動画制作・編集 読了時間: 1分

プロが教える動画撮影の基本テクニック|構図・照明・音声のポイント

2025年7月19日

プロが教える動画撮影の基本テクニック|構図・照明・音声のポイント

KUREBA

なぜあなたの動画は「素人っぽく」見えてしまうのか?

スマートフォンでも高画質な映像が撮れるようになり、誰もが手軽に動画を発信できる時代になりました。しかし、「せっかく撮ったのに、なんだか素人っぽい」「SNSで見かけるような“映画っぽさ”が出せない」と感じたことはありませんか?

最新のカメラや高価な機材を使っても、映像が「パッとしない」印象になってしまうのはなぜでしょうか。その答えは、「構図」「照明」「音声」という3つの基本要素にあります。

プロの映像クリエイターは、これら3つの要素を意図的にコントロールすることで、視聴者の感情を動かし、メッセージを的確に伝える「作品」を創り上げています。

この記事では、動画のクオリティを劇的に向上させるための「構図・照明・音声」の基本テクニックを、プロの視点から徹底解説します。これらのポイントを押さえるだけで、あなたの動画は確実にワンランク上の仕上がりになるはずです。

1. 構図:映像の「骨格」を決め、視線を操る設計図

構図とは、単に画面を整える技術ではありません。視聴者の視線を誘導し、感情を動かすための「演出」です。同じ被写体でも、構図一つで映像の印象は全く異なります。機材の性能に関係なく、今日から実践できる最も強力な武器が構図なのです。

まずは押さえたい!基本の3大構図

数ある構図の中でも、プロが現場で頻繁に使い、初心者でも失敗しにくい基本の3つをご紹介します。これらを覚えるだけで、撮影の引き出しが格段に増えます。

  • 日の丸構図(中央構図)
    被写体を画面のど真ん中に配置する最もシンプルな構図です。「初心者っぽい」と思われがちですが、背景をぼかしたり、余計な情報を排除したりすることで、主役を強く印象づける王道の手法となります。ポートレートや製品紹介など、被写体を象徴的に見せたい時に絶大な効果を発揮します。
  • 三分割法
    画面を縦横に3分割し、その線や交点に被写体を配置する、構図の「鉄板」です。多くのカメラやスマホに表示されるグリッドラインを活用すれば、誰でも簡単に実践できます。被写体の目線の先に空間(リーディングルーム)を作ることで、バランスの取れた安定感と、物語性を感じさせる「余韻」が生まれます。「なんだか映画っぽい」と感じる映像の多くは、この三分割法が巧みに使われています。
  • 二分割構図
    画面を上下または左右に分割する構図で、水平線や地平線、建物のラインなどを活かす際に有効です。特に空と大地、水面のリフレクションなどを撮る際に使うと、静けさや安定感、美しさを表現できます。また、左右の分割は「対比」を表現するのにも使え、2人の人物の関係性や、光と影の対比などを効果的に見せることができます。

表現の幅を広げる応用構図

基本をマスターしたら、次はシーンに合わせて表現の幅を広げてみましょう。

  • 放射線構図:道や線路、並木道など、一点に収束するラインを利用して、奥行きとダイナミズムを強調します。視線が自然と奥へ誘導され、ドラマチックな印象を与えます。
  • 対角線構図:被写体を斜めに配置することで、画面に動きとリズムを生み出します。静的な風景でも躍動感を表現したいときに有効です。
  • 三角形構図:高層ビルや山、座っている人物など、画面内に三角形を作ることで、どっしりとした安定感や安心感を与えます。
  • トンネル構図(額縁構図):手前の窓枠や木の枝などで被写体を囲むことで、視線を自然に主役へ集中させ、絵画のような奥行きのある映像を作り出します。

【プロの視点】構図は「伝えたい意図」から逆算する

プロは、ただ美しい構図を当てはめるのではありません。「このシーンで何を伝えたいか?」という意図を先に決め、それを最も効果的に表現できる構図を選びます。

例えば、「神聖さや厳格さを表現したい」ならシンメトリー(対称)な二分割構図を、「その場の臨場感を伝えたい」ならトンネル構図で覗き見しているような感覚を演出する、といった具合です。撮影前に「意図→構図」という思考プロセスを持つだけで、映像の説得力は劇的に変わります。

2. 照明(ライティング):映像の「雰囲気」を創り出す光の魔法

「照明が不十分だと、どんなに高性能なカメラを使っても映像の魅力は半減する」と言われるほど、ライティングは重要です。プロは照明を単に「明るくするため」に使うのではありません。光と影を巧みに操り、被写体の立体感や質感、そしてシーン全体の雰囲気や感情を豊かに表現するために使います。

驚くべきことに、適切なライティング技術を使えば、スマートフォンのカメラで撮影した映像でさえ、プロのような見た目に仕上げることが可能です。

動画撮影の基本「三点照明」をマスターする

三点照明は、人物撮影における最も基本的で効果的なライティング手法です。映像学校で最初に教わるこの技術は、3つのライトを戦略的に配置することで、自然で立体感のある映像を作り出します。

  1. キーライト(Key Light):最も明るいメインの光。被写体の斜め45度、少し高い位置から当て、主な光と影を作り出します。
  2. フィルライト(Fill Light):キーライトによってできた影を和らげる補助的な光。キーライトの反対側に配置し、光量はキーライトの半分程度に調整します。これにより、表情が柔らかく見えます。
  3. バックライト(Back Light):被写体の後ろから当て、輪郭を際立たせる光。被写体と背景を分離させ、映像に奥行きを与える効果があります。

この3つの光を組み合わせることで、被写体は背景からくっきりと浮かび上がり、プロフェッショナルな印象の映像が完成します。

照明機材の選び方:何から揃えるべきか?

