【2025年版】富士市の産業観光完全ガイド！親子で楽しめる工場見学スポット10選

「ものづくりのまち」富士市の魅力

静岡県東部に位置する富士市は、雄大な富士山の麓に広がる、日本を代表する「ものづくりのまち」です。特に、富士山の豊富な湧水に支えられて発展した製紙業は、市のアイデンティティそのもの。普段何気なく使っているトイレットペーパーやティッシュペーパーが、どのように作られているのか、その秘密を解き明かす旅に出かけてみませんか？

この記事では、定番の製紙工場見学から、富士山の絶景を楽しめる体験型スポット、さらには幻想的な工場夜景まで、富士市とその周辺エリアで楽しめる産業観光スポットを10ヶ所厳選してご紹介します。大人も子供も知的好奇心をくすぐられる、学びと発見に満ちた旅のプランニングにお役立てください。

なぜ富士市は産業観光の聖地なのか？

富士市が産業観光の目的地として多くの人々を惹きつけるのには、明確な理由があります。それは、富士山の自然の恵みと、それによって育まれた産業の歴史が密接に結びついているからです。

富士山の恵みが育んだ「紙のまち」の歴史

富士市の製紙業の歴史は明治時代にまで遡ります。富士山に降った雨や雪が長い年月をかけてろ過された豊富な伏流水は、紙づくりに不可欠な清らかな水を大量に供給しました。この自然の恩恵を背景に、富士市には90以上の製紙工場が集積し、日本有数の紙の産地として発展しました。

特に家庭紙の分野では圧倒的な存在感を誇り、全国で生産されるトイレットペーパーの約4割は富士市で作られています。多くの工場では、古紙を原料とした再生紙の生産に力を入れており、環境への貢献という側面からも注目されています。

富士山と工場の共演が生む唯一無二の景観

富士市のもう一つの大きな魅力は、世界文化遺産である富士山と、近代的な工場群が織りなすダイナミックな景観です。他の工業地帯のように工場が一箇所に集中しているのではなく、市内に点在しているため、生活や自然と工場が隣り合わせに存在しています。

特に、空気が澄んだ冬の夜には、煌びやかな工場の灯りと雄大な富士山のシルエットが共演する「工場夜景」を見ることができます。この幻想的な風景は、多くの写真愛好家や観光客を魅了し、富士市ならではの産業観光のシンボルとなっています。

【必見】富士市の製紙業を学ぶ！おすすめスポット5選

まずは「紙のまち」富士市を象徴する、製紙業に関連した見学・学習スポットを5つご紹介します。各工場の受け入れ条件は変更される可能性があるため、訪問前には必ず公式サイトやお電話で最新情報をご確認ください。

1. 丸富製紙 富士根工場：再生紙の奥深さを学ぶ本格ツアー

小学5年生から見学可能。古紙がトイレットペーパーに生まれ変わるまでを90分かけてじっくり学べる、社会科見学に最適なスポットです。

丸富製紙は、再生紙トイレットペーパーのトップメーカーの一つです。富士根工場では、回収された古紙がパルプになり、巨大なマシンで紙に抄かれ、製品として包装されるまでの一連の工程を見学できます。迫力ある製造ラインは、子供だけでなく大人も夢中になること間違いなしです。

• 見学内容：トイレットペーパーの製造工程
• 対象：小学5年生以上（10名以上の団体）
• 所要時間：約90分
• 料金：無料
• 予約：要予約（電話またはHPから希望日の2ヶ月前より）
• 住所：静岡県富士市天間686番地

2. コアレックス信栄：リサイクルの最前線を体感

「こんな紙まで再生できるの？」という驚きが待っています。小学生から見学でき、環境問題への意識が変わるきっかけになるかもしれません。

コアレックスグループは、リサイクルが難しいとされる紙ゴミからもトイレットペーパーを製造する高度な技術を持っています。工場見学では、その独自の再生技術や排水処理の仕組みを学ぶことができます。「紙ゴミに対する意識が変わった」という見学者の声も多く、環境学習の場として非常に価値の高いスポットです。

