三島移住1年目の本音レポート!想像と現実のギャップとは
三島移住1年目の本音レポート!想像と現実のギャップとは
KUREBA
なぜ今、三島移住が注目されるのか?リアルな暮らしへの招待
「移住するなら、どこがいいだろう?」
新型コロナウイルスのパンデミックを経て、私たちの働き方や価値観は大きく揺さぶられました。リモートワークが浸透し、「どこで働くか」よりも「どこで暮らすか」を重視する人が増える中、地方移住は一部の特別な選択肢から、誰もが検討しうるリアルなライフプランへと変化しました。
そんな中、移住希望者の熱い視線を集めているのが静岡県です。NPO法人ふるさと回帰支援センターの調査では、静岡県は2020年から3年連続で移住希望地ランキングの首位を獲得するなど、幅広い世代から絶大な人気を誇っています。そして、その静岡県内でも特に注目度が高い都市の一つが、ここ「三島市」です。
「転職せずに、都内の仕事を続けながら移住できる」「新幹線で東京まで1時間以内」「自然が豊かで子育てしやすそう」…三島市には、現代の移住希望者が求める魅力的なキーワードが溢れています。実際、2020年には静岡県内で転入超過数が1位となり、特に30〜40代の働き盛り・子育て世代が新たな生活の地として三島を選んでいるデータもあります。アルヒ株式会社による「本当に住みやすい街大賞 2021 in 静岡」で「三島広小路」が1位に輝いたことも、その人気を裏付けています。
しかし、華やかなPR情報やランキングの裏側で、「実際の暮らしはどうなのだろう?」「理想と現実のギャップはないのだろうか?」と疑問に思うのは当然のことです。キラキラした情報だけでは、人生の大きな決断はできません。
そこで本記事では、東京から三島市へ移住して1年が経過した筆者の「本音」を、包み隠さずレポートします。移住前に抱いていた甘い「想像」と、実際に住んでみて初めて見えたシビアな「現実」。その両面を徹底的に掘り下げることで、あなたが自身の移住計画を具体的に、そして現実的に考えるための判断材料を提供することを目指します。これは、単なる街の紹介記事ではありません。あなたの未来の暮らしをシミュレーションするための、一人の移住者によるリアルな生活ドキュメントです。
移住前に抱いていた「理想のイメージ」- 私が三島に惹かれた理由
移住を決断する前、私の頭の中には三島での「理想の暮らし」が鮮やかに描かれていました。それは、多くの移住検討者が抱くであろう、希望に満ちたイメージの集合体だったかもしれません。なぜ私は、数ある候補地の中から三島に強く惹かれたのか。後の「現実」との対比を明確にするためにも、まずは私が抱いていた4つの大きな「想像」を整理してみましょう。
① 圧倒的なアクセス:「仕事はそのまま、暮らしは豊かに」の理想
移住を考える上で最大のハードルの一つが「仕事」です。地方でのキャリア形成に不安を感じる人は少なくありません。しかし、三島市はこの問題を鮮やかに解決してくれるように見えました。市の公式ウェブサイトが謳う「新幹線で、スグ都内!」「三島なら、仕事そのままで移住OK!」というキャッチコピーは、まさに魔法の言葉でした。
具体的には、JR三島駅から東海道新幹線「ひかり」を利用すれば、品川駅まで最短で約37分、東京駅までも約50分で到着します。これは、都内の通勤ラッシュに1時間以上揺られる日常と比較すれば、むしろ快適で質の高い移動時間です。この「転職なき移住」の可能性は、東京でのキャリアを中断したくない私にとって、何よりの魅力でした。仕事の基盤は変えずに、生活環境だけを劇的に向上させる。そんな夢のようなライフスタイルが、三島なら実現できると信じていました。
② 「都会と田舎のいいとこ取り」という絶妙なバランス
「自然豊かな場所で暮らしたい。でも、不便すぎるのは困る」。このジレンマは、多くの都会暮らし経験者が抱える悩みです。私もその一人で、「本気の田舎暮らし」には正直なところ不安がありました。その点、三島は「都会の利便性」と「田舎の豊かさ」を両立した、まさに「いいとこ取り」の街に見えました。
