【車なし生活】静岡市の公共交通機関活用術！エリア別・目的別おすすめ移動手段ガイド

導入：静岡市での車なし生活、本当にできる？不安を解消し、快適な暮らしを手に入れる方法

「静岡市への移住や転居を考えているけれど、車の運転は苦手…」「維持費を考えると車を手放したいけど、生活が不便にならないか心配…」そんな悩みを抱えていませんか？地方都市での生活というと、「車は一人一台が当たり前」というイメージが根強く、車なしの生活に漠然とした不安を感じる方は少なくありません。特に、首都圏など公共交通機関が発達したエリアから移住を検討している方にとって、移動手段の問題は大きなハードルとなり得ます。

しかし、結論から言えば、静岡市は「車なし」でも十分に快適な生活が送れるポテンシャルを秘めた都市です。その理由は、静岡市が「公共交通が発達したコンパクトシティ」という特性を持っているからです。市の中心部である静岡駅周辺には商業施設や行政機関が集積しており、新幹線停車駅を中心に都市機能が充実しています。さらに、市内は比較的坂が少なく平坦な地形が多いため、自転車での移動も非常に快適です。実際に、移住者向けのツアーでは「車を持たなくても大丈夫！？」というテーマが組まれるほど、その利便性は注目されています。

もちろん、山間部である「オクシズ」エリアや、駅から離れた郊外で生活する場合は車があった方が便利なのは事実です。しかし、この記事で紹介する公共交通機関の活用術をマスターすれば、あなたの行動範囲は格段に広がり、車がなくても静岡市の魅力を存分に味わうことができるでしょう。

本記事では、静岡市の主要な公共交通機関である「JR」「静岡鉄道（静鉄）」「路線バス」の特徴から、シーン別の最適な移動手段、さらにはお得な乗車券や便利なアプリ活用術まで、車なし生活を成功させるための情報を網羅的に解説します。この記事を読めば、あなたの静岡市での新生活に対する不安は解消され、スマートで経済的、そして環境にも優しい「車なしライフ」への期待に変わるはずです。

【核心】静岡市の公共交通はここまで充実！主要移動手段を徹底解剖

静岡市の「車なし生活」を支えるのは、それぞれに個性と役割を持つ多様な公共交通ネットワークです。この章では、市の交通の根幹をなす「JR東海道本線」、市民の日常に密着する「静岡鉄道（静鉄電車）」、そして市内を網の目のように結ぶ「路線バス」を中心に、それぞれの特徴と活用法を徹底的に解剖します。これらの交通機関の特性を理解し、賢く使い分けることが、快適な車なし生活の第一歩です。

JR東海道本線：都市間をスピーディーに結ぶ大動脈

静岡市の東西を貫くJR東海道本線は、まさに市内の交通の「大動脈」です。静岡駅、東静岡駅、草薙駅、清水駅といった主要な拠点を結び、市民の通勤・通学から市外へのレジャーまで、幅広い移動ニーズに応える基幹交通としての役割を担っています。

特徴と役割

JR東海道本線の最大の強みは、その速達性と広域ネットワークにあります。静岡市の二大中心地である静岡駅と清水駅の間を約11分（運賃240円）で結び、頻繁な運行本数で安定した輸送力を提供しています。これにより、葵区や駿河区の中心部と清水区中心部との間の移動が非常にスムーズです。

また、静岡駅は東海道新幹線の停車駅であり、東京や名古屋、大阪といった大都市へのアクセス拠点としても機能します。熱海方面や浜松・名古屋方面への在来線も直通しており、市外への通勤・通学や広域観光の起点として不可欠な存在です。例えば、御殿場方面へ向かう際は、沼津駅で御殿場線に乗り換えることでアクセスできます。

静岡市が公表したデータによると、新型コロナウイルス禍以前のJR東海道本線の1日あたりの利用者数は約10万人にのぼり、市民生活にとっていかに重要なインフラであるかがうかがえます。

利用シーンと活用法

• 静岡中心部⇔清水中心部の迅速な移動：ビジネスや用事などで両エリア間を素早く移動したい場合に最適です。
• 新幹線への乗り換え：静岡駅から新幹線を利用する際のアクセス手段として最も確実です。
• 市外・県外への移動：熱海、浜松、あるいはそれ以遠へ向かう際の出発点となります。
• 他のJR線への接続：沼津駅での御殿場線、富士駅での身延線への乗り換えなど、鉄道網を活かした旅の起点にもなります。

