人生100年時代と言われる現代、「終活」はシニア世代だけでなく、40代や50代から意識する方が増えています。しかし、「何から手をつければいいかわからない」「エンディングノートを紙で書くのは大変そう」と感じ、一歩を踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
そんな悩みを解決するのが、スマートフォンで手軽に始められる「終活アプリ」です。この記事では、終活アプリの基本からメリット・デメリット、そして2025年最新のおすすめアプリまで、デジタルで効率的に終活を進めるための活用術を徹底解説します。
終活アプリとは?人生の棚卸しをスマホ一つで
終活アプリとは、自分にもしものことがあった際に家族や友人に伝えておきたい情報を、スマートフォンやタブレットに記録・保管しておくためのツールです。いわば「デジタル版のエンディングノート」であり、主に以下のような情報を管理できます。
- 自分自身に関する情報:基本情報、自分史、大切な人へのメッセージ
- 資産に関する情報:預貯金、不動産、有価証券、保険、ローン
- デジタル資産:SNSアカウント、オンラインサービスのID・パスワード
- 医療・介護の希望:延命治療の意思、かかりつけ医、アレルギー情報
- 葬儀・お墓の希望:葬儀の形式、連絡してほしい人のリスト
これらの情報を一元管理し、必要なタイミングで指定した家族に共有する機能を持つアプリが多く、面倒な終活の準備をスムーズに進める手助けとなります。
なぜ今、終活アプリが選ばれるのか?5つのメリット
紙のエンディングノートに比べて、終活アプリにはデジタルならではの多くのメリットがあります。ここでは、特に代表的な5つの利点をご紹介します。
- いつでもどこでも手軽に始められる
スマートフォンさえあれば、思い立った時にすぐダウンロードして始められます。通勤中の電車や休憩時間など、隙間時間を使って少しずつ書き進められる手軽さが魅力です。 - 情報の追加・修正が簡単
資産状況や考え方は時間と共に変化するものです。アプリなら、紙のように書き直しの手間がなく、いつでも最新の情報にアップデートできます。 - 写真や動画、音声で想いを残せる
テキストだけでなく、思い出の写真や家族へのビデオメッセージ、肉声を保存できるアプリもあります。文字だけでは伝わらない温かい想いを、より鮮明に残すことができます。 - セキュリティ機能で安全に保管
多くのアプリはパスワードや生体認証で保護されており、第三者に勝手に見られる心配がありません。また、データはクラウド上に保管されるため、スマホを紛失しても情報が消えるリスクを低減できます。 - 家族との情報共有がスムーズ
あらかじめ指定した家族にのみ、特定の情報へのアクセス権限を与えることができます。これにより、いざという時に必要な情報が確実に伝わり、残された家族の負担を大きく軽減できます。
利用前に知っておきたい終活アプリの注意点と対策
非常に便利な終活アプリですが、利用する上で知っておくべき注意点も存在します。デメリットを正しく理解し、対策を講じることが重要です。
- 法的効力はない
最も重要な注意点です。アプリで作成した遺言書や財産分与の希望には、法的な拘束力がありません。あくまで家族へのメッセージや希望を伝えるものと割り切り、法的な効力を持たせたい場合は、別途、自筆証書遺言や公正証書遺言を作成する必要があります。 - サービス終了のリスク
アプリの運営会社が事業を停止すると、アプリが使えなくなり、記録したデータが全て消えてしまう可能性があります。実際に、過去には人気だったアプリがサービスを終了した事例もあります。
【対策】特に重要な情報は、定期的にPDFで出力したり、紙に印刷してバックアップを取っておきましょう。 - ID/パスワードの管理
アプリのログイン情報を忘れてしまうと、自分も家族もアクセスできなくなります。かといって、IDとパスワードをそのままメモに残すのはセキュリティ上危険です。
【対策】パスワード自体ではなく、「父の誕生日」のようなヒントを書き残す、信頼できる家族一人にだけ伝えておくなどの工夫が必要です。
【目的別】あなたに合った終活アプリの選び方
終活アプリは機能によっていくつかのタイプに分けられます。自分の目的や終活の進捗状況に合わせて、最適なアプリを選びましょう。
① 多機能タイプ:まず始めるならコレ!