街の象徴である雄大な富士山の眺め。そして、「水の都」と呼ばれる所以である、市内を流れる源兵衛川の清流。夏にはホタルが舞い、子どもたちが水遊びに興じる風景は、都会の喧騒に疲れた心にとって最高の癒やしです。一方で、駅周辺は適度に賑わい、日常の買い物に困ることはなさそう。活気のある商店街やスーパーマーケットも揃っている。この「サバイバルにならずに始められる地方暮らし」という安心感が、私の背中を強く押しました。ある移住者のブログにあった「本気の田舎暮らしには不安がある人」にこそ向いているという言葉は、まさに私のための言葉だと感じたのです。
③ のびのびできる子育て環境への憧れ
子育て世代にとって、教育環境や子供の遊び場は移住先選定の最重要項目です。その点でも、三島は理想的に映りました。「子どもは豊かな自然の中で育てたい」という漠然とした願いを、具体的に叶えてくれる場所だと感じたのです。
前述の源兵衛川や、駅からほど近い楽寿園など、子供が思い切り体を動かして遊べる自然のフィールドが徒歩圏内に点在していること。さらに、三島市は日本大学や順天堂大学のキャンパス、Z会の本社などが集まる「文教都市」としても知られており、教育水準の高さも期待できました。そして、決定打となったのが手厚い子育て支援制度です。という制度は、子育て中の家計にとって計り知れない安心感をもたらします。自然、教育、行政サポートの三拍子が揃ったこの環境なら、子供をのびのびと、そして健やかに育てられるだろうと確信していました。
④ 東京より快適な住環境とコストパフォーマンス
東京での暮らしは刺激的ですが、常に「住まい」の制約がつきまといます。高い家賃、狭い部屋、収納の少なさ…。地方移住を考える大きなモチベーションの一つは、この住環境のストレスからの解放でした。
三島に移住した先輩たちの体験談は、私の夢をさらに膨らませました。という声や、という具体的な数字は、衝撃的でした。家が広くなれば、物理的な余裕だけでなく、心の余裕も生まれるはず。これまで諦めていた趣味の道具を置いたり、友人を気軽に招いたり、広いキッチンで料理を楽しんだり…。そんな、空間的なゆとりから生まれる「文化的な豊かな生活」が、三島では手に入ると想像していました。コストを抑えながら生活の質(QOL)を劇的に向上させる、最高のコストパフォーマンスがここにはあると信じて疑いませんでした。
【本音レポート】三島移住1年で見えた「想像と現実」7つのギャップ
さて、ここからが本題です。希望に満ちた「想像」を胸に始まった三島での生活。1年という月日は、理想を現実に変えるのに十分な時間でした。もちろん、想像以上に素晴らしい体験も数多くありましたが、同時に「こんなはずでは…」と感じるギャップも少なからず存在しました。ここでは、生活の具体的な7つの側面から、私が直面した「想像と現実」を、ポジティブな面もネガティブな面も公平に、そして率直にレポートします。
1. 仕事・働き方のギャップ
【想像】 リモートワークと快適な新幹線通勤で、理想のワークライフバランスが実現するはず。
【ポジティブな現実】新幹線通勤は「移動時間」ではなく「価値ある自分時間」だった
移住前、最もポジティブなギャップを感じたのが新幹線通勤の質でした。東京の殺人的な満員電車に揺られる1時間は、ただただ消耗するだけの「苦痛の時間」です。しかし、三島からの新幹線通勤は全くの別物でした。ある移住者夫婦が語るように、確実に座れる50分間は、誰にも邪魔されない完璧なプライベート空間。読書に没頭するもよし、集中して仕事の準備をするもよし、あるいはただ窓の外を流れる景色を眺めてリラックスするもよし。この時間は「通勤」というより「移動する書斎」であり、1日の始まりと終わりに質の高いインプットとアウトプットの時間をもたらしてくれました。これは、生産性と精神衛生の両面で、想像をはるかに超える大きなメリットでした。
