々な外部の刺激から身体の内部を守る「バリア機能」が備わっています。このバリア機能が正常に働くためには、角質層内の酵素が活発に活動する必要があります。そして、これらの酵素が最も効率よく働ける環境こそが「弱酸性」なのです。
もし肌のpHがアルカリ性に傾くと、これらの酵素の働きが鈍ってしまいます。その結果、バリア機能が低下し、肌内部の水分が簡単に蒸発して乾燥を招いたり、外部からの刺激が侵入しやすくなって赤みやかゆみ、肌荒れを引き起こしたりするのです。つまり、肌を弱酸性に保つことは、天然の鎧であるバリア機能を最高の状態に維持するために不可欠なのです。
理由2:美肌を育む「皮膚常在菌」のバランス維持
私たちの肌表面には、約1兆個もの「皮膚常在菌」が存在し、一種の生態系(マイクロバイオーム)を形成しています。これらの菌は、大きく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」に分けられます。
- 善玉菌(代表例:表皮ブドウ球菌)
汗や皮脂をエサにして、肌を保湿するグリセリンや、肌を弱酸性に保つ脂肪酸を生成します。まさに「美肌菌」とも呼べる存在で、バリア機能をサポートし、悪玉菌の増殖を抑える働きも担っています。この善玉菌は、弱酸性の環境を非常に好みます。 - 悪玉菌(代表例:黄色ブドウ球菌)
アトピー性皮膚炎の悪化や、傷口の化膿などを引き起こす原因菌です。健康な肌にも少数存在しますが、増えすぎるとトラブルの原因となります。この悪玉菌は、アルカリ性の環境を好んで増殖します。 - 日和見菌(代表例:アクネ菌)
普段は無害ですが、肌の環境次第で善玉にも悪玉にもなり得ます。皮脂を栄養源とし、増えすぎるとニキビの原因となります。アクネ菌自体はアルカリ性の環境を好みますが、そのエサである皮脂が多い環境でも活発になります。
この関係性から分かるように、肌を弱酸性に保つことは、善玉菌が優位な環境を作り、悪玉菌の活動を抑制することに直結します。pHバランスが崩れてアルカリ性に傾くと、善玉菌は元気をなくし、代わりに悪玉菌が活発になってしまい、ニキビや肌荒れといったトラブルが起こりやすい状態になってしまうのです。
キーポイント:弱酸性の重要性
結論として、「肌を弱酸性に保つこと」は、単なるキャッチコピーではありません。それは、「①バリア機能を正常化させ、外部刺激に強い肌を作ること」であり、「②善玉菌が働きやすい環境を整え、肌トラブルを内側から防ぐこと」という、美肌を維持するための2つの根幹を支える、極めて重要な科学的戦略なのです。
【本題】なぜ男性の肌はpHが乱れやすいのか?特有の事情とトラブルのメカニズム
肌にとってpHバランスがいかに重要かをご理解いただけたところで、本題に入ります。なぜ、特に「男性の肌」はpHバランスが乱れやすく、様々なトラブルに見舞われがちなのでしょうか。その答えは、男性特有の肌の生理学的な特徴と、日常的な習慣に隠されています。
男性の肌が持つ3つの生理学的特徴
男性の肌は、女性の肌とは異なる、いくつかの際立った特徴を持っています。これらが複合的に絡み合うことで、pHバランスが不安定になる土壌が作られています。
特徴1:過剰な皮脂分泌量
最も大きな特徴は、皮脂の分泌量です。男性ホルモン(テストステロン)の影響により、男性の皮脂分泌量は女性の約2〜3倍にものぼると言われています。皮脂自体は、肌の潤いを守る皮脂膜の材料となるため必要不可欠なものですが、過剰に分泌されると問題が生じます。皮脂に含まれる脂肪酸によって肌表面は酸性に傾きやすくなり、テカリやベタつきの直接的な原因となります。さらに、この豊富な皮脂は、毛穴を詰まらせたり、アクネ菌のエサになったりすることで、ニキビのリスクを著しく高めます。
特徴2:少ない水分量
皮脂が多い一方で、肌の角質層に含まれる水分量は女性よりも少ない傾向にあります。一般的に、男性の肌の水分量は女性の半分から3分の2程度しかないとされています。水分が少ないということは、肌のバリア機能が元々脆弱である可能性を示唆します。潤いが不足した肌は乾燥しやすく、pHがアルカリ性に傾きがちになります。この「皮脂は多いのに水分は少ない」というアンバランスな状態が、男性肌のケアを難しくする最大の要因です。
