静岡県東部に位置する三島市。隣接する沼津市が「港町」として全国的に有名なため、寿司といえば沼津を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実は三島市にも、食通や本物の寿司職人さえも唸らせる、隠れた名店が数多く存在します。この記事では、なぜ三島で質の高い寿司が味わえるのかを解き明かし、予約してでも訪れたい本格寿司店を厳選して12店舗ご紹介します。
なぜ三島で本格的な寿司が味わえるのか?
三島の寿司文化の背景には、地理的要因と、そこで育まれた職人たちの技があります。単に「美味しい」だけではない、その理由を深掘りしてみましょう。
駿河湾の恵みと富士山の伏流水
静岡県の寿司が美味しい最大の理由は、日本一深い湾である「駿河湾」の存在です。水深2,500mを誇るこの湾には多種多様な魚介類が生息しており、三島市は沼津港をはじめとする漁場へのアクセスが良好です。これにより、常に新鮮な地魚を仕入れることが可能です。さらに、富士山の雪解け水が長い年月をかけてろ過された「伏流水」が豊富に湧き出ることも、三島の食文化を支える重要な要素。この清らかで上質な水が、寿司の命ともいえるシャリ(酢飯)の味を格段に引き立てるのです。
静岡県が寿司のおいしい都道府県として知られる最も大きな理由は「駿河湾」という漁業にとって最高の環境をもつ湾を有していることです。
職人文化の継承と革新
三島の寿司店には、二つのタイプの職人文化が見られます。一つは、伝統的な「シャリ炊き3年、合わせ5年、握り一生」という言葉に代表される、長年の厳しい修行を経て一人前となる職人たち。彼らはネタの目利き、仕込み、熟成、握りの一連の工程に妥協なくこだわり、一貫に魂を込めます。もう一つは、「沼津魚がし鮨」に代表されるような、体系化された研修システムによって短期間でプロを育成する革新的なアプローチです。未経験からでも3ヶ月で職人としてカウンターに立つことを目指すこの方法は、伝統的な寿司業界に新たな風を吹き込んでいます。この両者が共存することで、三島の寿司シーンは多様で奥深いものになっています。
「本物」を見極める基準
この記事で紹介する店舗は、単なる人気ランキングではありません。以下の基準を重視し、真に「職人技が光る」店を厳選しました。
- シャリへのこだわり:米の選定、酢の配合(赤酢か白酢か)、炊き方、温度管理など、シャリに哲学を持っているか。
- ネタの仕事:新鮮さはもちろん、昆布締め、酢締め、熟成など、魚の旨味を最大限に引き出す「仕事」が施されているか。
- 職人の技と哲学:握りの技術だけでなく、客との対話や店の雰囲気づくりまで、職人の哲学が感じられるか。
- 予約の必要性:多くの客がその味を求めて訪れる、予約必須の人気度。
【厳選】三島が誇る本格江戸前寿司の名店
まずは、特別な日や大切な人との食事で訪れたい、三島を代表する最高峰の寿司店をご紹介します。予約は必須ですが、その価値は十分にあります。
鮨勝 – 銀座仕込みの技が光る、三島の隠れ家
三島駅近くにありながら、知る人ぞ知る隠れ家的な名店が「鮨勝」です。銀座で長年修行を積んだ店主が握る寿司は、伝統的な江戸前鮨の技術が随所に光ります。シャリには魚介との相性を考え抜いた赤酢を使用し、ネタとシャリ双方の旨みをシンプルに伝える黄金比率を追求。カウンター越しに繰り広げられる無駄のない所作と、気さくな大将との会話もまた、この店の魅力の一つです。その人気から、近年は予約が取りにくいことでも知られています。
銀座で長年修業を積んだ店主が握る伝統的な江戸前鮓。静岡の新鮮な海の幸に職人技が加わり、得も言われぬ贅沢なひとときが流れる。
住所 | 静岡県三島市一番町12-1 |
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価格帯 | ディナー: ¥15,000~ |
予約 | 必須(電話予約が基本) |
つばさ寿司 本店 – 魚を知り尽くした大将が握る、探求心の一貫