【ネガティブな現実】交通費の壁とテレワーク環境の落とし穴
一方で、手放しで喜べない現実もありました。それは「新幹線通勤のコスト」です。東京と三島間の新幹線往復料金は約8,000円。これが毎日となると、月々の負担はかなりの額になります。私の会社は幸いにも大部分を支給してくれましたが、移住者の体験談にもあるように、会社の規定によっては自己負担額が大きくなり、せっかく下がった家賃のメリットを相殺してしまう可能性も十分にあります。「通勤手当の有無と上限額」は、移住前に必ず確認すべき最重要事項です。また、テレワークを支えるインターネット環境も注意が必要です。という口コミは事実で、物件によっては光回線が未導入だったり、速度が不安定だったりします。内見時には、不動産会社に回線の種類や導入状況を確認し、可能であればスマートフォンなどで速度テストを行うことを強くお勧めします。
キーポイント:仕事・働き方
- 想像以上: 新幹線通勤の快適さは、単なる移動時間の短縮ではなく、生活の質を向上させる「価値ある時間」となる。
- 要注意: 新幹線の交通費支給ルールは会社次第。家計を圧迫するリスクを事前に把握する必要がある。
- 要確認: 物件のインターネット環境はマストチェック。リモートワークの生命線であり、妥協できないポイント。
2. 住まい・生活コストのギャップ
【想像】 東京の家賃の半額で、広々とした家に住めるはず。
【ポジティブな現実】家の広さと心の余裕は確実に手に入った
この点に関しては、想像がほぼ現実となりました。実際に、東京で住んでいた1LDKの家賃以下で、駐車場付きの3LDKに住むことができています。ある移住者が「空間の余裕って本当に大事」と語るように、物理的なスペースが生まれたことで、心の余裕も格段に増しました。これまで収納の奥にしまい込んでいたキャンプ道具やスノーボード用品を気兼ねなく置けるようになり、趣味が広がるきっかけにもなりました。特に、東京では考えられないほど安い駐車場代(月5,000円程度が相場)は、車を持つハードルを大きく下げてくれます。生活の満足度は、住環境の改善によって間違いなく向上しました。
【ネガティブな現実】「思ったより安くない」家賃と「見えない固定費」の発生
しかし、良いことばかりではありません。という声もまた、一面の真実です。三島は人気の移住先であるため、特に駅近のファミリー向け賃貸物件は需要が高く、供給が追いついていない印象です。家賃相場は、周辺の市町と比べてもやや高めに設定されています。そして、移住者が忘れがちな最大の「見えない固定費」が、自動車の存在です。ある移住者も「自家用車なし生活を貫いていましたがダメでしたね」と語るように、特に子育て世帯にとって車は生活必需品。車両本体の購入費はもちろん、保険、税金、車検、ガソリン代といった維持費が、家賃とは別に毎月発生します。この「車のコスト」を移住後の家計簿にしっかりと組み込んでおかないと、「思ったより生活費が下がらない」という事態に陥ります。
キーポイント:住まい・生活コスト
- 想像通り: 家は広くなり、家賃は下がる。特に駐車場代の安さは大きな魅力。
- 要注意: 人気エリアのため、駅近物件の家賃は「地方都市としては」安くない。物件数も限られる。
- 最重要: 自動車の購入・維持費という新たな固定費を必ず予算に計上すること。これが生活コストの鍵を握る。
日常生活・買い物のギャップ
【想像】 自然豊かでも、駅周辺が栄えているから生活必需品は問題なく揃う便利な街のはず。
【ポジティブな現実】日常を彩る「地元の魅力」との出会い
日々の食料品や生活雑貨の買い物については、想像通り不便を感じることはありませんでした。駅周辺にはスーパーが複数あり、昔ながらの活気ある商店街も健在です。むしろ、東京では味わえなかった「買い物体験」が日常に加わりました。例えば、地元の精肉店で店主と会話しながらおすすめの部位を教えてもらったり、八百屋で採れたての新鮮な「三島野菜」を発見したり。こうした小さな発見が、日々の暮らしを豊かにしてくれます。三島は富士山の伏流水に恵まれているため、水が美味しいのはもちろん、その水で育った野菜や米も格別です。これは、移住して初めて実感した大きな喜びでした。