特徴3:毎日の髭剃りによる物理的ダメージ
多くの男性にとって日課である髭剃りは、肌にとって非常に大きな負担となります。カミソリの刃は、髭だけでなく、肌を守っている角質層の表面をも削り取ってしまいます。これにより、肌のバリア機能の最前線である皮脂膜が強制的に剥がされ、肌は一時的に無防備な状態に晒されます。保護膜を失った肌は、pHがアルカリ性に急激に傾き、外部からの刺激をダイレクトに受けてしまいます。これが、カミソリ負けによるヒリヒリ感や赤みの直接的な原因です。このダメージは毎日繰り返されるため、肌が自力で弱酸性に戻る「アルカリ中和能」という機能が追いつかず、慢性的にバリア機能が低下した状態に陥りやすくなります。
pHバランスの乱れが引き起こす代表的な肌トラブル
これらの男性特有の要因によってpHバランスが崩れると、肌は「アルカリ性」か「酸性」のどちらかに極端に傾き、それぞれ特有の肌トラブルを引き起こします。
ケース1:アルカリ性に傾いた場合(乾燥・敏感・カミソリ負け)
- メカニズム:髭剃りによるダメージや、洗浄力の強すぎる洗顔、加齢などによって肌のバリア機能が著しく低下すると、pHはアルカリ性に傾きます。バリアが壊れた肌は、ダムに穴が空いた状態と同じで、内部の水分がどんどん蒸発していきます(乾燥)。同時に、外部からの刺激(雑菌、化学物質、摩擦など)が容易に侵入できるようになり、免疫系が過剰に反応して炎症(赤み、かゆみ)を引き起こします。
- 代表的な悩み:洗顔後のつっぱり感、口元や頬の粉ふき、衣類が触れるだけでかゆい、化粧水がしみる、髭剃り後に必ず肌が赤くなる、など。これらはすべて、肌がアルカリ性に傾き、無防備になっているサインです。
ケース2:酸性に傾きすぎた場合(テカリ・ニキビ・毛穴詰まり)
- メカニズム:過剰な皮脂分泌が主な原因です。多すぎる皮脂は、肌表面をベタつかせ、酸化すると独特の臭いや肌のくすみを引き起こします。さらに、この皮脂が古い角質と混ざり合って「角栓」を形成し、毛穴を塞いでしまいます(毛穴詰まり)。塞がれた毛穴の中は、皮脂が溜まり、酸素が少ない環境を好むアクネ菌にとって絶好の繁殖場所となります。アクネ菌が増殖する過程で炎症を引き起こし、赤ニキビや化膿ニキビへと発展します。
- 代表的な悩み:日中の顔のテカリ、触ると指がベタつく、鼻の黒ずみ毛穴、おでこや顎に繰り返しできる大人ニキビ、など。これらは皮脂コントロールがうまくいかず、肌が酸性に傾きすぎている兆候です。
【深掘り】多くの男性が陥る「インナードライ」という罠
ここで、男性の肌を語る上で避けては通れない、非常に重要な概念「インナードライ」について深掘りします。インナードライとは、その名の通り「肌の内部(Inner)は乾燥(Dry)しているのに、肌の表面は皮脂でベタついている」という、一見矛盾した状態を指します。
これは、まさに男性の肌が持つ「水分量が少なく、皮脂量が多い」という特徴と、pHバランスの崩壊が引き起こした最悪の悪循環と言えます。
インナードライの発生メカニズム(負のスパイラル)
1. 肌内部の水分が不足し、乾燥が進む。(バリア機能が低下し、肌がアルカリ性に傾き始める)
2. 肌は、乾燥という危機的状況から自らを守ろうと、防御反応として皮脂を過剰に分泌する。
3. その結果、肌表面は過剰な皮脂でベタつくが、根本的な原因である内部の乾燥は解決していない。
4. 多くの男性は、この表面的なベタつきを「自分は脂性肌だ」と誤解する。
5. 脂性肌用とされる洗浄力の強い洗顔料でゴシゴシ洗い、皮脂を根こそぎ奪ってしまう。
6. これにより、肌の乾燥はさらに悪化し、バリア機能は崩壊。肌はさらに多くの皮脂を分泌しようとする。(1に戻る)
このスパイラルに陥ると、いくら皮脂を取っても問題は解決せず、むしろ肌の状態は悪化の一途をたどります。Tゾーンはテカるのに頬はカサつく、ニキビと乾燥の両方に悩んでいる、といった方は、インナードライである可能性が非常に高いです。この状態を正しく理解し、「ベタつきの根本原因は、実は乾燥にある」という視点を持つことが、pHバランスを整え、健やかな肌を取り戻すための最初の、そして最も重要なステップなのです。