料金・ICカードの注意点

JR東海のICカードは「TOICA（トイカ）」ですが、SuicaやPASMO、ICOCAといった全国相互利用サービスに対応した交通系ICカードも利用可能です。これにより、普段お使いのICカードで手軽に乗車できます。

ただし、非常に重要な注意点があります。それは、ICカードでエリアをまたいで利用することは原則としてできないというルールです。例えば、JR東海のTOICAエリアである静岡駅から、JR東日本のSuicaエリアである熱海駅の先（例：小田原駅）までICカードで乗り越すことはできません。エリアをまたぐ場合は、あらかじめ目的地までの全乗車区間のきっぷを購入する必要があります。このルールを知らないと、降車駅で精算に手間取ることになるため、特に県境を越えて移動する際は注意が必要です。

静岡鉄道（静鉄電車）：市民の日常に寄り添う地域密着ライン

JR東海道本線とほぼ並行して静岡市と清水区を結ぶもう一つの鉄道路線、それが静岡鉄道静岡清水線、通称「静鉄（しずてつ）電車」です。JRが都市間の「動脈」だとすれば、静鉄はより地域に密着し、市民の日常の「毛細血管」に近い役割を担う、静岡市民にとってなくてはならない存在です。

特徴と役割

静鉄の最大の特徴は、そのきめ細やかな駅配置と高頻度運転にあります。静岡市の中心街に位置する「新静岡駅」と、清水区の中心部に位置する「新清水駅」との間の約11.0kmを、15の駅で結んでいます。駅間距離が短いため、沿線住民の細かな移動ニーズに的確に応えることができます。この特性から、次世代型路面電車（LRT）に近い機能を持つと評価されることもあります。

運行本数も非常に多く、平日の朝夕ラッシュ時には約4〜5分間隔、日中でも約7〜8分間隔で運行しており、時刻表を気にせず利用できるほどの利便性を誇ります。この利便性の高さから、1日あたりの利用者数は約3万人（コロナ禍以前）に達し、JRと並んで市民の重要な足となっています。

また、起点となる新静岡駅は、ファッションやグルメ、映画館などを備えた大型商業施設に直結しており、鉄道利用と買い物をシームレスに楽しめる点も大きな魅力です。

JRとの賢い使い分け

清水区内の一部区間では、JR東海道本線と静鉄静岡清水線がすぐ隣を走る「並行区間」が存在し、まるで複々線のような光景が見られます。目的地に応じてこの2つの路線を使い分けるのが、静岡市でのスマートな移動のコツです。

• 速達性ならJR：静岡駅〜清水駅間をノンストップで移動したい場合はJRが有利です。
• 沿線施設へのアクセスなら静鉄：例えば、静岡県立美術館へ行くなら静鉄の「県立美術館前駅」が、草薙総合運動場へは「県総合運動場駅」が最寄りとなり、目的地にピンポイントでアクセスできます。
• 中心市街地での利便性なら静鉄：JR静岡駅が市の南側に位置するのに対し、静鉄の新静岡駅は呉服町や七間町といった中心市街地（おまち）に近く、街中での買い物や散策に便利です。

JR静岡駅と静鉄新静岡駅は徒歩で約10分ほどの距離にあり、乗り換えも可能です。市の計画では、この両駅間の乗り換え利便性を向上させることも検討されており、将来的にさらに連携が強化される可能性があります。

料金・ICカード

静鉄電車では、独自の交通系ICカード「LuLuCa（ルルカ）」が利用できます。LuLuCaは、静鉄グループの電車やバス、提携店での買い物でポイントが貯まる・使えるという大きなメリットがあり、静岡市での生活に密着するならぜひ持っておきたい一枚です。もちろん、TOICAやSuicaなどの全国相互利用ICカードも利用可能です。

路線バス（しずてつジャストライン他）：市内を網羅する毛細血管ネットワーク

JRと静鉄という2つの鉄道が市の「骨格」を形成しているとすれば、路線バスは市内全域に張り巡らされた「毛細血管」です。鉄道駅がカバーしきれないエリアを結び、市民の日常生活から観光まで、あらゆる移動シーンを支える、車なし生活のまさに生命線と言える存在です。

