日本一の富士山と、日本一深い駿河湾。その両方に抱かれた静岡県富士市は、豊かな自然の恵みを受けた食文化が根付く街です。新鮮な海の幸や山の幸はもちろんのこと、実は地元住民やパン好きの間で高く評価される、個性豊かなパン屋が数多く存在することをご存知でしょうか。
この記事では、富士市のパン屋を徹底的に深掘りします。地元メディアのランキングで常に上位に名を連ねる人気店から、長年愛され続けるご当地パン、そして知る人ぞ知る隠れた名店まで、あなたの「食べたい!」がきっと見つかる情報をお届けします。
富士市のパン屋シーン:その魅力と特徴
富士市のパン屋が持つ魅力の根源は、その恵まれた地理的環境にあります。富士山麓の清らかな水は、パン生地の仕込みに最適であり、パンの風味を一層引き立てます。また、温暖な気候と豊かな土壌で育った地元の農産物を取り入れたパンも多く、地産地消の精神が息づいています。
市内のパン屋を巡ると、その多様性に驚かされるでしょう。昭和初期から続く老舗が守り続ける昔ながらのコッペパン、海外のコンクールで受賞歴のある職人が作る本格的なハード系パン、スイーツ店から生まれたふんわりとした菓子パン、そして子連れに優しいキッズスペースを完備したカフェ併設のベーカリーまで、あらゆるニーズに応える店が揃っています。これは、パンが市民の日常に深く根付いている証拠と言えるでしょう。
静岡県は全国トップクラスの農林水産物の生産地であり、その多様な食材が地域の食文化を豊かにしています。富士市もその例外ではなく、「食材の王国」静岡の一翼を担っています。
【ランキングで見る】富士市の人気パン屋トップ5
数あるパン屋の中からどこへ行けば良いか迷ったら、まずは地元で評価の高い人気店を訪れるのがおすすめです。食べログや静岡新聞アットエスなどのランキング情報を基に、特に名前が挙がることの多い5軒を厳選してご紹介します。
1. ブランジュムッシュ
静岡新聞アットエスのランキングで1位に輝く人気店。元々スイーツ店だったという経歴を持ち、その経験が生かされたふんわりと口どけの良いパンが特徴です。毎日少しずつ、何度も焼き上げることで、常にできたてを提供することにこだわっています。特にデニッシュ系や甘いパンに定評があり、幅広い層から支持されています。
2. Pain de kafuu(パンドカフー)
富士市錦町の路地裏に佇む、本格派のパン屋。ライ麦パンや全粒粉を使ったパンなど、食事に合わせたいハード系のパンが豊富に揃っています。店内は対面販売式で、店員さんと相談しながらパンを選べるのも魅力の一つ。常時40〜60種類が並び、パン好きを唸らせる品揃えです。ハード系好きなら一度は訪れたい名店です。
3. BAKERY&CAFE SUN(ベーカリーアンドカフェ サン)
富士市大淵の、牧場に隣接する絶好のロケーションにあるベーカリーカフェ。富士山を望むおしゃれな空間で、焼きたてのパンと共にゆったりとした時間を過ごせます。カフェメニューも充実しており、ランチ利用にも最適。ドライブの目的地としても人気が高く、美しい景色と美味しいパンを同時に楽しめるのが最大の魅力です。
4. パン カンパニオ(pain campanio)
2012年にオープンした、荒田島町の小さなパン屋。ウッド調の落ち着いた店内には、デニッシュ系からデリカ系まで、一から手作りにこだわったパンが約60種類並びます。一つひとつ丁寧に作られたパンは、どれも作り手の愛情が感じられる優しい味わい。地域に根ざした、温かい雰囲気のお店です。
5. 富士製パン 直営店
後述するご当地パン「ようかんぱん」で全国的に有名な富士製パンの工場直営店。ここでは、看板商品のようかんぱんはもちろん、工場直売ならではのお得なパンや、新しい看板商品として開発された高級食パン「食ぱん ふじ雲」などを購入できます。毎週木・金曜日と第1・3土曜日にはセールも開催されており、地元の人々で賑わいます。
富士市ならでは!絶対食べたい「ご当地パン」の世界