あなたの肌はどのタイプ?30秒でわかる肌pH傾向セルフチェック
ここまでの解説で、ご自身の肌悩みがpHバランスの乱れとどう関係しているか、少しずつ見えてきたのではないでしょうか。次のステップは、現在のあなたの肌が「アルカリ性」と「酸性」のどちらに傾きやすい傾向にあるのかを客観的に把握することです。以下の簡単なチェックリストで、ご自身の肌と向き合ってみましょう。
肌pH傾向セルフチェックリスト
以下の7つの項目のうち、ご自身に当てはまるものにチェックを入れてみてください。直感で構いません。
- [ 1 ] Tゾーン(額・鼻)はテカるが、頬や口周りはカサつくことがある。
- [ 2 ] 洗顔後、何もつけないと肌がすぐにつっぱる感じがする。
- [ 3 ] 髭剃り後、肌がヒリヒリしたり、赤くなったりすることが多い。
- [ 4 ] ニキビや吹き出物ができやすく、特に同じ場所に繰り返す傾向がある。
- [ 5 ] 肌のキメが粗く、触るとごわつきやザラつきを感じる。
- [ 6 ] 使っている化粧水が、時々しみるように感じることがある。
- [ 7 ] 時間が経つと、顔全体が皮脂でベタベタになるのが気になる。
診断結果:あなたの肌タイプは?
さて、いくつ当てはまったでしょうか。この結果から、あなたの肌のpH傾向を2つのタイプに分類します。
Aタイプ:アルカリ性に傾きがち【乾燥・敏感・インナードライ型】
チェック項目【1, 2, 3, 6】に多く当てはまった方
あなたの肌は、バリア機能が低下し、pHがアルカリ性に傾きやすい状態にあると考えられます。肌内部の水分が不足しており、外部からの刺激に対して非常にデリケートになっています。表面的なベタつき(項目1)を感じていても、それは内部の乾燥を補うための過剰な皮脂分泌、つまり「インナードライ」の可能性が高いです。根本的な課題は「徹底的な水分補給」と「バリア機能の再建」です。洗浄力の強すぎるケアは避け、肌の潤いを守り育てるアプローチが求められます。
Bタイプ:酸性に傾きがち【脂性・ニキビ型】
チェック項目【4, 5, 7】に多く当てはまった方
あなたの肌は、皮脂分泌が活発で、pHが酸性に傾きやすい状態にあると考えられます。過剰な皮脂が毛穴詰まりやニキビの直接的な原因となっています。肌のごわつき(項目5)は、皮脂と古い角質が溜まっているサインかもしれません。あなたの課題は「適切な皮脂コントロール」と「毛穴のクリーンアップ」です。ただし、皮脂を取りすぎるとインナードライを誘発する危険性もあるため、ただ洗浄するだけでなく、水分と油分のバランスを整える意識が非常に重要になります。
注意点
この診断はあくまで傾向を把握するためのものです。AとBの両方に同じくらい当てはまる方もいるでしょう。その場合、季節や体調によって肌状態が揺れ動く「混合肌」の可能性があります。その日の肌の「声」を聞きながら、両タイプのケアを柔軟に組み合わせることが理想的です。例えば、「洗顔はBタイプ、保湿はAタイプ」のように調整するのも有効な手段です。
【実践編】肌pHを整える!男性向け肌質別・最適スキンケアマニュアル
自分の肌のpH傾向を把握したところで、いよいよ最も重要な実践編です。ここでは、先ほどの診断結果に基づき、「Aタイプ」「Bタイプ」それぞれに最適なスキンケアプランを、基本の3ステップ「洗顔」「保湿」「保護」に分けて具体的に解説します。アイテム選びの際に注目すべき「成分」から、日々のケアで意識すべき「コツ」まで、明日からすぐに取り入れられる情報が満載です。
Aタイプ:アルカリ性に傾きがち【乾燥・敏感・インナードライ型】のあなたへ
ケアの基本戦略:『守りのケア』
最優先事項は、これ以上バリア機能を壊さず、徹底的に水分を補給し、肌本来の潤う力を育むことです。刺激を避け、優しく、丁寧に肌をいたわることを心がけましょう。
ステップ | 目的 | アイテム選びのポイント(成分) | 実践のコツ |
---|---|---|---|