エンディングノートの基本機能に加え、資産管理や自分史作成、家族との共有機能などを網羅したオールインワンタイプです。「何から始めればいいかわからない」という初心者の方や、一つのアプリで終活を完結させたい方におすすめです。
② 資産管理特化タイプ:相続をスムーズに
預貯金や証券、不動産などの資産情報を一元管理することに特化したタイプです。金融機関の口座と連携して残高を自動で更新する機能を持つものもあり、相続財産のリストアップや生前の資産整理に役立ちます。
③ 遺言書作成サポートタイプ:法的な準備の第一歩
法的に有効な遺言書の「下書き」を作成することをサポートするタイプです。チャット形式の質問に答えるだけで、遺言書の雛形を作成できるアプリもあります。ただし、前述の通りアプリ自体に法的効力はないため、完成した下書きを元に自筆で清書したり、専門家に相談したりする必要があります。
④ 自分史・メッセージタイプ:想いを形に
自分の人生を振り返る年表を作成したり、家族や友人へのメッセージを動画や音声で残したりすることに重点を置いたタイプです。実務的な準備よりも、自分の想いや感謝を伝えることを大切にしたい方に向いています。
【2025年】目的別おすすめ終活アプリ5選
数ある終活アプリの中から、機能や信頼性、使いやすさを考慮して、目的別におすすめのアプリを5つ厳選してご紹介します。
【多機能】楽クラライフノート:資産管理から見守りまで
NTTファイナンスが提供する多機能アプリ。エンディングノート機能はもちろん、お金の管理やライフログ機能(歩数記録など)による見守り機能も搭載しています。最大の特徴は、相続や不動産など終活に関する悩みを専門家に無料で相談できる点です。
おすすめポイント:
- 資産管理、エンディングノート、見守り機能が一つに
- 専門家への無料相談サービスが充実
- NTTグループという安心感
【多機能】わが家ノート:大手信託銀行の安心感
三菱UFJ信託銀行が提供するアプリ。エンディングノート作成や健康管理、家族との情報共有機能がシンプルにまとまっています。特に、万が一の時に必要な情報を家族にだけ届けられる機能が充実しており、UIも分かりやすく設計されているため、シニア世代でも使いやすいと評判です。
おすすめポイント:
- シンプルな操作性で初心者でも安心
- 家族への情報共有機能が充実
- 大手信託銀行が運営する信頼性
【資産管理】マネーフォワード ME:定番アプリを終活に活用
本来は家計簿・資産管理アプリですが、その機能を終活に応用できます。2,600以上の銀行や証券会社、クレジットカードと連携し、資産全体を自動で可視化。相続財産の目録作成の手間を大幅に削減できます。家族共有機能を使えば、資産状況をスムーズに引き継ぐ準備ができます。
おすすめポイント:
- 多数の金融機関と連携し、資産を自動で一元管理
- 普段の家計管理と並行して終活準備ができる
- 多くのユーザーに利用されている実績と信頼性
【遺言書作成】遺言ネット:専門家への無料相談が強み
エンディングノート作成から、法的に有効な遺言書の「下書き」作成までをサポートします。最大の特徴は、アプリを通じて司法書士などの専門家に無料で相談できる体制が整っている点。情報の整理と並行して、相続対策などの具体的な課題を専門家と解決に進められるのが大きな強みです。
おすすめポイント:
- 専門家への無料相談で法的な疑問を解消できる
- 遺言書作成や相続対策など、一歩踏み込んだ準備が可能
- 指定したタイミングで家族に情報を自動開示する機能
【自分史】ファミリスト:家族の歴史を紡ぐ
自分だけでなく、家族や親戚、ペット、友人などの誕生日や記念日を記録し、人生のイベントを年表形式で可視化できるアプリです。自分の人生を振り返るきっかけになるだけでなく、家族の歴史を一つの記録として残すことができます。法要の予定を自動作成する機能も便利です。
おすすめポイント:
- 自分と家族の歴史を年表で楽しく振り返れる
- 写真やメモを交えて思い出を記録できる
- 家族のライフイベントを忘れないためのリマインダー機能
終活アプリをより安全に活用するための3つのポイント
デジタルツールである終活アプリを安心して使い続けるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
- 紙媒体との併用を心がける
アプリのサービス終了やスマホの故障といったデジタルならではのリスクに備え、特に重要な財産情報や家族へのメッセージなどは、年に一度など定期的に印刷して紙でも保管しておくと万全です。 - ログイン情報の共有方法を決めておく
アプリにアクセスするためのIDやパスワードは、それ自体を書き残すのではなく、ヒントをエンディングノートに記したり、信頼できる家族にだけ口頭で伝えたりするなど、家族間でルールを決めておきましょう。 - 定期的な情報の見直し(アップデート)
アプリの利点は、情報の更新が容易なことです。資産状況や気持ちの変化に合わせて、年に一度は内容を見直し、常に最新の状態に保つことを習慣にしましょう。
まとめ:終活アプリで、未来の自分と家族に安心を
終活アプリは、面倒で複雑に思われがちな終活を、もっと手軽で身近なものに変えてくれる画期的なツールです。情報の整理や資産管理といった実務的な準備を効率化するだけでなく、自分の人生を振り返り、家族への想いを形として残す手助けもしてくれます。
もちろん、法的効力の欠如やサービス終了リスクといった注意点もありますが、それらを正しく理解し、紙媒体と併用するなどの対策を講じれば、これ以上ない心強いパートナーとなるでしょう。
この記事を参考に、ぜひご自身の目的に合った終活アプリを見つけ、未来の自分と大切な家族のために、今日からできる第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
コメント