• 見学内容：再生紙トイレットペーパーの製造工程、リサイクル技術
• 対象：小学生以上（幼児は保護者同伴）
• 所要時間：要問い合わせ
• 料金：無料
• 予約：要予約（2〜3週間の余裕をもって申し込み）
• 住所：静岡県富士市中之郷575-1

3. 春日製紙工業：歴史ある工場で紙づくりに触れる

昭和5年設立の歴史を持つ老舗。20〜30名程度の団体見学に対応しており、地域や企業の研修にも活用できます。

春日製紙工業は、長年にわたり環境にやさしい紙づくりを追求してきた企業です。「地球とともに。」をキャッチフレーズに、古紙資源の有効活用に努めています。工場見学は1ヶ月前までの事前予約制で、平日に受け入れています。歴史ある工場で、ものづくりの精神に触れることができます。

• 見学内容：製紙工程全般
• 対象：特になし（未就学児、小学校低学年は保護者同伴）
• 所要時間：要問い合わせ
• 料金：無料
• 予約：要予約（1ヶ月前まで）
• 住所：静岡県富士市比奈760-1

4. 富士山かぐや姫ミュージアム：紙の歴史と文化の殿堂

工場だけでなく、歴史から学びたい方に。なぜ富士市が「紙のまち」になったのか、そのルーツを深く知ることができます。

富士市立博物館（愛称：富士山かぐや姫ミュージアム）では、「富士に生きる 〜紙のまちの歴史と文化〜」をテーマにした常設展があります。分館の歴史民俗資料館では、手すき和紙の道具や近代製紙業の始まりに関する資料が展示されており、富士市の製紙業の歩みを体系的に学べます。また、「一閑張（いっかんばり）」など紙に関する体験講座も開催されています。

• 見学内容：製紙業の歴史に関する展示、民俗資料
• 対象：全年齢
• 料金：無料
• 予約：不要（体験講座は要予約）
• 住所：静岡県富士市伝法66-2

5. 静岡県工業技術研究所 富士工業技術支援センター：紙の未来を覗く

より専門的な内容に興味がある方向け。リサイクル技術の高度化など、製紙産業の未来を支える研究開発の現場を見学できます。

地域の基幹産業である製紙業の発展を技術面から支える研究機関です。ここでは、古紙リサイクル技術の高度化や、紙の原料であるセルロースを活用した新素材「セルロースナノファイバー（CNF）」の研究など、最先端の取り組みが行われています。普段は見ることができない研究の現場は、新たな発見に満ちています。

• 見学内容：製紙に関する研究開発の様子
• 対象：要問い合わせ
• 料金：無料
• 予約：要予約
• 住所：静岡県富士市大渕2590-1

【体験型】もっと楽しむ！富士エリアの産業・体験スポット5選

製紙業以外にも、富士エリアには魅力的な産業観光スポットがたくさんあります。五感を使って楽しめる体験型の施設を中心にご紹介します。

6. アサヒ飲料富士山工場：富士山の恵みから生まれる製品を見学

清涼飲料水ができるまでを楽しく学べる人気スポット。見学後には試飲も楽しめ、家族連れに特におすすめです。

富士宮市に位置するこの工場では、「アサヒ おいしい水」や「十六茶」などが製造されています。ガラス越しに衛生的な製造ラインを見学でき、巨大な機械が寸分の狂いなく動く様子は圧巻です。天気が良ければ雄大な富士山を望むことができ、見学は無料で予約制です。

• 見学内容：清涼飲料水の製造工程、試飲
• 対象：全年齢
• 所要時間：約60分
• 料金：無料
• 予約：要予約（電話またはWEB）
• 住所：静岡県富士宮市北山4839-2

7. ヤマタカ櫻井製茶「富士山Teaパーク」：絶景と楽しむお茶摘み体験

富士山を望む絶景の茶畑で、お茶摘みから工場見学、淹れ方体験まで！農業と観光が融合した新しい形の産業観光です。

富士宮市にあるこの施設では、お茶にまつわる一連の体験ができます。広大な茶畑を散策し、自分の手でお茶の葉を摘み、それが製品になるまでを工場で見学。最後には美味しいお茶の淹れ方を教わり、自分で淹れたお茶を味わうことができます。特に新緑の季節は、青々とした茶畑と富士山のコントラストが息をのむ美しさです。