1. 洗顔 | 汚れは落としつつ、肌に必要な潤い(皮脂膜や細胞間脂質)を死守する | 洗浄成分がマイルドな「アミノ酸系」の洗顔料が最適です。パッケージの成分表示で「ココイルグルタミン酸Na」「ラウロイルメチルアラニンNa」などの記載があるものを探しましょう。肌のpHに近い「弱酸性」タイプが理想です。保湿成分であるセラミド、ヒアルロン酸、グリセリンなどが配合されていると、洗い上がりのつっぱり感をさらに軽減できます。 | ぬるま湯(32℃程度)が鉄則。熱いお湯は必要な皮脂まで奪い、乾燥を助長します。洗顔料は手で泡立てず、泡立てネットで濃密な泡を作ります。顔に直接指が触れないよう、泡をクッションにして優しく転がすように洗いましょう。特に乾燥しやすい頬や口周りはさっと済ませ、洗いすぎは厳禁です。朝、ベタつきがなければぬるま湯だけの洗顔も有効です。 |
2. 保湿 | カラカラに乾いた肌の内部に水分を届け、アルカリ性に傾いたpHを弱酸性に戻す | 高保湿成分が豊富に含まれた化粧水を選びます。特に重要なのは「セラミド」(バリア機能の主成分)、「ヒアルロン酸」(高い保水力)、「PCA-Na」や「アミノ酸類」(天然保湿因子NMFの主成分)です。敏感になっている肌への刺激を避けるため、アルコール(エタノール)フリー、無香料、無着色など、低刺激性の処方を選ぶと安心です。 | 洗顔後、1分以内にすぐ使用するのがゴールデンルール。タオルで優しく水分を押さえたら、間髪入れずに保湿を開始します。500円玉大を手に取り、顔全体を手のひらで包み込むように優しく押し込みます(ハンドプレス)。叩いたり擦ったりするのはNG。特に乾燥が気になる目元や口周りには、重ね付けすると効果的です。 |
3. 保護 | 補給した水分が蒸発しないように油分で蓋をし、弱ったバリア機能を擬似的に補強する | 水分と油分をバランス良く補える「乳液」や「クリーム」が必須です。バリア機能をサポートする「セラミド」や、肌なじみの良い油分である「スクワラン」配合のものがおすすめです。ベタつきがどうしても苦手な場合は、みずみずしい使用感の「保湿ジェル」から始めてみましょう。 | パール粒大(乳液なら10円玉大)を手に取り、手のひらで軽く温めてから顔に塗布します。乾燥しやすいUゾーン(頬、顎)から先につけ、最後に残った分を皮脂の出やすいTゾーン(額、鼻)に軽くつけるのがポイントです。これにより、全顔の水分と油分のバランスが整いやすくなります。 |
Bタイプ:酸性に傾きがち【脂性・ニキビ型】のあなたへ
ケアの基本戦略:『攻めと守りの両立ケア』
過剰な皮脂や古い角質を適切に取り除きつつ、保湿を怠らないことで水分と油分のバランスを整え、皮脂の過剰分泌を抑制することが目標です。ただ取るだけでなく、与えるケアも重要です。
ステップ | 目的 | アイテム選びのポイント(成分) | 実践のコツ |
---|---|---|---|
1. 洗顔 | ベタつきの原因である過剰な皮脂や、毛穴を塞ぐ古い角質を適切に除去し、肌をリセットする | 適度な洗浄力を持つ「石鹸系」や、皮脂を吸着する効果のある「クレイ(泥)」や「炭」が配合された洗顔料が有効です。ニキビや肌荒れを防ぐ抗炎症成分「グリチルリチン酸2K」や、角質を柔らかくする「サリチル酸」が配合された医薬部外品も良い選択肢です。これらの洗浄力がやや高めの洗顔料は、一時的に肌を弱アルカリ性に傾けますが、その後の保湿でしっかり弱酸性に戻せば問題ありません。 | 泡立てネットでキメ細かい弾力のある泡を十分に作ることが重要です。泡が少ないと摩擦の原因になります。皮脂の多いTゾーンや顎から洗い始め、頬などの乾燥しやすい部分は最後にさっと洗います。ゴシゴシ擦るのは絶対にNG。すすぎは特に丁寧に行い、髪の生え際やフェイスラインに泡が残らないように注意しましょう。 |