【ネガティブな現実】「車社会」と「アナログ文化」への適応
一方で、東京の感覚のまま生活しようとすると、すぐに壁にぶつかります。まず、やはり車は必須インフラです。衣料品や少し専門的なものを買おうとすると、市内に大型のショッピングモールはないため、隣の沼津市や柿田川にある商業施設まで車で足を延ばす必要があります。また、という指摘も的確で、人気の飲食店や個人のクリニックなど、いまだに電話予約が主流の場所も少なくありません。これは、何でもスマホ一つで完結する都会の生活に慣れていると、最初は戸惑うポイントかもしれません。良くも悪くも、少しだけアナログなコミュニケーションが求められる場面があるのです。
キーポイント:日常生活・買い物
- 想像通り: 日常の食料品・生活雑貨の買い物に不便はない。地元の美味しい食材は大きな魅力。
- 要注意: 車がないと行動範囲が著しく制限される。大型商業施設へのアクセスは車が前提。
- 要適応: Web予約非対応の店や施設も多い。アナログなコミュニケーションが必要な場面も。
4. 子育て環境のギャップ
【想像】 豊かな自然と手厚い支援制度で、子供をのびのび育てられる理想郷のはず。
【ポジティブな現実】五感を刺激する「本物の遊び場」がすぐそこに
この点は、想像をはるかに超える素晴らしい現実でした。東京では「公園に連れて行く」というイベントだったものが、三島では「家の前の川で遊ぶ」という日常に変わります。子供たちが川でドジョウやカニを探して夢中になる姿は、どんな高価な知育玩具よりも貴重な体験だと感じます。楽寿園のような広大な公園も無料で利用できるエリアが多く、お金をかけずに子供の好奇心と体力を育む環境が整っています。また、移住者が多いからこそ、親同士のコミュニティも活発です。ある移住者の体験談にあるように、子育て支援施設などを通じて同じ境遇の親と繋がりやすく、初めての土地での子育ての不安を分かち合える仲間を見つけやすい環境は、何物にも代えがたいセーフティネットとなりました。
【ネガティブな現実】都市部ならではの課題とインフラの不備
しかし、三島も完璧な子育て天国というわけではありません。人気の移住地であるがゆえに、待機児童の問題はゼロではありません。特に、共働き世帯が求める19時以降の延長保育に対応できる園は限られており、希望の保育園に入れないケースもあるようです。また、インフラ面での課題も感じます。という指摘の通り、道によっては歩道が狭かったり、段差が多かったりして、ベビーカーでの移動に気を使う場面があります。車社会が前提となっているためか、歩行者、特に小さな子供連れの視点での整備は、まだ改善の余地があると感じます。
キーポイント:子育て環境
- 想像以上: 自然の中でのびのびと遊べる環境は本物。お金をかけずに豊かな体験ができる。
- 想像以上: 移住者が多く、親同士のコミュニティを築きやすい。孤独を感じにくい。
- 要注意: 待機児童問題は存在する。特に延長保育のニーズには課題も。
- 要確認: 歩道が狭いなど、インフラ面でベビーカー利用時に不便を感じる場所がある。
5. 人間関係・コミュニティのギャップ
【想像】 地方特有の閉鎖的なコミュニティに馴染めるだろうか。よそ者扱いされないか不安。
【ポジティブな現実】「誰が移住者かわからない」ほどのオープンな空気
これは、移住前に抱いていた最大の不安でしたが、良い意味で最も裏切られた点です。三島は、驚くほど移住者に対してオープンでフレンドリーな街でした。ある移住者が「移住者と地元の人との境目があんまりない」「誰が移住者だかわからない」と語るように、排他的な雰囲気は全く感じません。これは、昔から東海道の宿場町として多くの人が行き交ってきた歴史的背景と、近年積極的に移住者を受け入れてきた市の姿勢が大きく影響しているのかもしれません。市が任命する制度など、先輩移住者と新しく来た人をつなぐ仕組みも機能しており、地域に溶け込むためのハードルは非常に低いと感じました。
