【2025年版】バドミントンガット完全ガイド｜レベル・プレースタイル別おすすめ15選

バドミントンのパフォーマンスを最大限に引き出すためには、ラケット本体だけでなく「ガット（ストリング）」の選択が極めて重要です。ガットはシャトルと唯一接触する部分であり、その種類や張り方次第で、ショットの威力、コントロール精度、打球感が劇的に変化します。しかし、無数の選択肢の中から自分に最適な一本を見つけ出すのは至難の業です。

この記事では、バドミントンガットの基本的な知識から、レベルやプレースタイルに応じた選び方、さらにはAmazonで購入できる人気のおすすめ商品まで、あなたのガット選びを徹底的にサポートします。

はじめに：なぜガット選びが重要なのか？

ラケットが車のボディだとすれば、ガットはエンジンとタイヤの役割を担います。どんなに高性能なラケットでも、ガットが合っていなければその性能を100%発揮することはできません。ガットは、プレイヤーのパワーをシャトルに伝え、相手のショットの衝撃を吸収し、そして繊細なタッチを可能にする、まさにパフォーマンスの心臓部なのです。

自分に合ったガットを選ぶことで、スマッシュの速度が向上したり、ヘアピンの精度が上がったり、あるいは肩や肘への負担が軽減されたりと、多くのメリットが期待できます。逆に、合わないガットを使い続けると、パフォーマンスが伸び悩むだけでなく、怪我の原因にもなりかねません。

このガイドを参考に、ガット選びの第一歩を踏み出しましょう。

パフォーマンスを左右する3つの基本要素

ガットを選ぶ上で、まず理解しておくべき3つの重要な要素があります。それが「ゲージ（太さ）」「テンション（張りの強さ）」「素材と構造」です。これらの組み合わせによって、ガットの特性が決まります。

ゲージ（太さ）：反発力と耐久性のトレードオフ

ゲージはガットの太さを表す指標で、一般的にミリメートル（mm）で表記されます。ゲージの違いは、ガットの性能に直接的な影響を与えます。

• 細いガット（約0.68mm以下）: シャトルとの接触時間が長くなり、ガットがたわんで戻る力（反発力）が強くなります。これにより、少ない力でシャトルを遠くまで飛ばすことができます。また、打球音が高く、爽快な打感を得やすいのが特徴です。一方で、物理的に細いため耐久性が低く、切れやすいというデメリットがあります。コントロールを重視する上級者や、パワーに自信のないプレイヤーにおすすめです。
• 太いガット（約0.69mm以上）: 物理的な断面積が大きいため、耐久性に優れ、切れにくいのが最大のメリットです。反発力は細いガットに劣りますが、シャトルをしっかりと捉える「ホールド感」や「打ちごたえ」が生まれます。練習量が多くガットが切れやすい学生や、力強いスマッシュを打ちたいパワーヒッターに適しています。

一般的に、反発力、コントロール性、打球音を求めるなら細いゲージ、耐久性を最優先するなら太いゲージが基本となります。この関係性は、ガット選びにおける最も基本的なトレードオフと言えるでしょう。

テンション（張りの強さ）：パワーとコントロールのバランス

テンションは、ガットをラケットに張る際の張力の強さを指し、ポンド（lbs）という単位で表されます。同じガットでも、テンションによって性能は大きく変わります。

• 高いテンション（24lbs以上）: ガット面が硬くなり、シャトルがガットに接触する時間が短くなります（球離れが速い）。これにより、コントロール性能が向上し、スイングスピードが速いプレイヤーはより鋭いショットを打つことができます。しかし、スイートスポット（芯）が狭くなるため、正確なミートが要求されます。また、衝撃が腕に伝わりやすく、肩や肘への負担が大きくなるため、相応の筋力と技術が必要です。
• 低いテンション（23lbs以下）: ガットがたわみやすくなり、トランポリンのようにシャトルを弾き出します。これにより、少ない力でもシャトルがよく飛びます。スイートスポットも広くなるため、芯を外したショットでも比較的コントロールしやすく、初心者やパワーに自信のないプレイヤーに適しています。

