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Meta広告カスタムコンバージョン設定ガイド:滞在時間とスクロール率でエンゲージメントを計測する方法

2025年12月11日

Meta広告カスタムコンバージョン設定ガイド:滞在時間とスクロール率でエンゲージメントを計測する方法

KUREBA

はじめに:エンゲージメントの高いユーザーを捉える重要性

Meta広告(Facebook広告・Instagram広告)の成果を最大化するためには、単にクリックやページビューを増やすだけでなく、本当に製品やサービスに関心を持っている「質の高いユーザー」を特定し、アプローチすることが不可欠です。しかし、「関心の高さ」という曖昧な指標をどのように計測すればよいのでしょうか?

その答えの一つが、マイクロコンバージョン(mCV)としてのカスタムコンバージョン設定です。具体的には、以下のようなユーザー行動をトラッキングすることで、エンゲージメントの高さを可視化できます。

  • サイト滞在時間2分以上:コンテンツをじっくり読み込んでいる可能性が高いユーザー
  • LPスクロール率70%以上:ページの大部分に目を通し、強い関心を示しているユーザー

この記事では、Meta広告の標準機能だけでは難しいこれらの高度なトラッキングを、Googleタグマネージャー(GTM)を活用して実現する具体的な手順を、初心者にも分かりやすく解説します。この設定により、広告の最適化精度を飛躍的に向上させ、より効率的な顧客獲得を目指すことが可能になります。

Meta広告トラッキングの基礎知識

具体的な設定に入る前に、Meta広告のトラッキングを支える基本的な要素について理解を深めておきましょう。これらの知識は、トラブルシューティングや応用的な設定を行う上で必ず役立ちます。

MetaピクセルとCAPIの役割

Meta広告のトラッキングは、主に「Metaピクセル」と「コンバージョンAPI(CAPI)」という2つの技術によって支えられています。

  • Metaピクセル: ウェブサイトに設置するJavaScriptコードのスニペットです。ユーザーがサイト上で行った行動(ページ閲覧、購入など)をブラウザ経由でMetaに送信します。いわば、ウェブサイトとMeta広告プラットフォームを繋ぐ「橋」のような存在です。Meta for Developersによると、ピクセルはサイト訪問者の行動を追跡し、広告効果測定、オーディエンス構築、広告最適化を可能にします。
  • コンバージョンAPI (CAPI): ブラウザを介さず、自社のサーバーから直接Metaのサーバーにイベントデータを送信する仕組みです。iOS14.5以降のプライバシー強化や広告ブロッカーの影響を受けにくいため、ピクセルを補完し、より正確なデータ計測を実現します。2025年の広告運用において、CAPIはもはやオプションではなく必須の要素とされています。

本ガイドで解説する設定は主にMetaピクセルをベースにしていますが、正確性を高めるためにはCAPIとの併用が強く推奨されます。

イベントとカスタムコンバージョンの違い

Meta広告のトラッキングでは、「イベント」と「カスタムコンバージョン」という言葉が頻繁に使われます。両者は密接に関連していますが、役割が異なります。

出典: Meta for Developersの情報を基に作成

イベント (Events)
ユーザーがウェブサイトやアプリで行った具体的な「アクション」そのものを指します。イベントには以下の3種類があります。

  • 標準イベント: Metaが事前に定義した17種類の主要なアクションです。「購入(Purchase)」「カートに追加(AddToCart)」「リード(Lead)」などが含まれます。Metaビジネスヘルプセンターで全リストを確認できます。
  • カスタムイベント: 標準イベントでカバーできない、ビジネス固有のアクションを独自に定義したものです。本記事で作成する「滞在時間」や「スクロール率」のトラッキングは、このカスタムイベントを利用します。
  • オフラインイベント: 店舗での購入や電話での問い合わせなど、オンライン以外で発生したコンバージョンを計測するためのイベントです。オフラインコンバージョンを正しく設定することで、広告の真のROIを把握できます。