【注意点】受け身では何も始まらない。一歩踏み出す勇気が必要
ただし、いくらオープンな環境でも、待っているだけでは関係は広がりません。これは三島に限った話ではありませんが、自ら一歩踏み出す勇気は必要です。幸い、三島には地域のお祭りや、子育てサークル、趣味のコミュニティなど、参加のきっかけとなるイベントが数多くあります。例えば、移住を機に地域のカフェでボランティアを始めたり、ランニングイベントに参加したりと、小さなアクションが大きな繋がりに発展した例は枚挙にいとまがありません。オープンな土壌は整っています。あとは、そこに種を蒔くかどうか。暮らしの豊かさは、その小さな勇気にかかっていると言えるでしょう。
キーポイント:人間関係・コミュニティ
- 想像以上: 移住者へのウェルカムな雰囲気が街全体にある。閉鎖的な空気は感じない。
- 想像以上: 市やコミュニティが主導する交流の機会が多く、溶け込むきっかけが豊富。
- 要行動: 環境は整っているが、自らイベントやコミュニティに顔を出す積極性が、豊かな人間関係を築く鍵。
6. 趣味・休日の過ごし方のギャップ
【想像】 週末は豊かな自然に囲まれて、毎週のようにアウトドアを楽しむアクティブな生活になるはず。
【ポジティブな現実】遊びの「拠点」としてのポテンシャルと、家で始まる新しい趣味
三島の立地は、まさに「遊びの天才」です。車を少し走らせれば、箱根の温泉、伊豆の美しい海、富士山麓でのキャンプやハイキングと、日本屈指のレジャースポットへ1時間以内でアクセスできます。週末の選択肢は無限大で、アウトドア好きにとってはまさに楽園。これは想像通りの素晴らしい環境でした。しかし、それ以上に大きな発見だったのは、家の中での楽しみの広がりです。家が広くなったことで、これまで場所がなくて諦めていたキャンプ道具やサーフボードを置けるようになり、新しい趣味に挑戦するハードルが下がりました。広いキッチンで料理に凝ったり、庭で家庭菜園を始めたり。外遊びの拠点としてだけでなく、家自体が新しい趣味を生み出す「創造の場」になったことは、嬉しい誤算でした。
【少し寂しい現実】カルチャーとの距離と、友人との物理的な距離
その一方で、東京の暮らしに慣れていると、少し物足りなさを感じる部分もあります。最新の映画を上映するシネコンや、話題の美術展、インディーズバンドのライブなど、ふらっと立ち寄れる最先端のカルチャー施設やイベントは、やはり東京に集中しています。また、移住後に親しい友人や家族と気軽に会えなくなる寂しさは、想像以上に大きいものでした。もちろん、新幹線を使えばすぐに会えますが、「仕事帰りに一杯」といった気軽さは失われます。しかし、このギャップは新たな発想も生みました。「会えないなら、来てもらえばいい」。三島は観光地でもあるため、「美味しいうなぎを食べに、温泉に入りに、遊びにおいでよ」と友人を招待する楽しみが生まれたのです。距離ができたからこそ、一つ一つの再会がより特別なものになりました。
キーポイント:趣味・休日の過ごし方
- 想像以上: 周辺の観光・レジャースポットへのアクセスは抜群。遊びの拠点として最高。
- 想像以上: 家が広くなったことで、インドアの趣味も広がる。家が「創造の場」になる。
- 要注意: 最新の文化施設やイベントは少ない。カルチャー面での刺激は東京に劣る。
- 要発想転換: 友人との物理的な距離は、寂しさであると同時に、三島に招待する新しい楽しみを生む。
7. 行政サービスのギャップ
【想像】 地方の市役所は手続きがアナログで、時間がかかりそう。
【ポジティブな現実】意外と進んでいるDX化と、市民目線の取り組み