テンションは自分のレベルや筋力に合わせて選ぶことが重要です。初心者がいきなりプロと同じハイテンションで張ると、腕を痛める原因になるため注意が必要です。

素材と構造：打球感を決める核心部

ガットの打球感や特性を決定づけるのが、内部の素材と構造です。主にナイロンが使用されますが、その構造によって大きく2つに分類されます。

• マルチフィラメント: 数百から数千本の極細繊維を束ねて作られた構造です。多くのガットがこのタイプで、柔らかい打球感と高い衝撃吸収性、優れたホールド感（球持ち）が特徴です。コントロールを重視するプレイヤーに適しています。
• モノフィラメント: 太い1本の芯（モノコア）の周りを細い繊維で覆った構造です。マルチフィラメントに比べて硬めの打球感で、反発力が高く、弾きの良いショットが打ちやすいのが特徴です。耐久性にも優れています。
• ハイブリッド: 縦糸と横糸に異なる種類・太さのガットを張る方法です。例えば、耐久性のある太いガットを縦糸に、反発性の高い細いガットを横糸に張ることで、耐久性とコントロール性、スピン性能などを両立させることを目指します。YONEXの「エアロバイト」などが代表的です。

さらに、ガット表面には様々なコーティングが施されています。「CSカーボンナノチューブ」は耐久性と反発性を両立させ、「ハイドロチタン複合コーティング」は反発性を高めるなど、各メーカーが独自の技術で性能向上を図っています。

【レベル・プレースタイル別】最適なガットの選び方

ガットの基本要素を理解した上で、次は自分のレベルや目指すプレースタイルに合わせて、最適なガットを選んでいきましょう。

初心者・初級者：楽に飛ばせる反発性重視のガット

バドミントンを始めたばかりの方や、まだ筋力に自信がない方は、「楽にシャトルを飛ばせること」を最優先に考えましょう。具体的には、反発力の高い細めのゲージ（0.65mm前後）のガットを、低めのテンション（17〜20lbs）で張るのがおすすめです。これにより、スイートスポットが広くなり、力まなくてもクリアが奥まで届きやすくなります。

初心者向けセッティング例：
・ガット：細めの高反発モデル（例：YONEX BG66 ULTIMAX）
・テンション：18lbs前後

中級者：自分の武器を伸ばすガット選び

試合にも慣れ、自分の得意なショットやプレースタイルが見えてくる中級者は、その「武器」をさらに伸ばすためのガット選びが重要になります。

• パワーを活かしたいプレイヤー：スマッシュの威力を高めたいなら、打ちごたえのある太めのゲージ（0.68mm以上）を試してみましょう。テンションも少しずつ上げていく（20〜24lbs）ことで、より球威のあるショットが可能になります。
• テクニックで勝負したいプレイヤー：ネット前の繊細なプレーや、カット、ドロップの精度を高めたいなら、球持ちの良い細めのゲージ（0.66mm以下）が適しています。テンションはプレースタイルによりますが、コントロール重視ならやや高めも選択肢に入ります。

上級者：プレースタイルを完成させる微調整

上級者は、すでに確立された自分のプレースタイルを前提に、より高い次元のパフォーマンスを求めてガットを微調整します。高いテンション（24lbs以上）で張ることが多く、わずかなゲージの違いや素材の特性を敏感に感じ取り、最適な一本を選択します。世界のトッププレイヤーの中には30lbsを超えるテンションで張る選手もいますが、これは強靭な肉体と卓越した技術があってこそ可能な領域です。

プレースタイル別の推奨ガット

ダブルス前衛プレイヤー
ネット際のプッシュやヘアピンなど、繊細なタッチが求められるため、球持ちが良くコントロールしやすい細めのガットがおすすめです。YONEXの「BG66 ULTIMAX」や「AEROBITE」は多くの前衛プレイヤーに支持されています。

ダブルス後衛プレイヤー
力強いスマッシュで攻撃の起点となる後衛は、自分の筋力に合わせて選ぶのが基本です。パワーヒッターであれば、打ちごたえと耐久性を両立した少し太めのガット（例：「BG80」「NANOGY 95」）が良いでしょう。パワーに自信がなければ、反発性を重視した細めのガットでスピードを補う選択もあります。

シングルスプレイヤー
コート全体をカバーし、多彩なショットを打ち分ける必要があるため、オールラウンドな性能が求められます。ラリーを支配するためのコントロール性と、決定打となるスマッシュの威力を両立できるガットが理想です。多くのプレイヤーが試行錯誤を重ね、自分のプレースタイルに合ったガットを見つけています。

