富士市の中古住宅購入ガイド【2025年最新版】価格相場・選び方・注意点を徹底解説

雄大な富士山を望み、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた静岡県富士市。首都圏へのアクセスの良さから、移住先やセカンドハウスの候補地として注目を集めています。特に、新築に比べて手頃な価格で購入でき、自分好みにカスタマイズできる「中古住宅」は、賢い選択肢として人気が高まっています。

しかし、中古住宅の購入は、価格相場や物件の状態、災害リスクなど、考慮すべき点が多くあります。本記事では、2025年10月現在の最新情報を基に、富士市で中古住宅を購入する際の市場動向、物件の選び方、そして注意すべきポイントまでを網羅的に解説します。後悔しない住まい選びのために、ぜひご活用ください。

中古住宅の購入を検討する上で、まず把握すべきは市場の現状です。長らく下落傾向にあった不動産価格ですが、近年変化の兆しが見られます。最新のデータから富士市の市場動向を読み解きましょう。

長年、特に地方都市では地価の下落が続いていましたが、その流れは変わりつつあります。国税庁が発表した2025年の路線価において、静岡県内の標準宅地は前年比0.2%上昇し、15年ぶりにプラスに転じました。下落地点も5年ぶりにゼロとなり、不動産市況が回復基調にあることが示されています。

この背景には、新型コロナウイルス禍を経たライフスタイルの変化や、テレワークの普及による地方移住への関心の高まりがあります。富士市も例外ではなく、これまで下落傾向にあった地価が下げ止まり、一部では上昇に転じる動きが見られます。過去のデータだけで判断するのではなく、この市場の転換点を理解することが重要です。

富士市の中古住宅価格相場

静岡県全体の中古戸建ての平均売却価格は、2022年時点で約1,580万円でした。しかし、これはあくまで県全体の平均値です。富士市内では、立地や築年数によって価格は大きく異なります。

例えば、麗澤大学の仙石裕明客員准教授の協力による調査では、富士市内の特定地域の価格が示されています。

  • 富士市元町: 約2,088万円
  • 富士市富士見台: 約2,316万円

これらのデータから、富士市内の利便性の良いエリアや人気の住宅地は、県の平均を上回る価格帯で取引されていることがわかります。一方で、築年数が古い物件や郊外の物件では、400万円台から探すことも可能です。

土地価格の動向と影響

中古住宅の価格は、建物だけでなく土地の価値にも大きく左右されます。富士市の2025年3月時点での公示地価平均坪単価は約20.9万円で、前年比-0.17%とわずかに下落しています。ただし、これは市全体の平均であり、駅周辺や利便性の高いエリアでは地価が上昇している一方、郊外では下落が続く「二極化」の傾向が見られます。土地の価値を正しく評価することが、適正価格での物件購入につながります。

なぜ富士市?移住先として選ばれる5つの魅力

近年、富士市が移住先として注目される背景には、価格だけではない多くの魅力があります。ここでは、富士市での暮らしがもたらす主なメリットを5つ紹介します。

絶景:日常にある富士山の眺望

富士市の最大の魅力は、何と言っても日本一の富士山を日常的に望めることです。海岸線から富士山頂までを市域に含む唯一の自治体であり、朝焼けに染まる姿や雪化粧した雄大な景色は、日々の暮らしに豊かさと安らぎを与えてくれます。窓から富士山が見えることは、物件の資産価値にも影響を与える重要な要素です。

交通の利便性:首都圏への良好なアクセス

地方でありながら、首都圏へのアクセスが非常に良い点も大きなメリットです。市内には東海道新幹線「新富士駅」があり、東京駅まで「こだま」で約70分。また、東名高速道路と新東名高速道路のインターチェンジもあり、車での移動もスムーズです。テレワークをしながら、必要に応じて都心へ出勤するというライフスタイルも実現可能です。

自然と都市機能の調和

富士市は「都会すぎず、田舎すぎない」絶妙なバランスが魅力です。北には富士山、南には駿河湾が広がり、豊かな自然を満喫できる一方、市内には「イオンタウン富士南」などの大型商業施設やスーパー、病院も充実しており、生活に不便を感じることはありません。自然の中でのびのびと暮らしながら、都市の利便性も享受したいファミリー層に最適な環境です。

充実した子育て・移住支援制度

富士市は、移住者や子育て世帯を積極的に支援しています。例えば、結婚に伴う新生活をサポートする「はぐくむFUJI富士市結婚新生活支援補助金」や、テレワーク移住者向けの補助金制度などがあります。また、18歳までの子どもの医療費助成など、子育て支援も手厚く、若い世代が安心して新しい生活をスタートできる体制が整っています。

比較的安価な生活コスト

首都圏と比較して、家賃や土地の価格が安いことも大きな魅力です。富士市の平均家賃は約5.3万円と、都市部に比べて住居費を大幅に抑えることができます。これにより、住宅ローンの負担を軽減し、生活にゆとりを持つことが可能になります。中古住宅を購入し、浮いた予算でリフォームを行うといった選択肢も広がります。

失敗しない!富士市での中古住宅の選び方とチェックポイント

魅力的な物件を見つけても、焦りは禁物です。将来にわたって快適に暮らすためには、多角的な視点から物件を吟味する必要があります。ここでは、失敗しないための4つのステップを紹介します。