動画撮影では、常に光り続ける「定常光」ライトを使用するのが基本です。写真撮影で使うストロボ(瞬間光)は動画には使えません。現在、動画撮影の現場ではLEDライトが主流となっています。

LEDライトが選ばれる理由:技術の進歩により、かつては高価で光量も弱かったLEDライトですが、現在は低価格・省電力・長寿命・低発熱とメリットが多く、色温度や明るさを自由に調整できるモデルも増えています。初心者からプロまで、最初の一台として最もおすすめできる選択肢です。

照明機材を選ぶ際は、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 演色評価数(CRI):色の再現度を示す数値。CRI 90以上のものを選ぶと、被写体の色が自然に見えます。
  • 色温度(K):光の色味を表す単位。5000K〜5600Kが太陽光に近く自然な色味ですが、暖色や寒色に調整できるモデルが便利です。
  • 明るさ(Lux/W):自宅での撮影なら30〜40W、30,000Lux程度が目安となります。

3. 音声:映像の「品質」を左右する最重要要素

「映像は音質が命」という言葉があるように、視聴者は画質の乱れよりも音質の悪さにストレスを感じやすいものです。エアコンの音、車の走行音、声の反響など、不要なノイズは視聴者の集中力を削ぎ、動画から離脱させてしまう最大の原因となります。

クリアな音声を録るための絶対原則

高価なマイクを使っても、使い方を間違えれば意味がありません。クリアな音声を録るための最も重要でシンプルな原則は、「マイクをできるだけ音源(口元)に近づけること」です。

マイクを音源に近づければ、目的の音(声)が大きく録音できます。その分、録音レベル(ゲイン)を下げられるため、相対的に周囲のノイズが小さくなります。これが、音質を上げるための「一丁目一番地」です。プロが長い竿(ブームポール)を使ってマイクを役者の口元に近づけるのは、まさにこのためです。

どんなに高性能なマイクでも、クリアに録音できる最適な距離は50cm以内と言われています。カメラの内蔵マイクではこの距離を保つのが難しいため、外部マイクの使用が必須となるのです。

シーン別・最適なマイクの選び方

マイクは「レンズと同じ」と言われ、万能な一本は存在しません。撮影シーンに合わせて適切なマイクを選ぶことが重要です。

  • ショットガンマイク:カメラの上に取り付けたり、ブームポールで吊るしたりして使います。狙った方向の音をシャープに拾うため、インタビューや屋外ロケで周囲の雑音を抑えたい場合に適しています。
  • ピンマイク(ラベリアマイク):演者の服に装着する小型マイク。口元との距離が常に一定に保たれるため、演者が動き回る場合でもクリアな音声を安定して収録できます。ワイヤレスシステムと組み合わせることで、自由度の高い撮影が可能になります。

撮影後のノイズ対策と編集テクニック

どれだけ注意して撮影しても、ノイズを完全にゼロにすることは困難です。そこで重要になるのが、編集段階での音声処理です。

動画編集ソフトには、ノイズを軽減するための機能が備わっています。

  • イコライザー(EQ):エアコンの「ブーン」という低い音など、特定の周波数のノイズをカットします。「ハイパスフィルター」で人の声に影響の少ない低周波をカットするのが基本です。
  • ノイズ除去エフェクト:「サー」というホワイトノイズや環境音を自動で解析し、軽減してくれる機能です。Premiere Proの「クロマノイズ除去」などが有名です。
  • VSTプラグイン:より高度な音声処理を行いたい場合、専門的な「VSTプラグイン」を導入する方法もあります。これらは動画編集ソフトの機能を拡張するもので、iZotope社の「RX」シリーズなどは、プロの現場でノイズ除去の定番ツールとして広く使われています。

こうした編集作業は専門的な知識を要しますが、映像の品質を決定づける非常に重要な工程です。

4. 【応用編】SNS時代の動画撮影テクニック

YouTubeだけでなく、InstagramリールやTikTokといったショート動画プラットフォームが主流になる中、それぞれの特性に合わせた撮影・編集が求められています。

プラットフォーム別・最適化のポイント

ショート動画で最も重要なのは、「縦型(9:16)での撮影」「冒頭3秒での引きつけ」です。

ユーザーは高速でスワイプしながらコンテンツを消費するため、最初の数秒で「面白そう!」と思わせなければ、すぐに見るのをやめてしまいます。「〇〇しないと損する理由」「9割が知らない裏技」といった、好奇心を刺激するフックで視聴者の心を掴むことが成功の鍵です。

また、テンポの良いカット編集、ズームやスローモーションの活用、テロップや効果音を効果的に使うことで、視聴者を飽きさせない工夫が求められます。横長の動画をただ縦に切り取るのではなく、最初から縦型に最適化された構図で撮影することが不可欠です。

まとめ:プロのクオリティは「基本」の積み重ねから

プロフェッショナルな動画は、魔法のように生まれるわけではありません。今回ご紹介した「構図」「照明」「音声」という3つの基本を、一つひとつ丁寧に、そして意図を持って積み重ねることで創り上げられます。

これらのテクニックを意識して撮影するだけで、あなたの動画のクオリティは飛躍的に向上するでしょう。しかし、これらの要素をすべて完璧にこなし、さらに視聴者を惹きつける編集を行うには、多くの知識と時間、そして経験が必要です。

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