これは完全に私の先入観でした。三島市は、市民サービスの向上に非常に意欲的です。特にDX(デジタルトランスフォーメーション)化には力を入れており、転入・転出などのライフイベントに必要な手続きを案内してくれる「三島市手続きガイド」や、各種申請のオンライン化など、利便性を高める取り組みが着実に進んでいます。実際に市役所の窓口を訪れた際も、職員の方の対応は丁寧で、移住者向けのサポート窓口も分かりやすく案内してもらえました。市民意識調査で「住みやすさ」への満足度が9割を超えるというデータも、こうした日々の行政サービスの質の高さに支えられているのだと感じます。
【これからの課題】ハード面の更新と、さらなる利便性向上への期待
もちろん、全ての面で都会の利便性に追いついているわけではありません。例えば、新庁舎の整備が議論されているように、施設の老朽化といったハード面の課題は存在します。また、公共交通についても、コロナ禍を経て利用者数が減少し、路線の維持・確保が課題となっている側面もあります。しかし、重要なのは、市がこれらの課題を認識し、改善に向けて動いているという点です。完璧ではないからこそ、市民として街づくりに関わる面白さがあるとも言えるかもしれません。今後のさらなる進化に期待したいと思います。
キーポイント:行政サービス
- 想像以上: 市民サービスのDX化に積極的。オンライン手続きなどが整備されつつある。
- 想像以上: 窓口対応は丁寧で、移住者へのサポート体制も整っている。
- これからの課題: 市庁舎の建て替えや公共交通の維持など、ハード面・インフラ面の課題は存在する。
ギャップを越えてわかった、三島暮らしの「本当の価値」
移住から1年。数々の「想像と現実のギャップ」を体験してきて、私がたどり着いた結論は、三島は「完璧な楽園」ではない、ということです。しかし、その不完全さこそが、三島暮らしの「本当の価値」を生み出しているのだと、今では確信しています。単なるメリット・デメリットのリストを超えた、この街の本質的な魅力についてお話しします。
「完璧ではない」からこそ生まれる、暮らしを創る余白
東京での生活は、高度に最適化され、完成されたサービスを「消費」する毎日でした。しかし三島は、都会ほど便利ではなく、かといって俗世から隔絶された田舎でもありません。この「程よい不便さ」や「未完成な部分」が、暮らしを自分たちの手で創り上げていく「余白」となります。
例えば、大型商業施設がないからこそ、地元の商店を巡って自分だけのお気に入りを見つける楽しみが生まれる。最新のエンタメ施設がないからこそ、仲間と集まってウクレレを弾いたり、キャンプを企画したりと、自ら楽しみを「創造」するようになる。このプロセスそのものが、受動的な消費生活では得られなかった、能動的な生きる喜びに繋がっています。ある移住者が「やりたいことが沢山あるって楽しい」と語るように、三島は、自分らしいライフスタイルをデザインするための、真っ白なキャンバスを与えてくれる場所なのです。
ON/OFFの劇的な変化がもたらす「心の豊かさ」
三島暮らしの最大の恩恵は、ワーク(ON)とライフ(OFF)の劇的な切り替えが可能になったことです。新幹線に乗れば、そこはもう仕事モードの「ON」。東京の緊張感を保ちながら、キャリアを継続できます。そして、三島駅に降り立った瞬間、澄んだ空気と水のせせらぎが、心身を完全に「OFF」モードへと切り替えてくれます。
この明確なスイッチングが、驚くほどの好循環を生み出しました。ある移住者の言葉を借りれば、「自然環境に癒される→ストレスが減り仕事とプライベートの切り替えができる→プライベートも楽しい→結果仕事のパフォーマンスが上がる」というサイクルです。東京にいた頃は、仕事のストレスをプライベートに引きずることが日常茶飯事でしたが、三島では心身ともにリセットされ、翌日の仕事にフレッシュな気持ちで臨めるようになりました。これは、単なるワークライフバランスではなく、生産性と幸福度を同時に高める、新しい生き方の発見でした。
消費から創造へ – 人生がアクティブになる場所