特徴と広大なネットワーク

静岡市内では、主に「しずてつジャストライン（静鉄バス）」が中心となり、広範囲にわたる路線網を形成しています。静岡市内だけで40以上の路線を運行し、年間利用者数は2,800万人以上にのぼります。このほか、日本平自動車、山梨交通、KMSバスといった事業者も特定のエリアや路線で運行しており、市全体の交通を分担しています。

バスネットワークのハブとなるのは、JR静岡駅前のバスターミナル、静鉄新静岡駅に隣接する新静岡バスターミナル、そしてJR清水駅前のバスターミナルです。これらのターミナルからは、市内各方面へ向かうバスがひっきりなしに発着しており、目的地に応じて適切な乗り場から乗車することになります。

便利な検索方法と乗り方

「バスは路線が複雑でわかりにくい」と感じる方もいるかもしれませんが、心配は無用です。しずてつジャストラインの公式サイトには非常に便利な機能があります。このツールの優れた点は、バス停名がわからなくても、学校や病院、商業施設といったランドマーク名で出発地・到着地を検索できることです。さらに、検索結果には運賃や所要時間だけでなく、乗り換え回数、徒歩ルート、ターミナルでの乗り場地図、そして「バス接近情報」まで表示されます。これにより、「バスがいつ来るかわからない」というストレスから解放され、計画的な移動が可能になります。

主要な観光・生活路線

数ある路線の中でも、特に利用頻度の高い、あるいは観光に便利な路線をいくつかご紹介します。

• 日本平線：静岡駅や新静岡、東静岡駅から、景勝地・日本平や日本平動物園、日本平ロープウェイ乗り場へとアクセスする主要観光路線です。静岡駅前から複数の経由地で運行されています。
• 三保山の手線：世界文化遺産・三保松原へ向かう際の定番ルート。JR清水駅または静鉄新清水駅から乗車し、「三保松原入口」バス停で下車します。片道の運賃は約440円〜470円です。
• 安倍線：静岡駅から北上し、温泉地である梅ヶ島方面へ向かう長距離路線。市街地から自然豊かな中山間地域へと足を延ばす際に利用します。
• 駿府浪漫バス：これは静岡市中心部の観光に特化した非常に便利な巡回バスです。JR静岡駅を起点に、駿府城公園、静岡浅間神社といった徳川家康公ゆかりの名所を巡ります。最大の特徴は、どこで乗り降りしても1回100円という手頃な運賃です。平日は60分間隔、土日祝は30分間隔で運行しており、気軽に市内の名所を巡ることができます。

その他の移動手段：コミュニティバスとシェアサイクル

主要な鉄道・バス網をさらに補完し、よりきめ細やかな移動を実現するのが、コミュニティバスとシェアサイクルです。これらを活用することで、移動の「最後の1ピース（ラストワンマイル）」を埋めることができます。

地域を支えるコミュニティバス

コミュニティバスは、路線バスが通らない交通不便地域の解消などを目的に、特定の地域内で運行されるバスです。静岡市では、市が運行を支援する「自主運行バス」や、民間企業が主導する新しい形のコミュニティバスが存在します。

• 長田地区コミュニティバス：2024年4月から運行を開始した、市内初の民間企業（株式会社KMSバス）主導のコミュニティバス。駿河区長田地区内の通院や買い物、駅や既存バス停へのアクセスを担い、地域住民の足として期待されています。
• ゆいばす：旧由比町エリア（現・清水区）を運行する自主運行バス。倉沢コースや桜野コースなど、複数のルートで地域内の移動をサポートしています。

これらのバスは、高齢者をはじめとする交通弱者の外出機会を創出し、地域社会の活力を維持する上で重要な役割を果たしています。

ラストワンマイルを埋めるシェアサイクル「PULCLE（パルクル）」

天気の良い日の短距離移動や、最寄りの駅・バス停から目的地までの「あと少し」を埋めるのに最適なのが、シェアサイクル「PULCLE」です。静岡市中心部を中心に数多くのサイクルポート（専用駐輪場）が設置されており、スマートフォンアプリを使って手軽に利用を開始・返却できます。

静岡市は平坦な道が多いため、自転車での移動は非常に快適です。PULCLEを使えば、バスを待つ時間がない時や、少し裏道に入って街を散策したい時など、自由度の高い移動が可能です。電動アシスト付きの自転車なので、少しの上り坂も楽に移動できます。

