LINE公式アカウント運用 読了時間: 1分

公社・団体のためのLINE公式アカウント活用戦略:住民・支援者と繋がる成功事例集

2025年12月3日

公社・団体のためのLINE公式アカウント活用戦略:住民・支援者と繋がる成功事例集

KUREBA

現代社会において、地方公共団体やNPO法人などの公社・団体が地域住民や支援者と効果的にコミュニケーションを取ることは、活動の成果を左右する重要な要素です。その中で、日本の人口の約8割が利用するコミュニケーションアプリ「LINE」は、もはや無視できない強力なツールとなっています。

しかし、「アカウントは開設したものの、情報発信が一方通行になっている」「友だちは増えたが、ブロックも多い」といった課題を抱える担当者も少なくありません。本記事では、公社・団体がLINE公式アカウントを最大限に活用するための具体的な戦略、成功事例、そして運用の鉄則を網羅的に解説します。

なぜ今、公社・団体にLINE公式アカウントが不可欠なのか?

多くのコミュニケーションツールが存在する中で、なぜLINEが公社・団体にとって特に重要なのでしょうか。その理由は、他のSNSやメディアにはない、LINEならではの3つの大きな強みに集約されます。

圧倒的なリーチと情報到達力

LINEの国内月間利用者数は約9,900万人(2025年6月時点)にのぼり、幅広い年齢層が日常的に使用しています。特筆すべきは、その情報の届きやすさです。メールマガジンの開封率が一般的に10%前後であるのに対し、LINE公式アカウントのメッセージ開封率は約60%と非常に高い水準を誇ります。

プッシュ通知によって利用者のスマートフォンに直接情報が届くため、防災情報のような緊急性の高い連絡から、イベントの告知まで、伝えたい情報をリアルタイムかつ確実に届けることが可能です。これは、情報が埋もれがちな他のメディアにはない大きなアドバンテージです。

住民・支援者との関係構築

LINEの強みは、単なる情報発信ツールに留まらない点にあります。チャット機能を活用することで、住民や支援者からの問い合わせに個別に対応したり、アンケート機能で意見を収集したりと、双方向のコミュニケーションが可能です。

従来の広報誌やウェブサイトが「点」の一方的な情報提供だったとすれば、LINEは継続的な対話を通じて「線」や「面」の関係性を築くことができます。この信頼関係が、行政への協力や活動への積極的な参加を促す土台となります。

コスト効率の高い運用

公社・団体にとって、予算の制約は常に大きな課題です。LINEヤフー社は、この点を考慮した特別なプランを提供しています。

  • 地方公共団体プラン: 都道府県および市区町村(東京23区含む)向けに提供される無償プラン。メッセージ配信数が無制限になるほか、通常は有料の「プレミアムID」も無料で利用でき、広報予算を大幅に抑えながら情報発信を強化できます。
  • NPO・非営利団体: 専用の無償プランはありませんが、LINE公式アカウントは無料で開設でき、月200通までのメッセージ配信が可能な「コミュニケーションプラン」から始められます。友だち数や配信頻度に応じて有料プランへの移行を検討できますが、小規模な運用であれば無料で十分に活用可能です。

これらのプランを活用することで、限られた予算内で最大の効果を目指すことができます。

【分野別】LINE公式アカウント活用事例

全国の地方公共団体やNPO法人は、LINEをどのように活用し、成果を上げているのでしょうか。具体的な事例を見ていきましょう。

地方公共団体:行政サービスのDX化と住民エンゲージメント

多くの自治体がLINEを導入し、住民サービスの向上と業務効率化を実現しています。

LINE公式アカウントは、防災、子育て、ごみ収集といった生活に密着した情報から、行政手続きのオンライン化まで、住民の暮らしを多方面から支える「スマホ市役所」としての役割を担い始めています。

  • 防災・緊急情報の発信(石川県珠洲市): 令和6年能登半島地震の際、広報担当が1名という状況下で、避難所情報や炊き出しといった「生きるための情報」をプッシュ通知で迅速に発信。住民の信頼を得ながら、命を守る情報伝達体制を構築しました。
  • 住民サービスの効率化(福岡市): 「ごみ」と入力すると分別方法や収集日を自動応答するチャットボットを導入。住民は24時間いつでも情報を得られ、市役所の問い合わせ対応業務の負担も軽減されました。また、受信したい情報のカテゴリを住民自身が選択できるセグメント配信も行っています。
  • 双方向コミュニケーション(長野県、大阪府寝屋川市): 長野県では、いじめや家庭の悩みを相談できる窓口としてLINEを活用。電話では相談しにくい内容もテキストで気軽に送れるため、開始1か月で電話相談1年分を上回る547件の相談が寄せられました。また、寝屋川市では、図書館再建にあたりLINEリサーチで市民アンケートを実施。「Wi-Fiの充実」や「カフェ併設」といった意見を設計に反映させ、市民参加型の施設づくりを実現しました。