東京では、私たちは常にサービスの「受け手」であり「消費者」でした。しかし三島では、誰もがコミュニティの「担い手」であり「創造者」になるチャンスがあります。
移住して半年で市の移住促進イベントに登壇し、自ら「三島移住アンバサダー」を名乗るようになった女性の話は、その象徴です。彼女は、三島の魅力は「人」にあると感じ、その魅力を発信するために自らアクションを起こしました。本業の広報スキルを活かして地域に貢献し、それがまた新たな人との繋がりや仕事を生んでいく。こうした「地域×複業」のダイナミズムが、三島には確かに存在します。
移住は、単に住む場所を変えるだけではありません。それは、自分の役割やアイデンティティを再発見する旅でもあります。三島は、その旅を温かく受け入れ、後押ししてくれる、人生がよりアクティブになる場所なのです。
三島移住で後悔しないために|検討から実行までの3ステップ&支援制度ガイド
「三島、いいかもしれない」。そう感じ始めたあなたへ。勢いだけで移住を決めて後悔しないために、具体的なアクションプランが必要です。ここでは、私が実践し、多くの先輩移住者も通ってきた「検討から実行までの3ステップ」と、知らなきゃ損する市の支援制度を分かりやすくガイドします。
ステップ1:徹底的な情報収集と「自分軸」の確立
移住の成功は、情報戦です。まずは、あらゆる角度からリアルな情報を集めましょう。市の公式ウェブサイトはもちろんですが、それだけでは見えない「暮らしの肌触り」を知ることが重要です。
- 公式サイトで基礎固め: 三島市・移住定住応援サイトで、制度や街の基本情報を正確に把握します。
- 移住者ブログで本音を知る: noteや個人ブログで「三島 移住」と検索し、先輩たちの成功談も失敗談も読み込みます。特にのような具体的な記事は、自分との相性を測る絶好の材料になります。
- SNSで「今」を追う: X(旧Twitter)やInstagramでハッシュタグ「#三島暮らし」などを検索し、リアルタイムの街の雰囲気やイベント情報を掴みます。
情報を集める中で最も大切なのは、「自分にとっての譲れない条件=自分軸」を明確にすることです。「新幹線通勤の頻度は週何回か?」「車は絶対に必要か、なくても生活できるエリアか?」「子育てで最も優先したいことは何か?」など、自分のライフスタイルと照らし合わせ、優先順位をつけましょう。他人の「良い」が、自分にとっての「良い」とは限りません。
ステップ2:現地での「暮らし目線」の体験
情報収集の次は、現地での体験です。ただし、単なる「観光」で終わらせてはいけません。「もしここに住んだら?」という「暮らし目線」で街を歩くことが重要です。
- 平日と休日、両方訪れる: 休日の賑わいだけでなく、平日の朝夕の駅の様子や、日中の街の雰囲気も体感しましょう。
- スーパーで買い物をする: 地元のスーパーを訪れ、品揃えや物価を肌で感じてみてください。
- 移住相談窓口を活用する: 三島市はオンラインや対面での移住相談に非常に積極的です。市の担当者や先輩移住者(移住アンバサダー)から、ネットにはない生の声を聞く絶好の機会です。漠然とした不安や疑問を、遠慮なくぶつけてみましょう。
この「お試し暮らし」のステップを踏むことで、理想と現実のギャップを最小限に抑えることができます。
賢く活用したい!三島市の移住支援制度
三島市は、移住者を経済的にサポートする手厚い支援制度を用意しています。これらを活用しない手はありません。代表的な制度を3つ紹介しますが、各制度には詳細な要件(年齢、所得、居住期間、住宅の面積など)や申請期間、予算の上限があります。検討する際は、必ず三島市の公式ウェブサイトで最新の公式情報を確認してください。
1. 移住・就業支援補助金
東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)から三島市に移住し、特定の就業・起業要件を満たす場合に交付される、国の地方創生制度を活用した補助金です。インパクトが非常に大きいので、対象となる方は必ず検討しましょう。