カスタムコンバージョン (Custom Conversions)
収集したイベントデータやURLトラフィックを基に、広告主が独自の「ルール」を設定して定義するコンバージョンのことです。Metaによると、カスタムコンバージョンを使うことで、より具体的な顧客のアクションを測定し、広告のパフォーマンス目標として設定できます。例えば、「5,000円以上の購入」や「特定のLPからの問い合わせ」といった条件で作成します。

つまり、GTMで「カスタムイベント」を発生させ、そのイベントをMetaの「カスタムコンバージョン」として登録することで、広告の最適化やレポーティングに活用できるようになるのです。

設定前の必須準備

高度なトラッキング設定をスムーズに進めるために、以下の3つの準備が整っていることを確認してください。

  1. Metaピクセルの設置完了
    ウェブサイトの全ページにMetaピクセルのベースコードが正しく設置されている必要があります。Metaイベントマネージャーからピクセルを作成し、ウェブサイトの<head>タグ内にコードを設置してください。Chrome拡張機能のを使って、ピクセルが正常に作動しているか確認できます。
  2. Googleタグマネージャー(GTM)アカウントの導入
    本ガイドでは、ウェブサイトのコードを直接編集することなく、安全かつ柔軟にタグを管理できるGoogleタグマネージャー(GTM)の使用を前提としています。Analytics Maniaの記事でも指摘されている通り、GTMを利用することで、タグ管理の一元化、エラーの削減、迅速な展開が可能になります。
  3. Meta Business Managerへの管理者権限
    カスタムコンバージョンを作成・管理するには、対象となる広告アカウントが含まれるMeta Business Manager(ビジネスマネージャー)への管理者権限が必要です。権限がない場合は、管理者に依頼してアクセス権を付与してもらってください。

【実践編1】サイト滞在時間2分以上のカスタムコンバージョン設定

Metaピクセルの標準機能には、滞在時間を直接計測する機能はありません。そこで、GTMのタイマー機能とカスタムJavaScriptを利用して、指定した時間が経過した時点でカスタムイベントをMetaピクセルに送信します。

ステップ1:GTMでカスタムHTMLタグを作成し、タイマーをセットする

GTMを使って、ページが読み込まれてから2分(120,000ミリ秒)後にカスタムイベントを発火させる設定を行います。

  1. GTMのワークスペースで「タグ」メニューに移動し、「新規」をクリックします。
  2. 「タグの設定」で「カスタムHTML」を選択します。
  3. 以下のJavaScriptコードをHTMLフィールドに貼り付けます。このコードは、ページ読み込みから120秒後にTimeOnPage_120sという名前のカスタムイベントを送信します。
    <script>
      setTimeout(function() {
        fbq('trackCustom', 'TimeOnPage_120s');
      }, 120000);
    </script>

    ※この方法は、Metaの開発者向けドキュメントでも紹介されているsetTimeout関数を用いたイベントの遅延発火を応用したものです。

  4. 次に、「トリガー」セクションをクリックし、このタグを発火させる条件を設定します。通常は、対象となるランディングページ(LP)の「ページビュー」トリガーを選択します。特定のページのみを対象にしたい場合は、「一部のページビュー」を選択し、Page URLPage PathでLPを指定します。
  5. タグに「Meta Custom Event – TimeOnPage 120s」のような分かりやすい名前を付けて保存します。

ステップ2:Metaイベントマネージャーでカスタムコンバージョンを作成する

GTMから送信されるようになったカスタムイベントを、Meta広告で利用可能な「カスタムコンバージョン」として登録します。

  1. Metaイベントマネージャーにアクセスし、左側のメニューから「カスタムコンバージョン」を選択します。
  2. 「カスタムコンバージョンを作成」ボタンをクリックします。
  3. 以下の項目を設定します。
    • 名前: 「サイト滞在時間2分以上」など、管理しやすい名前を入力します。
    • データソース: 対象のMetaピクセルを選択します。
    • コンバージョンイベント: 「すべてのURLトラフィック」から、先ほどGTMで設定したカスタムイベント名TimeOnPage_120sを選択します。(リストに表示されない場合は、一度GTMでイベントを発火させてから再度試すか、直接入力してください)
  4. (任意)「最適化のために標準イベントを選択」で、このコンバージョンを類似の標準イベント(例:「コンテンツビュー」)にマッピングできます。これにより、Metaの最適化アルゴリズムがコンバージョンの意図を理解しやすくなります。
  5. 「作成」ボタンをクリックして完了です。

