VPN設定済み!届いてすぐ使えるテレワーク用レンタルPCサービス5選
VPN設定済み!届いてすぐ使えるテレワーク用レンタルPCサービス5選
KUREBA
働き方改革やパンデミックを契機に、テレワークは多くの企業にとって標準的な働き方となりました。しかし、その裏側では情報システム部門(情シス)が悲鳴を上げているのをご存知でしょうか。「急遽テレワーク用のPCを数百台用意しなければならない」「従業員の自宅から安全に社内ネットワークへ接続させるにはどうすれば?」「PCの初期設定(キッティング)が間に合わない!」――こうした課題は、多くの企業が直面する現実です。
特に、セキュリティ確保の要となるVPN(Virtual Private Network)設定は、専門知識が必要な上、一台ずつ設定するには膨大な時間がかかります。そこで今、注目を集めているのが「VPN設定済みの法人向けPCレンタルサービス」です。本記事では、情シス担当者の負担を劇的に軽減し、従業員が箱から出してすぐに業務を開始できる、選りすぐりのPCレンタルサービスを5社、徹底比較してご紹介します。
なぜ今、VPN設定済みのレンタルPCが情シス担当者に選ばれるのか?
PCを「購入」するのではなく「レンタル」する。さらに、VPN設定や各種アプリケーションのインストールまで済ませた状態で手元に届く。このサービスが、なぜこれほどまでに多忙な情シス担当者の心を掴んでいるのでしょうか。その背景には、テレワークならではの根深い課題が存在します。
テレワーク導入における「情シスあるある」課題
テレワークの導入は、情シスにとって新たな業務の連続です。東京商工会議所の調査によれば、緊急事態宣言後にテレワーク導入率が67.3%に達した一方で、「PC・スマホ等機器の確保」や「情報セキュリティ体制整備」が大きな課題として浮上しました。
具体的には、以下のような課題が挙げられます。
- 機器調達の壁:急な需要増で、必要なスペックのPCやモバイルルーターが市場で在庫不足になる。
- キッティング地獄:OSのアップデート、業務アプリケーションのインストール、セキュリティソフトの設定、VPNクライアントの設定など、一台ずつ手作業で行うには限界がある。
- セキュリティの不安:従業員の自宅ネットワークは安全とは限らない。VPN未設定のまま社内サーバーにアクセスさせることは、情報漏洩のリスクと隣り合わせ。
- ヘルプデスクのパンク:「VPNに繋がらない」「Wi-Fiの設定がわからない」といった問い合わせが殺到し、コア業務が停滞する。
これらの課題は、特にリソースの限られた中小企業や「ひとり情シス」体制の企業にとっては、事業継続を揺るがしかねない深刻な問題です。
「所有」から「利用」へ:PC調達の新しい常識
こうした課題を背景に、企業のIT資産管理の考え方は「所有」から「利用(サブスクリプション)」へと大きくシフトしています。その中核をなすのが、PCの調達から運用、保守、廃棄までをワンストップでアウトソースするPC-LCM(PC Life Cycle Management)サービスです。
MM総研の調査によると、国内のPC運用管理・保守サービス市場は成長を続けており、2023年度には3,013億円に達し、2026年度には3,668億円まで拡大すると予測されています。この成長は、企業がPC管理の負担を軽減し、より戦略的なIT投資にリソースを集中させたいというニーズの表れです。
レンタルサービスは、このPC-LCMの中核を担い、必要な時に必要な台数のPCを、資産として抱えることなく利用できる柔軟性を提供します。これにより、突発的な人員増減や短期プロジェクトにも迅速に対応可能となります。
セキュリティと利便性の両立:VPNとMDMの重要性
テレワーク環境において、利便性とセキュリティはトレードオフの関係になりがちです。しかし、適切なツールを導入することで、両立は可能です。
VPN (Virtual Private Network): インターネット上に仮想的な専用線を構築し、通信内容を暗号化することで、安全なデータ通信を実現する技術です。自宅やカフェなど、社外から社内ネットワークへ安全にアクセスするために不可欠です。
MDM (Mobile Device Management): スマートフォンやタブレット、PCなどのモバイル端末を企業が一元的に管理・運用するシステムです。遠隔でのロックやデータ消去、アプリケーションの配布、セキュリティポリシーの強制適用などが可能で、端末の紛失・盗難時の情報漏洩リスクを大幅に低減します。
VPN設定済みのレンタルPCは、従業員が複雑な設定を行うことなく、セキュアな環境で業務を開始できるという大きなメリットを提供します。さらにMDMを組み合わせることで、情シスは社外にある無数のデバイスを効率的かつ安全に管理できるようになり、ゼロトラストセキュリティの実現に一歩近づきます。
テレワーク用レンタルPCサービス選定の3つの重要ポイント
数あるPCレンタルサービスの中から、自社に最適な一社を見つけ出すには、どこに注目すればよいのでしょうか。ここでは、後悔しないための3つの選定ポイントを解説します。
1. ワンストップ対応力:キッティングから保守まで