長年の釣りの経験から魚を熟知した大将が、自ら沼津港や豊洲市場、時には北海道・羅臼からも最高のネタを仕入れる「つばさ寿司 本店」。ネタの旬を見極め、〆た直後と寝かせた場合での旨味の変化を計算し、最適なタイミングで提供することに強いこだわりを持っています。シャリには羽釜で炊き上げた米と赤酢を、山葵は中伊豆の契約農家から仕入れる最高級品「真妻」を使用するなど、細部にまで妥協がありません。完全予約制で、その味を求めて遠方から訪れる客も絶えません。
丁寧に仕込みした寿司を五感で味わって頂くこと、これが当店の心意気です。
住所 | 静岡県三島市広小路町13-9 |
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価格帯 | ディナーコース: ¥16,500~ |
予約 | 完全予約制 |
寿しの勘一 – 地元で愛される予約必須の人気店
三島広小路駅からほど近い場所にある「寿しの勘一」は、地元住民から絶大な支持を受ける人気店です。ご夫婦で切り盛りするアットホームな雰囲気ながら、提供されるネタは上質そのもの。常時40種類ほど用意されるというネタの豊富さも魅力で、定番から珍しい魚まで楽しめます。特に、おろしたての本山葵をたっぷりと添えてくれるスタイルは、本物の味を知る客を喜ばせています。人気店ゆえ、事前の電話予約が賢明です。
ネタはしっかりと仕事され、種類も常時40種類ほど用意されている。とにかく大将と奥様の人柄も良し!
住所 | 静岡県三島市広小路町2-23 |
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価格帯 | ディナー: ¥10,000~¥14,999 |
予約 | 予約推奨(特に週末は必須) |
地元で愛される!確かな技と新鮮さが魅力の寿司店
次に、地域に根差し、地元の人々に長年愛され続けている実力派の寿司店をご紹介します。高級店に引けを取らないクオリティを、少しだけ気軽に楽しめます。
あめや鮨 – 接待にも最適な本格江戸前寿司
三嶋大社の近くに店を構える「あめや鮨」は、伊豆の山海の幸でもてなす本格江戸前寿司とすし会席の店です。落ち着いた雰囲気の店内には座敷もあり、接待や会食での利用にも適しています。ランチ営業もしており、リーズナブルな価格で本格的な寿司御膳が楽しめると評判です。ネタとシャリのバランスが絶妙で、どの素材も新鮮で美味しいと口コミでも高く評価されています。
住所 | 静岡県三島市大宮町2-12-15 |
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価格帯 | ランチ: ¥1,000~、ディナー: ¥6,000~ |
予約 | 予約可(特に座敷利用時は推奨) |
くるま寿し – 八丈島の郷土料理を取り入れた「三島寿し」
「くるま寿し」の看板メニューは、八丈島の郷土料理「島寿司」をヒントに考案された「三島寿し」。みりん醤油の特製ダレに漬け込んだサワラなどを、和辛子を効かせた甘めの酢飯で握る độc創的な一品です。もちろん、伝統的な握り寿司も提供しており、地元民に長く愛されています。他では味わえない寿司を求めて訪れる価値のあるお店です。
住所 | 静岡県三島市徳倉4-37-6 |
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価格帯 | ディナー: ¥4,000~¥4,999 |
予約 | 予約可 |
藤すし – 三島野菜を使った創作寿司も楽しめる
三島広小路駅近くの「藤すし」は、新鮮な魚介だけでなく、地元の特産品である「箱根西麓三島野菜」をふんだんに使った創作寿司が楽しめるユニークなお店です。旬の野菜を職人技で握った「三島野菜にぎり」は、見た目も鮮やかで、野菜本来の甘みと食感が楽しめます。伝統と創造性が融合した、新しい寿司の魅力を発見できるでしょう。
住所 | 静岡県三島市広小路町1-20 |
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価格帯 | ディナー: ¥5,000~¥5,999 |
予約 | 予約可(野菜にぎりは要予約) |
大手ならではの安定感!高品質な寿司チェーン
個人店とは異なる魅力を持つ、大手寿司チェーン。安定した品質と独自の強みを持つ2つのグループを三島で楽しむことができます。