- 補助金額: 単身の場合 60万円、2人以上の世帯の場合 100万円
- 子育て加算: 18歳未満の子供を帯同して移住する場合、子供1人につき100万円が加算されます。(例:夫婦+子供2人の世帯なら、100万円+100万円×2=300万円)
- 主な要件: 移住直前の居住地・勤務地、移住後の就業(静岡県のマッチングサイト利用など)またはテレワーク、起業に関する詳細な要件があります。市の公式ページでの確認が必須です。
2. 住むなら三島移住サポート事業
三島市への移住・定住を促進するため、市内に住宅を取得して転入した若い世帯に対して交付される補助金です。マイホーム購入を考えている方には大きな助けとなります。
- 補助金額: 県外からの転入で、特定の要件を満たす若い夫婦等の場合、最大100万円。
- 主な要件: 夫婦の年齢(入居日時点でいずれかが40歳未満など)、住宅の面積(75㎡以上など)、定住(5年以上居住)の意思などが問われます。令和6年度からは中古住宅も対象になるなど、制度が拡充されています。最新の要件を必ず確認してください。
3. 移住・子育てリフォーム事業費補助金
子育て世帯などが良好な居住環境を確保するために行う住宅リフォーム工事の費用の一部を補助する制度です。中古住宅を購入して自分たちのスタイルに合わせたい場合に活用できます。
- 補助金額: 県外からの移住世帯の場合、補助対象経費の20%(上限20万円)。市内業者を利用するとさらに加算(上限5万円)があります。
- 主な要件: 住宅の耐久性や安全性を高める工事であること、世帯の年齢要件(夫婦のいずれかが46歳未満で中学生以下の子と同居など)があります。詳細は市の関連ページで確認が必要です。
結論:1年住んで見えた答え – 三島はあなたにとっての「理想の移住先」か?
移住から1年。東京の喧騒を離れ、三島の水と緑に囲まれて暮らす中で、私なりに一つの答えが見えてきました。それは、三島は万人に完璧な「楽園」ではない。しかし、現代のライフスタイルが抱えるジレンマに対し、極めて高いレベルで応えてくれる「最強バランス王国」である、ということです。
「仕事のキャリアは捨てたくない、でも、豊かな自然の中で暮らしたい」
「都会の利便性は手放したくない、でも、人との温かい繋がりも欲しい」
「子供にはのびのび育ってほしい、でも、教育の選択肢は確保したい」
こうした、一見すると「わがまま」にも思える願いを、三島は驚くほどのバランス感覚で満たしてくれます。東京という巨大な経済圏と新幹線で直結し「ON」の時間を担保しながら、富士山と清流がもたらす圧倒的な自然環境で「OFF」の質を高める。この両立こそが、三島が多くの移住者に選ばれる最大の理由でしょう。
もちろん、本レポートで詳述してきたように、想像と現実のギャップは存在します。車社会への適応、思ったより安くない家賃、都会に劣る商業施設のバラエティ。これらのギャップを「許容できないデメリット」と捉えるか、「工夫で乗り越えられる、あるいは楽しめる余白」と捉えるか。その判断こそが、あなたと三島との相性を決定づけます。
大切なのは、キラキラした情報に踊らされることなく、あなた自身の「自分軸」で三島という街を見つめ直すことです。この記事が、そのためのリアルな判断材料となり、あなたの移住計画をより具体的で、後悔のないものにする一助となれば、筆者としてこれ以上の喜びはありません。
最後に、移住を検討しているあなたに、一番伝えたいことがあります。
まずは一度、三島の空気を吸いに来ませんか?
画面越しの情報収集を終えたなら、次はあなたの五感でこの街を感じてみてください。駅に降り立った時の空気の違い、源兵衛川の水の冷たさ、商店街の活気、そして、そこに住む人々の表情。あなたの目で見て、肌で感じることこそが、どんな詳細なレポートにも勝る、最高の判断材料になるはずです。関係人口としてのその第一歩が、あなたの新しい人生の扉を開くかもしれません。