情シスの負担を真に軽減するためには、単にPCを貸し出すだけのサービスでは不十分です。「計画・調達・導入・運用・リプレース・廃棄」というPCのライフサイクル全般をカバーするワンストップサービスが理想です。
- キッティングサービス:OSやOfficeソフトのインストールはもちろん、業務特有のアプリケーションやVPNクライアントの設定、マスターPCからのクローニングなど、どこまで細かく対応可能かを確認しましょう。
- 保守・サポート:故障時の代替機提供は迅速か。ヘルプデスクは利用しやすいか。これらは業務の継続性に直結する重要な要素です。
- データ消去:返却後のデータ消去が確実に行われるか。証明書の発行が可能かも確認ポイントです。
これらの業務を「丸投げ」できるサービスを選ぶことで、情シスは本来注力すべき戦略的な業務に集中できます。
2. セキュリティ対策の充実度:VPN・MDMは標準か
テレワークの最大の懸念事項はセキュリティです。サービス選定時には、どのようなセキュリティオプションが提供されているかを精査する必要があります。
- VPN設定:VPNクライアントの事前インストールや設定は標準サービスに含まれているか、オプションかを確認します。NTTPCのように、ネットワーク機器のレンタルとVPNサービスをセットで提供する事業者もあります。
- MDM連携:MDMツールとの連携や、MDM自体の提供は可能か。これにより、紛失時のリモートワイプ(遠隔データ消去)や、不正なアプリのインストール制限が可能になります。
- データレスPC:PC本体にデータを保存させない「データレスPC」ソリューション(例:Shadow Desktop)を提供しているかも、高度なセキュリティを求める企業にとっては重要な選択肢です。
3. 柔軟な契約とサポート体制
ビジネスの状況は常に変化します。その変化に柔軟に対応できる契約内容かどうかも見極めましょう。
- レンタル期間:1日や1週間といった短期から、数年の長期まで、幅広い期間に対応しているか。プロジェクト単位での利用や、新入社員研修など、一時的な需要にも応えられるかが重要です。
- 中途解約・台数変更:契約期間中の台数増減や、一部解約に柔軟に対応できるか。事業規模の変動に合わせた調整が可能であることは、コストの最適化に繋がります。
- サポート体制:全国対応が可能か、専門の技術スタッフによるサポートが受けられるかなど、万が一のトラブル時に迅速に対応してくれる体制が整っているかを確認しましょう。
【徹底比較】VPN設定済み!おすすめレンタルPCサービス5選
ここからは、前述の選定ポイントを踏まえ、VPN設定に対応し、テレワーク導入を強力に支援する法人向けPCレンタルサービスを5社厳選してご紹介します。
サービス比較一覧表
サービス名 | 特徴 | VPN・セキュリティ | キッティング | 契約期間 | 強み |
---|---|---|---|---|---|
横河レンタ・リース | PC-LCMのパイオニア。大規模運用に強み。 | MDM連携、データレスPCオプション、セキュリティ対策全般をサポート | マスターPC作成、クローニングなど高度な対応可 | 最短1週間~長期 | 豊富な在庫と運用管理ノウハウ |
レンタルバスターズ | 短期・大量・迅速対応。オフィス什器も扱う。 | VPNクライアント設定、データ消去ソフト標準搭載 | ~50台なら3日で対応可能。幅広い設定メニュー。 | 最短1日~長期 | 圧倒的なスピードと柔軟性 |
オリックス・レンテック | DaaS型パッケージ。IT機器全般をカバー。 | 「セキュアテレワークパッケージ」でVPN・セキュリティツールを包括提供 | パッケージに初期設定含む | 月額制(最短1日~) | オールインワンのパッケージ提案力 |
NTTPCコミュニケーションズ | ネットワークのプロ。機器と回線をセットで提供。 | FortiGate等UTM機器レンタル、各種VPNサービスを自社提供 | ネットワーク機器の設定・設置工事に対応 | 月額制 | セキュアなネットワーク構築力 |
テクノレント | リコーリースグループ。SIMフリーPCも豊富。 | 遠隔データ削除、代替機交換サービス | Windows Autopilotなど最新技術にも対応 | 最短1日~長期 | 多様な機種と最新技術への対応力 |
横河レンタ・リース株式会社
特徴
PC-LCMサービスの業界大手として、100万台を超えるレンタル在庫と年間13万台以上のインテグレーション実績を誇ります。大規模なPC導入や入れ替えにおいて、その豊富なノウハウと安定した供給力は大きな安心材料となります。
VPN・セキュリティサービス
PCレンタルに付随する形で、MDM(Ivanti Neurons for MDMなど)の導入支援や、PCにデータを残さないデータレスPCソリューションを提供。セキュリティに関する包括的なコンサルティングも強みです。
サポート体制と料金目安
PC運用管理ツール「Simplit Manager」を無償で提供し、レンタル資産と自社資産の一元管理を支援。料金は機種や契約期間により異なり、例えば4年契約で月額1,830円~といったプランがあります。
株式会社レンタルバスターズ
特徴
「オフィス×リユース」を掲げ、PCだけでなくオフィス家具や什器のレンタルも手掛けています。最短1日からの短期レンタルや、急な大量発注にも対応できるスピード感が最大の武器です。