ステップ1:エリア選定 – ライフスタイルに合わせた地域選び

富士市はエリアごとに特色が異なります。自分のライフスタイルに合った地域を選ぶことが、満足度の高い住まい探しの第一歩です。

  • 新富士駅周辺エリア:新幹線通勤者や都市的な利便性を求める方におすすめ。商業施設も多く便利ですが、市内で地価は比較的高めです。
  • 富士駅・吉原駅周辺エリア:在来線を利用する方に便利。古くからの商店街もあり、落ち着いた住宅街が広がります。
  • 富士川駅周辺エリア:自然環境と利便性の両立を求める方や車移動が中心の方に。市街地より地価が手頃で、広い土地を求めるファミリー層に人気です。

まずは、通勤・通学の手段、買い物の利便性、子育て環境などを考慮し、候補となるエリアを絞り込みましょう。

ステップ2:物件内覧の重要チェックリスト

気になる物件が見つかったら、必ず内覧(現地見学)を行いましょう。図面や写真だけではわからない点を自分の目で確かめることが重要です。内覧時には以下のポイントを重点的にチェックしてください。

  • 日当たりと風通し:時間帯を変えて複数回確認するのが理想。洗濯物の干し場所もチェック。
  • 水回り(キッチン、浴室、トイレ):臭いや水漏れ、カビの有無。給湯器の製造年も確認。
  • 建物の傾き:ビー玉を転がすなどして、床に傾きがないか確認。健康への影響も懸念されます。
  • 収納の量と配置:現在の家財が収まるか、生活動線に合っているか。
  • 周辺環境:昼と夜、平日と休日で雰囲気が変わることがあります。騒音や臭い、近隣の施設(スーパー、学校、病院)まで歩いて確認しましょう。

ステップ3:ハザードマップで災害リスクを確認

美しい自然に囲まれている一方、富士市は災害リスクも抱えています。物件選びでは、必ず富士市が公開しているハザードマップを確認してください。

近年は線状降水帯などによる大きな被害が起こりやすいため、水災や土砂崩れの危険性をチェックすることが重要です。

  • 洪水リスク:富士川や潤井川などの河川周辺、平野部の低地は浸水想定区域に含まれることが多いです。
  • 液状化リスク:JR吉原駅や田子の浦駅周辺、東名高速道路より南のエリアは、地震時の液状化リスクが高いとされています。
  • 津波・土砂災害リスク:沿岸部では津波、山間部では土砂災害のリスクを確認する必要があります。

安全な土地を選ぶことは、家づくりの最も重要な基礎となります。

ステップ4:建物の性能(耐震・断熱)を見極める

特に築年数の古い中古住宅では、現在の基準を満たしていない場合があります。快適で安全な暮らしのためには、建物の基本性能の確認が不可欠です。

  • 耐震性能:1981年6月以前に建築確認を受けた建物は「旧耐震基準」である可能性が高いです。東海地震への備えとして、耐震診断や耐震補強の要否を確認しましょう。
  • 断熱性能:古い住宅は断熱材が入っていないことも多く、冬は寒く夏は暑くなりがちです。光熱費にも直結するため、壁や天井の断熱状況を確認することが望ましいです。

これらの性能は、後述する「性能向上リノベーション」によって改善することも可能です。

中古住宅購入後の選択肢:リフォームとリノベーション

中古住宅の魅力は、購入後のカスタマイズ性にあります。自分のライフスタイルに合わせて、より快適な住空間を創り出すことができます。

リフォーム・リノベーションのメリットと費用感

リフォーム(修繕・改修)やリノベーション(大規模改修)は、建て替えに比べて費用を抑えられることが多いです。古い家の解体費用や基礎工事が不要なため、コストを削減できます。キッチンや浴室など水回りの設備を最新のものに交換したり、間取りを変更したりすることで、新築同様の快適性を手に入れることが可能です。

性能向上リノベーションという考え方

近年注目されているのが、見た目だけでなく「耐震性」「断熱性」といった住宅の基本性能を向上させるリノベーションです。中古住宅を骨組みだけの状態(スケルトン)にして、耐震補強や断熱材の追加を行うことで、災害に強く、一年中快適で省エネな住まいを実現します。築45年の住宅が、リノベーションによって耐震性・断熱性を4倍に向上させた事例もあります。長期的な視点で見れば、非常に価値のある投資と言えるでしょう。

信頼できる不動産会社の選び方

中古住宅探しは、信頼できるパートナー選びから始まります。特に富士市のような地域では、全国展開の大手だけでなく、地域に根差した不動産会社が強力な味方になります。

地元の不動産会社は、インターネットに掲載されていない物件情報や、特定の地域の災害リスク、学区の評判、近隣住民の雰囲気といった、その土地ならではの詳細な情報を熟知しています。価格交渉や手続きの面でも、地域の慣習を理解しているため、スムーズな取引が期待できます。複数の会社に相談し、担当者の知識や対応の丁寧さを見極め、信頼できるパートナーを見つけることが成功の鍵です。

まとめ

富士市での中古住宅購入は、富士山の絶景や首都圏へのアクセスの良さといった多くの魅力がある一方で、価格動向の変化や災害リスクなど、慎重に検討すべき点も存在します。2025年現在、不動産市場は回復基調にあり、購入を検討するには良いタイミングかもしれません。

成功の秘訣は、情報収集を怠らず、自分の目で確かめ、専門家の知見を借りることです。本記事で紹介したポイントを参考に、ハザードマップの確認、信頼できる不動産会社との連携、そして必要に応じたリノベーションの検討を視野に入れ、後悔のない理想の住まい探しを進めてください。富士市の豊かな自然と利便性が、あなたの新しい生活を素晴らしいものにしてくれるでしょう。

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