テナジー80とは何か?その特徴を知ろう
テナジー80は、バタフライ社から2013年に発売された高性能な裏ソフトラバーです。バタフライの名物「テナジー」シリーズの一つで、スピン性能とスピード性能のバランスに優れることが最大の特徴です。ツブ形状に「開発コードNo.180」を採用し、テナジー05(回転重視)とテナジー64(スピード重視)の中間的な性能を目指したラバーです。その結果、ドライブやスマッシュ、カウンターなどあらゆるプレーに対応できるオールラウンド型のラバーとなっています。テナジー80はスピンとスピードのバランスが取れているため、初心者~中級者から上級者まで幅広い層に人気ですが、一方でその性能ゆえに初心者には不向きとの指摘もあります。
テナジー80は高級ラバーであり、他のバタフライ製ラバーと比較しても価格帯が高いことがわかります。
初心者には難しいラバー?硬度と性能の観点から
スポンジ硬度はラバーの扱いやすさを大きく左右します。テナジー80のスポンジ硬度はバタフライ硬度36度(ドイツ硬度換算で約47.5度)であり、バタフライのテナジーシリーズでは標準的な硬さです。一般に、初心者にはスポンジが軟らかいラバー(30~40度程度)を選ぶことが推奨されています。硬いラバーほど直線的な弾道でスピードは出やすい反面、ボールがラバーに食い込みにくく回転をかけにくい傾向があります。テナジー80は比較的硬めのスポンジゆえ、強いインパクトが出ないと性能を引き出しにくいとされています。実際、テナジー80は「スピードと回転の両方が高い性能でいいラバーだが、しっかりドライブができる人なら」という評価も見られ、力のない初心者にはやや厳しいラバーと言えます。
以下の図は、初心者に適したラバー硬度とテナジー80の硬度を比較したものです。
バタフライ硬度とドイツ硬度の換算には注意が必要です。例えば、テナジー80のバタフライ硬度36度は、ドイツ硬度では約47.5度に相当します。
また、スピン性能の高さも初心者にとってハードルになります。テナジー80はテナジー05ほど極端ではありませんが、依然として強烈な回転をかける性能を備えています。高い回転性能は上級者にとっては武器ですが、初心者にとっては「ラバーが自動的に回転をかけてくれる」感覚が強すぎて、正しいスイングや体重移動を身につけにくくなる懸念があります。つまり、テナジー80は性能が高すぎるため初心者には扱いづらいという指摘があるのです。実際、「初心者がテナジー80を使うのは早すぎる」「力がないと少々厳しい」といった意見も見られます。硬度や性能の面から考えると、テナジー80はパワーのある中級者以上に向いたラバーと言えるでしょう。
初心者がテナジー80を使うメリット・デメリット
それでは、初心者が無理にテナジー80を使おうとするとどうなるでしょうか。以下に、初心者がテナジー80を使用した場合のメリットとデメリットを整理します。
- メリット: テナジー80は性能が非常に高く、一度慣れてしまえば安定した攻撃と回転が得られる点が魅力です。他の初心者ラバーと比べても、ドライブやスマッシュの威力が格段にあり、上達した先でも使い続けられる汎用性があります。実際、「引っ掛かりも強く回転とスピードのどちらも高い性能でいいラバー」という中級者のレビューもあり、性能面では確かに優れていることは間違いありません。また、テナジー80はある程度力を入れないとボールが飛びすぎないため、むしろ「ラバーが回転を勝手にかけてくれる」テナジー05に比べれば、初心者でも少しはコントロールしやすいという意見もあります。
- デメリット: 一方で、初心者には扱いにくい点も顕著です。まずスポンジが硬いため、力の弱い初心者はボールをしっかり捉えられず、むしろ弾みすぎてコントロールが難しいと感じるでしょう。また高い回転性能ゆえに、正しいフォームを身につける妨げになる可能性があります。さらにテナジー80は高価で寿命も短いため、初心者が使いこなせないままラバーが劣化してしまうとコスパが悪いです。実際、「テナジー80は寿命が短くシートが欠けやすい」というユーザーレビューもあり、初心者が無理に使うデメリットは大きいと言えます。
このように、テナジー80は性能面でのメリットは大きい一方、初心者には扱いづらいデメリットもあります。初心者のうちから高性能ラバーを使うこと自体が間違いではありませんが、「早すぎるラバー」はプレーに不安定さをもたらす可能性がある点に注意が必要です。
初心者にオススメの代替ラバー(テナジー80以外の選択肢)
初心者にとってテナジー80は難しい場合、どのようなラバーが適しているのでしょうか。初心者向けには、スポンジが柔らかくコントロールしやすいラバーが推奨されます。以下に、初心者~中級者におすすめの代替ラバーをいくつか紹介します。
- テナジー80 FX: テナジー80のソフトバージョンで、スポンジを軟らかく軽量化したラバーです。テナジー80と同じトップシートを採用しつつ、安定感を向上させているため、初心者でも扱いやすいとされています。テナジー80に興味があるが硬さに不安な場合、まずは80 FXから試すのも良いでしょう。
- テナジー64: テナジーシリーズの中では比較的柔らかめで軽いラバーとされ、「初心者の方や初めてのテナジーにオススメ」との意見もあります。テナジー64はスピード重視のモデルですが、スポンジがやや軟らかいためコントロールもしやすく、初心者でも使いやすいとされています。