VPN・セキュリティサービス
キッティングサービスの一環として、VPNクライアント設定(ルーター側設定済み想定)に対応。また、返却後の情報漏洩を防ぐため、データ消去ソフトを標準でインストールして納品するなどの配慮がなされています。
サポート体制と料金目安
全国に拠点を持ち、営業・顧客サポート体制を強化しています。料金は2年契約で月額1,200円~と、コストパフォーマンスにも優れています。キッティングやヘルプデスクもワンストップで依頼可能です。
オリックス・レンテック株式会社
特徴
計測器からIT機器まで、幅広い機器のレンタルを手掛ける業界の重鎮。近年はDevice as a Service (DaaS) に力を入れており、PC本体とソフトウェア、サポートをパッケージ化したサービスが特徴です。
VPN・セキュリティサービス
在宅勤務向けの「セキュアテレワークパッケージ」は、ノートPC、閉域網接続、MDM、コミュニケーションツールなどをまとめて月額料金で提供する画期的なサービスです。個別に契約する手間が省け、導入時の負担を大幅に削減できます。
サポート体制と料金目安
パッケージサービスは月額18,000円~(税別)。PCの調達からセキュリティ対策、廃棄までを一括で任せられるため、トータルコストと管理工数の削減効果が期待できます。
NTTPCコミュニケーションズ株式会社
特徴
通信事業者ならではの強みを活かし、ネットワークインフラに主軸を置いたサービスを展開。PC本体というよりは、テレワーク環境に必須のルーターやスイッチ、UTM(統合脅威管理)といったネットワーク機器のレンタルに強みがあります。
VPN・セキュリティサービス
シスコシステムズ社製ルーターやフォーティーネット社製FortiGateといった信頼性の高い機器を月額でレンタル可能。設定、設置工事、保守運用までをワンストップで提供し、企業のセキュアなネットワーク構築を根幹から支えます。
サポート体制と料金目安
機器レンタルと各種VPNサービス(IP-VPN、広域イーサネット、セキュアリモートアクセス等)を組み合わせて、企業の要件に合わせた最適なネットワーク環境を提案。料金は構成により個別見積もりとなります。
テクノレント株式会社
特徴
リコーリースグループの一員として、PCや計測器のレンタルを提供。HP、Lenovo、Panasonicなど多様なメーカーのPCを取り扱い、SIMフリーパソコンのラインナップも豊富です。
VPN・セキュリティサービス
キッティングサービス内でVPN設定に対応。また、最新のPC展開手法である「Windows Autopilot」のキッティング作業にも対応しており、ユーザーがPCを受け取ってサインインするだけで自動的に設定が完了する、ゼロタッチ導入を支援します。
サポート体制と料金目安
短期から長期まで柔軟なレンタル期間を設定。故障時にはキッティング済みの代替機を最短即日で配送するなど、業務への影響を最小限に抑えるサポート体制が整っています。料金は個別見積もりとなります。
レンタルPC導入の成功事例
実際にレンタルPCサービスを導入した企業は、どのような効果を得ているのでしょうか。具体的な事例を見てみましょう。
事例1:PC調達と運用の工数を大幅削減(NTTデータ グローバルソリューションズ様)
同社は、業務用PCの調達をグループ内調達から横河レンタ・リースのPCレンタルに切り替えました。これにより、業務に必要な性能を備えたPC調達のハードルを下げ、運用に関わる業務の削減に成功。PCのライフサイクルマネジメントも強化され、情シス担当者はより戦略的な業務に時間を割けるようになりました。
事例2:PC導入から廃棄までの一括管理でコア業務に集中(浜田酒造株式会社様)
当初、PCのレンタルという選択肢を考えていなかった同社ですが、オリックス・レンテックからPCの選定、初期設定、配送、廃棄までをワンストップで提供するレンタルサービスの提案を受け、導入を決定。煩雑だったPC管理業務から解放され、課題が一気に解決したといいます。これにより、本来のコア業務に集中できる環境が整いました。
まとめ:自社の課題を解決する最適なパートナーを選ぼう
テレワークが常態化する現代において、PCの調達と管理は、もはや単なる「作業」ではなく、企業の生産性とセキュリティを左右する「戦略」の一部です。VPN設定済みのレンタルPCサービスは、この戦略を成功に導くための強力なソリューションと言えるでしょう。
今回ご紹介した5社は、それぞれに異なる強みを持っています。
- 大規模運用と徹底した管理を求めるなら「横河レンタ・リース」
- スピードと柔軟性を最優先するなら「レンタルバスターズ」
- セキュリティを含めたオールインワンを望むなら「オリックス・レンテック」
- ネットワークインフラから見直したいなら「NTTPCコミュニケーションズ」
- 多様な機種と最新の導入手法を試したいなら「テクノレント」
自社の規模、業種、そして情シスが抱える最も大きな課題は何かを明確にし、それを解決してくれる最適なパートナーを選ぶことが重要です。まずは気になるサービスに問い合わせ、自社の状況を相談してみてはいかがでしょうか。きっと、煩雑なPC管理業務から解放され、より創造的な業務に集中できる未来への第一歩となるはずです。