富士市には、その土地ならではの歴史や食文化から生まれたユニークな「ご当地パン」が存在します。旅の思い出やお土産にもぴったりの、富士市でしか味わえない逸品をご紹介します。
ようかんぱん:60年以上愛される、唯一無二の味
富士市を代表するご当地パンといえば、富士製パンが製造する「ようかんぱん」をおいて他にありません。1960年(昭和35年)に誕生して以来、60年以上にわたって愛され続けるロングセラー商品です。
その構成は非常にユニーク。つぶあんを詰めたパンの上に羊羹(ようかん)をコーティングし、中央にバニラクリームを絞った、和と洋が融合した菓子パンです。かつては静岡県東部の数軒で作られていましたが、手間がかかるため製造元が減り、今では富士製パンが唯一の作り手となりました。「富士ブランド」にも認定されており、まさに富士市が誇るソウルフードです。
のっぽパン:静岡のソウルフード、富士市限定フレーバーも
全長34cmの長いコッペパンにクリームを挟んだ「のっぽパン」は、沼津市発祥の静岡県民のソウルフードです。富士市内にあるでは、定番のクリーム味に加え、富士市のご当地グルメ「つけナポリタン」味や、地元産ほうじ茶を使ったフレーバーなど、ここでしか手に入らない限定商品が販売されています。静岡の味とめぐり逢える、楽しいパンです。
富士ブランド認定パン:地域が誇るユニークな逸品
富士市では、地域の魅力を活かした優れた産品を「富士ブランド」として認定しています。パンの分野でも、前述の「ようかんぱん」の他にユニークな商品が認定されています。
- ソーダあんぱん: 富士市内の学校給食で提供されていた懐かしの「ソーダかん(寒天ゼリー)」をパンと組み合わせた、シュワっと爽やかな味わいが特徴のおもしろコラボパンです。
これらのパンは、富士市の食文化や歴史を感じられる、まさに「ご当地」ならではの味です。
目的別!富士市のパン屋選び
「どんなパンが食べたいか」という目的別に、おすすめのパン屋をいくつかピックアップします。あなたの気分にぴったりの一軒を見つけてみてください。
ハード系のパンが好きなあなたへ
噛むほどに小麦の旨味が広がるハード系のパンがお好きなら、前述の「Pain de kafuu(パンドカフー)」は外せません。また、常時90種類ものパンが並ぶ「ブーランジェリーMuku」も、ハード系からデリカ系まで幅広いラインナップを誇り、特にザクっとした食感のクロワッサンが自慢の一品です。
子連れでも安心!ファミリー向けパン屋
小さなお子様連れでパン屋を訪れるなら、キッズルームやテラス席が完備された「パンのくに。」がおすすめです。子供が喜ぶキャラクターパンから、大人が満足するカレーパンまで種類も豊富。家族みんなで楽しめる工夫がされています。また、動物の形をしたかわいいパンが並ぶ「パン屋あにぱんや」も、子供たちの笑顔が目に浮かぶようなお店です。
富士山の絶景と共に楽しむベーカリーカフェ
せっかく富士市に来たのなら、富士山の景色も楽しみたいもの。そんな方には「BAKERY&CAFE SUN(ベーカリーアンドカフェ サン)」が最適です。雄大な富士山を眺めながら、焼きたてのパンとコーヒーで過ごす時間は格別です。少し足を延かせば、富士五湖エリアにはなど、湖と富士山を同時に楽しめる絶景ベーカリーも点在しています。
まとめ:富士市のパン屋巡りで、お気に入りの味を見つけよう
富士市には、長年地元で愛される老舗の味から、新しい感性で作られるモダンなパン、そしてこの土地ならではのユニークなご当地パンまで、実に多彩なパンの世界が広がっています。富士山の恵みを受けた美味しい水と、地域の食材が生み出すパンは、どれも個性的で魅力的です。
この記事で紹介したお店は、富士市のパン屋のほんの一部に過ぎません。ぜひ実際に街を歩き、パンの焼ける香りに誘われて、あなただけのお気に入りの一軒、お気に入りのパンを見つける旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
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