【実践】シーン別・目的別！静岡市「車なし」最強移動プラン

静岡市の交通機関の全体像が見えてきたところで、次はいよいよ実践編です。日々の生活の具体的なシーンを想定し、どの交通手段を組み合わせれば最も効率的で快適に移動できるのか、具体的な「最強移動プラン」を提案します。この章を読めば、あなたの静岡での車なし生活が、よりリアルに、そして魅力的に感じられるはずです。

シーン別おすすめルート

ケース1：通勤・通学

毎日の通勤・通学は、時間と費用の両面で最も効率を重視したいシーンです。静岡市では、住む場所と目的地によって最適なルートが大きく異なります。

• 葵区中心部 ⇔ 清水区中心部：この区間の移動は、JR東海道本線と静岡鉄道の一騎打ちです。とにかく速さを求めるならJR（静岡駅〜清水駅：約11分）、勤務先や学校が静鉄の駅に近い場合（例：県立大学に通う学生が草薙駅を利用する）や、新静岡セノバ周辺が目的地の場合は静鉄が便利です。
• 駅から離れた事業所・学校へ：多くのケースでは、鉄道とバスの組み合わせが基本となります。例えば、「JR東静岡駅で下車し、そこからバスに乗り換えて曲金方面の事業所へ」といったルートです。このような乗り継ぎを頻繁に行う場合は、の利用が断然お得です。これは静鉄バスと静鉄電車を新静岡駅、草薙駅、新清水駅で乗り継ぐ場合に適用され、それぞれ個別に定期券を購入するより5%割引となり、経済的な負担を軽減できます。

ケース2：日常の買い物

食料品や日用品の買い物は、生活に欠かせない移動です。静岡市には魅力的な商業施設が点在しており、それぞれに最適なアクセス方法があります。

• 新静岡セノバ：言うまでもなく、静鉄「新静岡駅」直結が最強のアクセスです。雨の日でも濡れることなく、快適に買い物が楽しめます。地下にはスーパー「しずてつストア」もあり、日常の買い物にも便利です。
• マークイズ静岡：JR東静岡駅の目の前にあり、JR「東静岡駅」北口から徒歩すぐです。ファッション、雑貨、レストラン、スーパー「フードウェイ」まで揃う大型複合施設で、JR利用者にとっては非常に便利な立地です。
• エスパルスドリームプラザ（清水区）：海沿いにあるこの施設へは、JR清水駅または静鉄新清水駅から無料シャトルバスを利用するのが最も賢い選択です。約10分間隔で運行しており、交通費をかけずにアクセスできます。
• 郊外のスーパー・ドラッグストア：駅から離れた住宅街にある店舗へは、路線バスが主なアクセス手段となります。例えば、駿河区の「杏林堂ドラッグストア 静岡草薙店」へは、静鉄「県立美術館前駅」から徒歩約7分、または最寄りのバス停「草薙東」から徒歩約5分です。事前にGoogleマップや静鉄バスのサイトで最寄りバス停を調べておくとスムーズです。

ケース3：休日の観光・レジャー

車がなくても、静岡市の豊かな自然や文化に触れることは十分に可能です。公共交通機関を駆使して、アクティブな休日を楽しみましょう。

• 日本平・久能山東照宮：静岡を代表する観光地へは、JR静岡駅または東静岡駅から「日本平線」のバスを利用します。「日本平ロープウェイ」バス停で下車し、ロープウェイで久能山東照宮へ渡るのが王道ルートです。後述するお得なセット券の利用もおすすめです。
• 三保松原：世界文化遺産の絶景を楽しむには、JR清水駅または静鉄新清水駅から「三保山の手線」のバスに乗車。「三保松原入口」で下車します。清水港の景色を眺めながらのバス旅も楽しめます。
• 大井川鐵道方面への小旅行：SL列車で有名な大井川鐵道へは、まずJR東海道本線で「金谷駅」へ向かいます。金谷駅で大井川鐵道に乗り換えれば、レトロな鉄道旅の始まりです。
• 市中心部の史跡巡り：駿府城公園や静岡浅間神社などを巡るなら、1回100円の「駿府浪漫バス」が最適です。自分のペースで乗り降りを楽しみながら、歴史散策を満喫できます。