NPO・非営利団体:支援の輪を広げるコミュニケーション戦略

NPOや非営利団体にとって、LINEは活動の生命線である支援者との関係を深めるための強力な武器となります。

  • 寄付・ボランティア募集の最大化: LINEの高い開封率を活かし、緊急支援の呼びかけやボランティア募集を効果的に行えます。「目標100万円のうち、現在70万円集まりました!」といった進捗をリアルタイムで共有することで、支援者に一体感を与え、寄付を促進する効果も期待できます。
  • 支援者との継続的な関係構築: イベント参加者に友だち登録を促し、活動報告や次回のイベント案内を送ることで、単発の関わりで終わらせず、長期的なサポーターへと育成します。「皆様の寄付で子どもたちに文房具を届けました」といった具体的な成果報告は、支援者の満足度を高め、ブロック防止にも繋がります。
  • イベント参加率の向上: イベント開催の1週間前、前日、当日など、段階的にリマインドメッセージを送ることで、参加者の「うっかり忘れ」を防ぎ、ドタキャン率を大幅に下げることができます。

成功に導くLINE公式アカウント運用5つの鉄則

事例のように成果を出すためには、単に情報を配信するだけでは不十分です。ここでは、公社・団体がLINE運用を成功させるために押さえるべき5つの鉄則を紹介します。

1. 明確な目的設定とKPI管理

「何のためにLINEを運用するのか」という目的を明確にすることが第一歩です。「住民への防災情報伝達の迅速化」「NPOの寄付額を前年比10%向上」「問い合わせ件数の20%削減」など、具体的な目標(KPI)を設定しましょう。目的が明確であれば、配信内容や活用すべき機能もおのずと定まります。

2. 「玄関」としてのリッチメニュー設計

リッチメニューは、トーク画面下部に固定表示されるメニューです。これはアカウントの「玄関」とも言える重要な機能で、ユーザーが求める情報にすぐにアクセスできるよう設計することが不可欠です。
例えば、自治体なら「防災情報」「ごみの出し方」「各種手続き」「子育て支援」、NPOなら「寄付する」「ボランティアに参加」「活動報告」といったボタンを設置することで、ユーザーの利便性が格段に向上し、ウェブサイトを能動的に探し回る手間を省けます。

3. 一方通行を避ける双方向コミュニケーション

LINE運用の失敗例で最も多いのが、情報を一方的に送りつけるだけの「お知らせ掲示板」化です。ユーザーがアカウントをブロックする最大の理由は「配信が多すぎる」「自分に関係ない情報が届く」ことです。
チャットボット(自動応答)を活用してよくある質問に答えたり、アンケート機能で住民や支援者の声を聞いたりすることで、対話型のコミュニケーションを心がけましょう。これにより、アカウントは「便利な相談相手」となり、エンゲージメントが深まります。

4. セグメント配信によるパーソナライズ

すべての友だちに同じメッセージを送るのではなく、受け手の属性や興味に合わせた情報を届ける「セグメント配信」は、ブロック率を下げ、満足度を高める上で極めて重要です。
例えば、以下のような配信が考えられます。

  • 自治体: 「子育て世帯」に限定して関連イベント情報を配信する。「〇〇地区」の住民にのみ断水情報を通知する。
  • NPO: 「過去に寄付してくれた人」に限定して感謝メッセージと成果報告を送る。「環境問題に関心がある」と回答した人に、関連ボランティア情報を配信する。

このようなパーソナライズされた情報は、ユーザーにとって「自分ごと」となり、価値を感じてもらいやすくなります。

5. 外部ツール連携による機能拡張

より高度な運用を目指すなら、LINE公式アカウントの機能を拡張する外部ツールの導入が有効です。例えば、合同会社KUREBA(kureba.co.jp)のような専門の運用支援会社は、こうしたツールを活用した戦略的なアカウント構築をサポートしています。

L Message(エルメ)やLステップといったツールを連携させることで、以下のような標準機能だけでは難しい施策が実現可能になります。

  • 友だち登録時のアンケートに基づいた、より詳細な自動セグメント分け
  • イベントや相談会のオンライン予約・リマインドの完全自動化
  • 個々のユーザーの行動履歴(リンククリックなど)に応じたシナリオ配信

これらの機能を活用することで、担当者の業務負担を軽減しつつ、よりきめ細やかで効果的なコミュニケーションを実現できます。

まとめ:LINEを「地域の資産」に変えるために

LINE公式アカウントは、単なる広報ツールではありません。正しく運用すれば、住民や支援者との信頼関係を築き、行政サービスを効率化し、社会的な活動への参加を促進する、まさに「地域のコミュニケーション・インフラ」となり得ます。

成功の鍵は、一方的な情報発信から脱却し、「価値ある情報を、適切な相手に、適切なタイミングで届ける」という双方向の視点を持つことです。本記事で紹介した鉄則と事例を参考に、ぜひあなたのアカウントを、地域にとってかけがえのない「資産」へと育ててください。

もし、自組織での運用に課題を感じていたり、より戦略的な活用方法を模索していたりする場合は、合同会社KUREBA(kureba.co.jp)のような専門知識を持つパートナーに相談することも、成功への近道となるでしょう。

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