【Amazonで人気】おすすめバドミントンガット15選

ここでは、Amazonで実際に購入可能で、多くのプレイヤーから支持されている人気のガットを、その特徴とともにご紹介します。

【高反発・コントロール系】YONEX BG66 ULTIMAX

【耐久性重視】YONEX NANOGY 95

【パワーヒッター向け】YONEX BG80

【オールラウンド】YONEX 強チタン (BG65TI)

【金属音と高反発】GOSEN G-TONEシリーズ

【ハイブリッド】YONEX AEROBITEシリーズ

【カウンターショット向け】MIZUNO M-SMOOTH 65H

【極細ゲージ】KIZUNA Z58 プレミアム

その他のおすすめガット

• YONEX EXBOLT 65: 0.65mm。反発・耐久・打球音など、全ての性能をバランス良く高めたオールラウンドモデル。
• YONEX AEROSONIC: 0.61mm。爽快な打球音と高い反発性が魅力の細ゲージモデル。
• GOSEN RYZONIC 65: 0.65mm。独自のコアファイバー技術で優れた弾きと素早いショットを実現。
• GOSEN R-4X TSUYOSHI: 0.70mm。耐久性に特化し、ハードヒットを繰り返す攻撃型プレイヤー向け。
• MIZUNO M-TOUGH 70: 0.70mm。耐摩耗性に優れたコーティングで、ガットの持ちを重視するプレイヤーに。
• TOALSON シンクロ 響: 縦糸と横糸で構造が異なるハイブリッド。トータルバランスを重視。
• KIZUNA Z61 スパイラル: 0.61mm。細ゲージながら高強度ナイロンで耐久性を向上させたバランスモデル。

ガットの性能を維持するメンテナンスと交換時期

どんなに良いガットを選んでも、時間とともに性能は劣化します。最高のパフォーマンスを維持するためには、適切なメンテナンスと定期的な交換が不可欠です。

ガットの寿命を延ばす保管方法

ガットはナイロンなどの素材でできており、温度や湿度の影響を受けやすいです。以下の点に注意して保管しましょう。

• 高温多湿・直射日光を避ける: 夏場の車内など、極端な温度変化はガットのテンション低下やフレームの変形を招きます。必ず室内で保管してください。
• ラケットケースに入れる: 衝撃から守るため、専用のラケットケースに入れて保管するのが基本です。
• 重いものを乗せない: ラケットの上に重い荷物を置くと、フレームやガットに負荷がかかり、劣化の原因となります。

交換時期の目安とサイン

ガットが「切れたら交換する」という人も多いですが、切れていなくても性能は確実に落ちています。テンションが緩んだガットでは、コントロールが定まらず、無駄な力みから怪我につながることもあります。

交換頻度の一般的な目安として、「1週間にプレーする回数だけ、1年間にガットを張り替える」というものがあります。例えば、週に2回プレーするなら、年に2回（半年に1回）が目安です。

また、以下のようなサインが見られたら、交換を検討しましょう。

• 打球感が鈍くなった、飛ばなくなった: テンションが低下しているサインです。
• ガットがズレやすくなった: ガット表面のコーティングが摩耗し、ノッチング（ガットの交差点の削れ）が深くなっている証拠です。
• ガットが毛羽立っている: 内部の繊維が傷み始めているサインで、切れやすくなっています。
• 打球音が低くなった: テンション低下の分かりやすい指標です。

定期的な張り替えは、パフォーマンス維持だけでなく、ラケット本体を長持ちさせるためにも重要です。

まとめ：自分だけの「最適解」を見つけよう

バドミントンのガット選びは、まさに奥深い世界です。ゲージ、テンション、素材という基本要素を理解し、自分のレベルやプレースタイルと照らし合わせることで、パフォーマンスを飛躍的に向上させる一本に出会える可能性があります。

この記事で紹介した選び方やおすすめ商品を参考に、まずは基準となるガットを決めてみましょう。そして、そこから少しずつゲージやテンションを変えて試していくことで、あなただけの「最適解」がきっと見つかるはずです。色々なガットを試す過程も、バドミントンの楽しみの一つと捉え、最高のパートナーを探してみてください。