• 見学内容：お茶摘み体験、茶工場見学、お茶の淹れ方体験
• 対象：全年齢
• 所要時間：1〜2時間程度
• 料金：有料（プランによる）
• 予約：要予約
• 住所：静岡県富士宮市山本877

8. 富士市の工場夜景：光と煙が織りなす幻想的なアート

見学ツアーではなく「鑑賞」する産業観光。夜の闇に浮かび上がる工場の姿は、まるでSF映画の世界です。

富士市の工場夜景は、全国の工場夜景ファンからも注目されています。特におすすめの鑑賞スポットは「ふじのくに田子の浦みなと公園」。港の対岸に広がる製紙工場の灯りが水面に反射し、幻想的な風景を作り出します。冬場は空気が澄んで富士山も見える日が多く、特におすすめのシーズンです。

• 見学内容：工場夜景の鑑賞
• 対象：全年齢
• 料金：無料
• 予約：不要
• 住所（田子の浦みなと公園）：静岡県富士市前田

9. 日本製紙 富士工場：都市型リサイクルを支える巨大工場

日本の製紙業界をリードする巨大工場。その存在感は「紙のまち」の象徴。岳南電車から眺める姿もまた一興です。

日本製紙は国内最大手の製紙会社の一つ。富士工場は、古紙を主原料として段ボール原紙などを生産する「都市型資源リサイクル工場」として重要な役割を担っています。一般向けの常時見学は行っていませんが、企業として学生や地域住民向けの見学会を積極的に実施しており、日本のものづくりとリサイクルを支える現場のスケールを体感できます。

• 見学内容：段ボール原紙・白板紙の製造工程
• 対象：主に学校・地域団体など（要問い合わせ）
• 料金：要問い合わせ
• 予約：要問い合わせ
• 住所：静岡県富士市比奈798（吉永地区） / 蓼原600（富士地区）

10. 富士里和製紙：短時間で気軽に立ち寄れる製紙工場

見学時間は約30分。小規模グループに対応しており、旅のスケジュールに組み込みやすいのが魅力です。

古紙再生によるトイレットペーパーの一貫生産を行っている工場です。原料の投入から製品が完成するまでを約30分という短時間で見学できるため、他の観光と合わせて気軽に立ち寄ることができます。10名未満の少人数に対応しているのも嬉しいポイントです。

• 見学内容：トイレットペーパー製造工程
• 対象：全年齢（未就学児、小学校低学年は保護者同伴）
• 所要時間：約30分
• 料金：無料
• 予約：要予約（電話）
• 住所：静岡県富士市鷹岡本町4-19

工場見学を計画する際のポイント

産業観光を最大限に楽しむために、いくつか注意点があります。

1. 予約は必須：ほとんどの工場見学は完全予約制です。公式サイトや電話で、数週間〜数ヶ月前には予約を済ませましょう。
2. 対象条件を確認：年齢制限（「小学5年生以上」など）や、人数制限（「10名以上の団体」など）が設けられている場合があります。
3. 稼働日をチェック：土日祝日は休みの工場がほとんどです。また、平日でも設備のメンテナンスなどで製造ラインが停止している日もあるため、予約時に確認しましょう。
4. 安全ルールを守る：工場内では、ヘルメットの着用など、施設ごとの安全ルールに必ず従ってください。動きやすい服装と靴での参加が基本です。

まとめ：富士市の産業観光で知的好奇心を満たす旅へ

富士市の産業観光は、単に製品が作られる過程を見るだけではありません。富士山の壮大な自然と産業がどのように関わり、私たちの暮らしを支えているのかを肌で感じることができる、貴重な体験です。

再生紙の技術に驚き、巨大な機械の迫力に圧倒され、美しい工場夜景に感動する。そんな知的好奇心を満たす旅に、ぜひ出かけてみてください。この記事が、あなたの素晴らしい旅のきっかけになれば幸いです。