沼津魚がし鮨グループ – 沼津港のセリ権を持つ鮮度と活気
静岡県東部を中心に絶大な知名度を誇る「沼津魚がし鮨」。最大の強みは、沼津魚市場のセリ権を自社で持っていること。これにより、駿河湾で水揚げされたばかりの新鮮な魚介を、中間業者を介さず直接店舗へ届けることができます。「新鮮・でかネタ」を謳う通り、ボリューム満点の寿司を手頃な価格で楽しめるのが魅力です。三島市内にも駅ビルや郊外の「流れ鮨」など、複数の店舗を展開しています。
沼津魚市場のセリ権を持った寿司屋です。 “沼津”という駿河湾でも最高の漁場から直送される魚介の数々。
店舗例 | 三島駅北口店、三嶋大社通り店、流れ鮨 三島店など |
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価格帯 | ランチ: ¥1,000~、ディナー: ¥3,000~ |
予約 | 店舗による(流れ鮨は席予約不可の場合あり) |
築地日本海 三島駅前店 – 職人技を気軽に楽しめる寿司居酒屋
三島駅南口すぐという好立地にある「築地日本海」。寿司職人がカウンターで握る本格的な寿司と、魚介を中心とした豊富な一品料理が楽しめる大衆割烹です。個室や座敷も完備しており、少人数から大人数の宴会まで幅広く対応可能。職人の技を間近で見ながら一杯楽しむもよし、家族で食事するもよし、様々なシーンで利用できる便利な一軒です。
住所 | 静岡県三島市一番町9-37 サンメイトビル |
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価格帯 | ランチ: ¥1,000~、ディナー: ¥3,000~ |
予約 | ネット予約・電話予約可 |
【番外編】家族で楽しめる人気の回転寿司
職人技を追求する本格寿司とは一線を画しますが、家族連れや友人同士で気軽に楽しめる回転寿司も、三島の食文化の一部です。ここでは代表的な2店舗を挙げます。
- くら寿司 三島南店: 種類豊富なメニューと、子供も喜ぶ「ビッくらポン!」が人気の全国チェーン。
- はま寿司 三島中央町店: 平日は一皿100円(税抜)からというリーズナブルな価格が魅力。タッチパネルでの注文システムも便利です。
【比較】三島 vs. 沼津 寿司文化の違い
寿司といえば沼津、というイメージを持つ方も多いでしょう。沼津には港町ならではの活気と、漁師町らしい豪快な寿司店が多く見られます。一方、三島はより洗練された江戸前鮨や、職人の個性が光る店が多い傾向にあります。ここでは比較対象として、沼津の人気店を2つ紹介します。
- すし処 京丸 本店(沼津): 沼津港場外に店を構え、地元の食材と豊洲市場直送の旬の魚を職人が握ります。うなぎ問屋が経営しているため、うなぎ料理も絶品です。
- 寿し和食 ひろちゃん(沼津): 静岡県の新鮮な魚介を使った寿司と、一品一品丁寧に調理された日本料理が楽しめる寿司割烹。座敷や個室も完備し、宴会や法要にも利用されます。
沼津が「量と鮮度」を前面に出す店が多いのに対し、三島は「技と粋」を追求する店が際立つ、という違いが見て取れるかもしれません。
まとめ:三島の寿司店選びで失敗しないために
三島市には、銀座で腕を磨いた職人が営む高級店から、地元で長年愛される実力店、そして大手ならではの安心感があるチェーン店まで、多種多様な寿司店が存在します。どのお店を選ぶべきか、目的別にまとめました。
- 特別な記念日や接待なら:「鮨勝」「つばさ寿司 本店」など、完全予約制の本格江戸前寿司店へ。最高の食材と職人技が、忘れられない時間を提供してくれます。
- 地元の本物の味を知りたいなら:「寿しの勘一」「あめや鮨」など、地元で評価の高い実力派の店へ。温かい雰囲気の中で、確かな味を楽しめます。
- 気軽に美味しい寿司を食べたいなら:「沼津魚がし鮨」や「築地日本海」へ。新鮮なネタと活気ある雰囲気で、満足度の高い食事ができます。
- 家族みんなで楽しむなら:「くら寿司」や「はま寿司」などの回転寿司が最適です。
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