ステップ3:設定をテスト・検証する

設定が正しく機能しているかを確認することは非常に重要です。

  • GTMプレビューモード: GTMの「プレビュー」機能を使って対象のLPにアクセスします。2分経過した時点で、作成したカスタムHTMLタグが「Fired」になることを確認します。
  • Metaイベントマネージャーの「テストイベント」: イベントマネージャーの「テストイベント」タブで、対象サイトのURLを入力してアクセスします。2分後にTimeOnPage_120sイベントが受信されることをリアルタイムで確認できます。
  • Meta Pixel Helper: Chrome拡張機能「Meta Pixel Helper」でも、イベントが正しく発火しているかを確認できます。

【実践編2】LPスクロール率70%以上のカスタムコンversion設定

次に、ユーザーがページの大部分を閲覧したことを示す「スクロール率70%」をトラッキングします。これもGTMの組み込み機能を使えば、コードを一行も書かずにトリガーを作成できます。

ステップ1:GTMで必要な組み込み変数を有効化する

スクロール率の情報をタグに渡すために、GTMの「組み込み変数」を有効化します。

  1. GTMの「変数」メニューに移動します。
  2. 「組み込み変数」セクションの「設定」をクリックします。
  3. リストの中から「Scroll Depth Threshold」にチェックを入れます。これにより、スクロール率のパーセンテージを動的に取得できるようになります。

ステップ2:GTMで「スクロール距離」トリガーを作成する

ユーザーがページを70%スクロールしたときに作動するトリガーを作成します。

  1. 「トリガー」メニューで「新規」をクリックします。
  2. 「トリガーの設定」で「スクロール距離」を選択します。
  3. 「縦方向スクロール距離」にチェックを入れ、「割合」フィールドに70と入力します。
  4. 「このトリガーの発生場所」で「一部のページ」を選択し、対象のLPのURLを指定します。
  5. トリガーに「Scroll Depth – 70%」のような名前を付けて保存します。

ステップ3:GTMでカスタムイベントを送信するタグを作成する

作成したトリガーが発火したときに、Metaピクセルへカスタムイベントを送信するタグを設定します。この手順はMeasureSchoolのガイドでも詳しく解説されています。

  1. 「タグ」メニューで「新規」をクリックし、「カスタムHTML」を選択します。
  2. 以下のコードを貼り付けます。{{Scroll Depth Threshold}}の部分は、ステップ1で有効化した変数に自動的に置き換えられます。
    <script>
      fbq('trackCustom', 'ScrollDepth_70Percent', {
        scroll_depth: '{{Scroll Depth Threshold}}%'
      });
    </script>
  3. 「トリガー」セクションで、ステップ2で作成した「Scroll Depth – 70%」トリガーを選択します。
  4. 【重要】タグの順序を設定する:
    • 「タグの詳細設定」を開き、「タグの順序付け」にチェックを入れます。
    • [タグ名] が配信される前にタグを配信」を選択し、ウェブサイトに設置しているMetaピクセルのベースコードタグを指定します。
    • これにより、fbq()関数が初期化された後にカスタムイベントが送信されることが保証され、エラーを防ぎます。
  5. タグに「Meta Custom Event – Scroll 70%」のような名前を付けて保存します。

ステップ4:Metaイベントマネージャーでカスタムコンバージョンを作成する

滞在時間の設定と同様に、スクロールイベントもカスタムコンバージョンとして登録します。

  1. イベントマネージャーの「カスタムコンバージョン」で「カスタムコンバージョンを作成」をクリックします。
  2. 以下の通り設定します。
    • 名前: 「LPスクロール率70%以上」
    • データソース: 対象のMetaピクセル
    • コンバージョンイベント: ScrollDepth_70Percent
  3. 「作成」をクリックして完了です。