2. 保湿 | 洗顔でアルカリ性に傾いた肌を素早く弱酸性に戻し、十分な水分を与えることで皮脂の過剰分泌を抑制する | さっぱりとした使用感の化粧水を選びましょう。皮脂分泌をコントロールする「ビタミンC誘導体」、ニキビの炎症を抑える「グリチルリチン酸2K」などが配合されているものがおすすめです。ニキビができやすい方は、ニキビの元になりにくい処方であることを示す「ノンコメドジェニックテスト済み」の表記がある製品を選ぶと良いでしょう。 | 洗顔で皮脂がリセットされた肌は、水分を吸収しやすい状態です。すぐに化粧水で水分を補給し、pHを正常化させることが重要です。ベタつきが気になる方は、コットンに化粧水を含ませて優しくパッティングすると、さっぱりと均一に塗布できます。肌がひんやりと感じるまで、たっぷりと水分を与えましょう。 |
3. 保護 | 補給した水分をしっかり閉じ込めつつ、ベタつかせずに肌表面をサラッと整える | 油分が少ない、あるいは含まれていない「オイルフリー」の保湿剤が最適です。みずみずしい「ジェルタイプ」の保湿液や、化粧水・乳液・美容液の機能が一つになった「オールインワン美容液(ジェル)」が手軽で続けやすいでしょう。保湿成分として「ヒアルロン酸」や「コラーゲン」などが配合されているものを選ぶと、ベタつかずに潤いをキープできます。 | 「ベタつくから保湿はしない」は最悪の選択です。水分不足を招き、さらなる皮脂分泌の原因になります。あずき粒程度の少量を手に取り、顔全体に薄く伸ばします。テカリが気になるTゾーンは避け、乾燥しやすい部分だけに塗るという方法も有効です。 |
まとめ:今日から始める、ブレない美肌のための「pHコントロール」3つのルール
ここまで、男性の肌とpHバランスの関係性、そして肌質別の具体的なケア方法について詳しく解説してきました。情報量が多く、一度にすべてを完璧に実践するのは難しいかもしれません。そこで最後に、この記事の最も重要なエッセンスを、日々の生活で意識すべき3つのシンプルなルールに凝縮しました。この3つを心に留めておくだけで、あなたのスキンケアは劇的に変わり、ブレない美肌への道が拓けるはずです。
ルール1:自分の肌の「声」を聞く。
今日の肌はベタついているか?それともカサついているか?洗顔後につっぱり感はないか?髭剃り後のヒリつきはどうか?――日々の肌が発する些細なサインは、あなたの肌のpHバランスが今どちらに傾いているかを教えてくれる貴重な「声」です。それを「いつものこと」と見過ごさず、肌のバロメーターとして捉えましょう。例えば、「今日は特に乾燥しているから、保湿クリームを少し多めにしよう」「最近ニキビができやすいから、ビタミンC配合の美容液をプラスしてみよう」といった微調整ができるようになれば、あなたはもうスキンケア上級者です。
ルール2:「成分」で選ぶ習慣をつける。
「男性用」「for MEN」といったパッケージの言葉だけに頼るのは卒業しましょう。重要なのは、その製品に「何が入っているか」です。この記事で学んだように、あなたの肌タイプ(pH傾向)に合った有効成分が配合されているか、ぜひパッケージの裏にある成分表示を確認する癖をつけてください。「乾燥が気になるから、まずはセラミド配合のものを探そう」「テカリを抑えたいから、ビタミンC誘導体が入っているかチェックしよう」。この視点を持つだけで、無数にある製品の中から、本当に自分の肌に必要な一本を選び抜くことができるようになります。
ルール3:正しい「手順」と「使い方」を徹底する。
どんなに高価で優れた成分のアイテムも、使い方が間違っていればその効果は半減してしまいます。むしろ、肌にダメージを与えてしまうことさえあります。肌のpHバランスを整える上で最も重要なのは、日々の基本的な所作です。
- 「優しく洗う」:摩擦はバリア機能最大の敵。泡をクッションに。
- 「間髪入れずに保湿」:洗顔後の肌は無防備。すぐに潤いの鎧を。
- 「こすらず押さえる」:化粧水も乳液も、ハンドプレスで優しく浸透させる。
これらの基本動作こそが、肌のpHバランスを理想的な弱酸性に保ち、健やかな状態を維持するための最も確実で、最も重要な習慣なのです。
pHコントロールは、一日にして成らず。しかし、今日からこの3つのルールを意識してスキンケアに取り組めば、あなたの肌は着実に、そして確実に良い方向へと変わっていくはずです。自信に満ちた、清潔感あふれる肌と共に、新しい毎日をスタートさせましょう。
コメント