- ロゼナ ファスターク C1: 日本製の裏ソフトラバーで、初心者に人気の定番モデルです。スポンジ硬度は約35度(ドイツ硬度換算で45度前後)とやや柔らかめで、安定したコントロールが得られます。価格もテナジーに比べて手頃で、初心者~中級者向けとして広く愛用されています。
- ヴェガ ジャパン: ドイツニッタク社の裏ソフトラバーで、日本向けに軟らかめに調整されたモデルです。スポンジ硬度は約36度(ドイツ硬度換算46度前後)とやや硬めですが、シートが柔らかく打感が軽いため初心者でも扱いやすいと評判です。テナジーに次ぐ人気ラバーとして、中級者まで使いこなせる幅広さがあります。
- ハイパースピン FX: バタフライの中級者向けラバーで、スポンジを軟らかくしたモデルです。テナジーシリーズより安価で、初心者がステップアップする際のラバーとして人気です。
これらのラバーはいずれもスポンジが軟らかめでコントロール性に優れる点が共通しています。初心者はまずこうしたラバーで基礎を固め、技術が上達してきたら徐々に硬め・高性能なラバーに乗り換えるのが一般的です。
初心者がテナジー80を使える条件と注意点
もちろん、全ての初心者がテナジー80を使えないわけではありません。自分のプレースタイルや体力、技術レベルによっては、初心者でもテナジー80を使いこなすことができる場合があります。その条件や注意点を整理します。
- 十分な腕力とスイングの強さがある場合: テナジー80は硬いスポンジのため、ボールに強いインパクトを与える力が必要です。例えば高校生以上で筋力がある人や、卓球以外のスポーツで腕力を鍛えている人なら、初心者でもテナジー80の性能を引き出せる可能性があります。「力がある初心者ならテナジーでもいいのでは」という意見もあり、体力面で余裕がある場合は無理なく使えるかもしれません。
- ドライブやスマッシュの基本動作が身についている場合: テナジー80は攻撃性能が高いため、基本的なドライブ動作や体重移動ができる程度の技術があると扱いやすくなります。逆に基本動作が未熟なまま高性能ラバーを使うと、ラバーのせいで誤ったフォームが身につく恐れがあります。まずは初心者ラバーで基礎技術を習得してからテナジー80に挑戦するのが無難でしょう。
- ラケット(ブレード)との相性を考慮する: 初心者がテナジー80を使う場合、ラケットの選び方も重要です。硬いラバーを弾みすぎないようにするには、ラケット自体の弾みを抑える組み合わせが有効です。例えば、木材製の柔らかめのラケット(五枚合板など)にテナジー80を貼ると、ラバーの硬さを緩和してくれるため扱いやすくなります。逆にカーボン入りの硬いラケットにテナジー80を貼ると、弾みが強すぎてコントロールが難しくなる可能性があります。初心者のうちはラケットも柔らかめ・安定感のあるものを選び、ラバーとのバランスを取ることが大切です。
- 厚さを薄めに選ぶ: ラバーの厚さもコントロール性に影響します。テナジー80は「特厚」「厚」「中」など厚さが選べますが、初心者の場合は厚さを薄め(例えば「中」1.5~1.7mm程度)にすると弾みが抑えられて扱いやすくなります。薄いラバーほどスピードは落ちますがコントロールが安定するため、初心者がテナジー80を使う際の一つの工夫となります。ただし厚さを薄くするとラバー重量も軽くなるため、ラケット全体のバランスも変わる点に注意してください。
以上のような条件を満たし、十分に注意して使えば、初心者でもテナジー80を使いこなすことは不可能ではありません。ただし、「初心者でも大丈夫」というわけではなく、無理に高性能ラバーにこだわりすぎるのは避けた方が良いでしょう。まずは自分に合ったラバーで基礎を固め、技術が上達してきた段階でテナジー80に挑戦するのが理想的です。
まとめ:テナジー80は初心者には向いていないのか?
テナジー80は確かに優れたラバーですが、その高い性能ゆえに初心者には不向きな面があります。スポンジ硬度が硬く、強いインパクトがないと性能を引き出せない点や、回転性能が高すぎて基本技術の習得を妨げる可能性など、初心者にはハードルが高いのです。「初心者がテナジー80を使うのは早すぎる」という指摘も根拠があります。
もっとも、一概に「初心者は使ってはいけない」というわけではありません。自分の体力や技術レベルを踏まえ、ラケットの選び方やラバーの厚さなどを工夫すれば、初心者でもテナジー80を使うことは可能です。しかし、初心者のうちはまずコントロールしやすいラバーで基礎を固めることが大切です。テナジー80のような高性能ラバーは、その名の通り上級者向けの武器であり、無理に早く使い始めるよりも、しっかり技術を磨いてから乗り換える方が上達には繋がります。
テナジー80は確かに魅力的なラバーですが、初心者には少し早いラバーと言えるでしょう。自分のプレースタイルやレベルに合ったラバーを選び、じっくり上達していきましょう。その上で、いずれテナジー80を手にしたとき、その真価を存分に発揮できる力を持っていることでしょう。
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