ステップ5:設定をテスト・検証する

GTMのプレビューモードとMetaイベントマネージャーの「テストイベント」機能を使い、対象LPを70%以上スクロールした際にScrollDepth_70Percentイベントが正しく発火することを確認してください。

出典: Metaビジネスヘルプセンター、各種業界レポートの情報を基に作成

作成したカスタムコンバージョンの戦略的活用法

これらのマイクロコンバージョン(mCV)を設定する真の価値は、その後の広告戦略に活かすことで発揮されます。単なる計測で終わらせず、以下の3つの方法で積極的に活用しましょう。

広告キャンペーンの最適化目標に設定

最も直接的で強力な活用法です。広告セットの作成時に、「最適化と配信」セクションでパフォーマンス目標として、今回作成した「サイト滞在時間2分以上」や「LPスクロール率70%以上」を選択します。

これにより、Metaの機械学習アルゴリズムは、単にリンクをクリックするユーザーではなく、コンテンツに深くエンゲージメントする可能性が高いユーザーを優先的に見つけ出し、広告を配信するようになります。結果として、広告の費用対効果(ROAS)の向上や、より質の高いリード獲得に繋がります。

adamigo.aiの分析によると、一般的な「購入」イベントではなく、このように絞り込んだカスタムコンバージョンを目標にすることで、ターゲティング精度が大幅に向上するとされています。

詳細なレポーティングと分析

広告マネージャーのレポート画面で「列をカスタマイズ」を選択し、作成したカスタムコンバージョンを指標に追加します。これにより、キャンペーン、広告セット、広告クリエイティブ単位で、どれだけ質の高いトラフィックを生み出せているかを定量的に評価できます。

  • クリエイティブの評価: A/Bテストにおいて、クリック率やCPCだけでなく、「mCV獲得単価」を比較することで、本当にユーザーの関心を引くクリエイティブを見極めることができます。
  • オーディエンスの分析: どのオーディエンスセグメントがより深くコンテンツに関与しているかを分析し、予算配分を最適化できます。

高精度なカスタムオーディエンスと類似オーディエンスの構築

これらのmCVを達成したユーザーは、あなたのビジネスにとって非常に価値の高い潜在顧客です。

  • カスタムオーディエンス: 「LPスクロール率70%以上」を達成したが、まだコンバージョンに至っていないユーザーをリスト化し、より具体的なオファーを提示するリターゲティングキャンペーンを実施します。
  • 類似(Lookalike)オーディエンス: 「サイト滞在時間2分以上」のユーザーリストをソースとして類似オーディエンスを作成します。エンゲージメントの高いユーザーに基づいているため、一般的なサイト訪問者から作成するよりも遥かに精度の高いオーディエンスとなり、新規顧客獲得キャンペーンの効率を劇的に改善する可能性があります。

まとめ:質の高いトラフィックを成果に繋げるために

本記事では、Googleタグマネージャーを活用して「サイト滞f在時間」と「LPスクロール率」という2つの重要なエンゲージメント指標を計測し、Meta広告のカスタムコンバージョンとして設定する方法を解説しました。

これらの設定は、単なる技術的な手順ではありません。広告の成果を「量」から「質」へと転換させ、ビジネスの成長を加速させるための戦略的な一手です。表面的なクリック数に惑わされず、本当に価値のあるユーザーインタラクションを可視化し、それを基にデータドリブンな意思決定を行うこと。それが2025年以降のデジタル広告で勝ち抜くための鍵となります。

設定は一度で完了するものではなく、定期的な見直しと改善が不可欠です。専門家は、設定後最初の1ヶ月は週次でパフォーマンスを確認し、ルールの微調整を行うことを推奨しています。ぜひ今日からこの設定に取り組み、広告パフォーマンスの新たな可能性を切り拓いてください。

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