【比較表】あなたの目的に合うのはどれ？静岡市交通手段ナビ

ここまで紹介した情報を基に、各交通手段の特性を一覧表にまとめました。あなたの目的や状況に合わせて、最適な移動手段を選択するための参考にしてください。

【応用】もっとお得・もっと便利に！静岡交通活用ハック

基本的な使い方をマスターしたら、次は一歩進んだ活用術です。お得な乗車券や便利なICカード、スマホアプリを使いこなせば、あなたの静岡での移動はさらに快適で経済的になります。知っていると得をする、まさに「ハック」と呼べる情報をご紹介します。

① お得な乗車券を使い倒す

静岡市の公共交通、特に静鉄グループは、利用者のニーズに合わせた魅力的な企画乗車券を多数用意しています。これらを活用しない手はありません。

最強の観光ツール「電車・バス1日フリー乗車券」

静岡市内の観光を計画しているなら、まず検討すべきがこの「電車・バス1日フリー乗車券」です。その名の通り、1日で静鉄電車と指定エリアの静鉄バスが乗り放題になる、非常にコストパフォーマンスの高いきっぷです。

• 価格：大人 1,600円、小人 800円（2024年10月1日の運賃改定後の価格）
• 有効区間：
  • 静鉄電車：新静岡駅～新清水駅の全線
  • 静鉄バス：静岡駅、東静岡駅、草薙駅、清水駅を起点とした路線の片道600円区間エリア内。これにより、日本平や三保松原といった主要な観光地がほぼカバーされます。
• 発売窓口：新静岡駅、新清水駅の窓口、新静岡バス案内所、静岡駅前案内所、清水駅前案内所など。

【活用シミュレーション】このきっぷはどれだけお得？

例えば、東京から日帰りで静岡観光に来たAさんのモデルコースで検証してみましょう。

Aさんの観光プラン：
JR静岡駅 → (バス) → 日本平ロープウェイ → (バス) → JR清水駅 → (電車) → 新静岡駅 → (徒歩) → 駿府城公園観光 → JR静岡駅

通常運賃の場合：
1. 静岡駅前 → 日本平ロープウェイ（バス）：約580円
2. 日本平ロープウェイ → 清水駅前（バス）：約540円
3. 新清水駅 → 新静岡駅（電車）：350円
合計：約1,470円

この時点で既にフリー乗車券の元が取れそうですが、フリー乗車券の真価は「乗り放題」であること。もしAさんが「途中で草薙駅に寄り道して、草薙神社にも行ってみよう」と思い立っても、追加料金は一切かかりません。このように、計画の自由度が一気に高まるのが最大のメリットです。複数の観光地を巡るなら、間違いなく「買い」の一枚です。

その他の魅力的な企画乗車券

• 清水港まぐろきっぷ：静鉄電車・バスの乗車券に、清水港の指定店舗で使える「まぐろ食事券」と、指定観光施設で使える「観光施設利用券」がセットになった人気のきっぷ。グルメと観光をセットで楽しみたい方におすすめです。
• 静鉄電車ワンデーパス：静鉄電車だけを1日乗り放題で利用したい方向け。大人700円、小人350円と手頃な価格で、沿線の街歩きに最適です。

② 交通系ICカードを賢く使い分ける

現金いらずでスムーズな乗り降りを実現する交通系ICカード。静岡市では主に「LuLuCa」と「TOICA」が中心となりますが、それぞれの特性を理解して使い分けることが重要です。

静岡市民の必須アイテム「LuLuCa（ルルカ）」

静岡市に住み、静鉄グループのサービスを頻繁に利用するなら、「LuLuCa」は絶対に持つべきカードです。その最大の理由はポイントサービスにあります。

• 乗車で貯まる：静鉄電車・バスの利用で、利用金額に応じてLuLuCaポイントが貯まります。特に学生カードはポイント還元率が高く設定されています。
• 買い物で貯まる・使える：新静岡セノバやしずてつストアなど、LuLuCa加盟店での買い物でもポイントが貯まり、貯まったポイントは1ポイント＝1円として支払いに利用できます。
• バス車内でチャージ可能：残高が少なくなっても、静鉄バスの車内で運転士に申し出れば千円札でチャージが可能です。これは他の全国系ICカードにはない大きな利点です。

このように、LuLuCaは単なる交通乗車券にとどまらず、静岡での生活全般をお得にする地域密着型の多機能カードと言えます。

全国区の利便性「TOICA」とその他ICカード

JR東海の「TOICA」や、JR東日本の「Suica」などは、JR線を利用する際や、出張・旅行で全国の鉄道・バスに乗る際にその真価を発揮します。全国相互利用サービスにより、全国の主要な交通機関で利用できるのが強みです。

【重要】利用時の注意点まとめ

1. エリアまたぎはNG：前述の通り、TOICAエリアとSuicaエリアなど、異なる事業者のエリアをまたいでの利用はできません。
2. バス車内でのチャージはLuLuCaのみ：静鉄バスの車内でチャージできるのはLuLuCaだけです。Suicaなどの残高が不足した場合、車内ではチャージできないため、事前に駅などでチャージしておく必要があります。
3. 重ねてタッチは厳禁：パスケースに複数のICカードを入れたままタッチすると、読み取りエラーの原因となります。必ず1枚だけでタッチするようにしましょう。
4. ポイントは貯まらない：LuLuCa以外のカードで静鉄グループのサービスを利用しても、LuLuCaポイントは付与されません。ポイントを効率的に貯めたい場合は、そのエリアのメインカードを使うのが基本です。

③ スマホアプリ＆サイトをフル活用

現代の移動において、スマートフォンは最強のナビゲーターです。静岡市の公共交通を使いこなすためにも、便利なアプリやウェブサイトをブックマークしておきましょう。

• 経路検索の三種の神器：
  • しずてつジャストライン公式サイト：バスの経路検索に特化しており、バス停名がわからなくても施設名で検索でき、接近情報もわかるため最も信頼性が高いです。
  • NAVITIME / ジョルダン：鉄道とバスを組み合わせた複合的なルート検索に優れています。出発地から目的地までのトータルな移動計画を立てる際に便利です。
  • Google マップ：言わずと知れた万能アプリ。徒歩ルートも含めた直感的なナビゲーションが魅力です。
• リアルタイム運行情報：
  • 台風や大雨、イベント開催時など、交通機関のダイヤが乱れる可能性があります。移動前には必ず各事業者の公式サイトで最新の運行状況を確認する習慣をつけましょう。
• バスロケーションシステム：
  • しずてつジャストラインの経路検索結果に表示される「バス接近情報」は非常に便利です。「あと何分でバスが来るか」がリアルタイムでわかるため、バス停での待ち時間を有効活用できます。

これらのデジタルツールを駆使することで、まるで自分専用のコンシェルジュがいるかのように、スムーズで無駄のない移動が実現します。

まとめ：計画的な交通活用で、静岡市の「車なし生活」を最大限に楽しもう

本記事では、静岡市で車なし生活を送るための公共交通機関活用術を、基本から応用まで多角的に解説してきました。改めて要点を振り返ってみましょう。

静岡市の公共交通ネットワークは、都市間を高速で結ぶ「JR東海道本線」と、地域に密着し高頻度で運行する「静岡鉄道」という2つの鉄道を骨格とし、その骨格の間を市内全域に広がる「路線バス」が網の目のようにカバーする、非常に機能的な構造を持っています。さらに、コミュニティバスやシェアサイクルが、その網の目をさらに細かく補完しています。

この構造を理解し、日々の通勤・通学、買い物、休日のレジャーといった目的やシーンに応じて、これらの交通手段を計画的に使い分けること。それが、静岡市で快適な「車なし生活」を送るための最大の秘訣です。

「車がないと不便」なのではなく、計画的に交通機関を使い分けることで、むしろ車の維持費がかからない経済的なメリット、歩く機会が増える健康的なメリット、そしてCO2排出量を抑える環境的なメリットを享受できる、スマートなライフスタイルが実現します。実際に静岡市は、将来の都市構造を見据えた総合交通計画を策定し、公共交通を軸としたまちづくりを進めています。

もしあなたが静岡市での新生活を前に移動手段に不安を感じているなら、まずは休日に「電車・バス1日フリー乗車券」を手に、この記事で紹介したスポットを巡ってみてはいかがでしょうか。実際に自分の足で移動してみることで、車がなくてもこの街の豊かな自然、文化、食を存分に楽しめることを、きっと実感できるはずです。

計画的な交通活用は、あなたの静岡市での暮らしを、より自由で、豊かで、持続可能なものへと変えてくれるでしょう。