退職代行を使った「その後」を徹底解説|転職・キャリアへの影響と後悔しないための全知識

退職代行ヤメドキ

「会社を辞めたい。でも、上司に言い出せない」「引き止められて辞めさせてもらえない」。そんな悩みを抱える労働者にとって、退職代行サービスはもはや特別な選択肢ではありません。しかし、利用を検討する一方で、「退職代行を使ったその後、転職で不利になるのでは?」「会社とトラブルにならないか?」といった不安を抱く人も少なくないでしょう。

本記事では、最新の調査データや法的な視点、実際の利用者の声を交えながら、退職代行を利用した「その後」に起こることを徹底的に解説します。キャリアへの影響から、必要な手続き、潜在的なリスクとその回避策まで、あなたが安心して次の一歩を踏み出すための知識を網羅的にお届けします。

1. 退職代行の利用はもはや当たり前?最新データで見る利用実態

かつては「逃げ」や「非常識」と見なされがちだった退職代行ですが、今や労働者が自身の権利を守り、心身の健康を優先するための正当な手段として社会に浸透しつつあります。その背景には、長時間労働やハラスメントが蔓延する職場環境、そして深刻な人手不足による退職の引き止めといった、現代日本が抱える労働問題があります。

転職者の約6人に1人が利用経験あり

退職代行の利用がいかに一般化しているかは、データが明確に示しています。就職情報大手マイナビが2024年10月に発表した調査によると、直近1年間に転職した人のうち16.6%が退職代行サービスを利用したと回答しています。これは、およそ6人に1人が利用している計算になり、もはや一部の特殊なケースではないことがわかります。

企業側もこの変化を実感しており、同調査では2024年上半期に「退職代行を利用して退職した人がいた」と回答した企業は23.2%に上りました。この数値は年々増加傾向にあり、2021年の16.3%からわずか数年で大きく伸長しています。退職代行は、労働者個人だけでなく、企業の人事担当者にとっても無視できない存在となっているのです。

20代・営業職で特に高い利用率

利用者の属性を見ると、特定の層で利用が顕著であることがわかります。年代別では、20代の利用率が18.6%と最も高く、年代が下がるほど利用率が高い傾向にあります。これは、若年層ほど自身のキャリアや働き方に対して柔軟な価値観を持ち、心身の健康を優先する意識が強いことの表れと考えられます。

職種別では、「営業職」が25.9%と突出して高く、次いで「クリエイター・エンジニア」(18.8%)、「企画・経営・管理・事務」(17.0%)と続きます。営業職はノルマへのプレッシャーや顧客との関係構築など、精神的負荷が高い業務が多く、退職の意向を伝えにくい状況が生まれやすいことが背景にあると推察されます。

なぜ利用するのか?背景にある「辞められない」現実

では、なぜ労働者は自ら退職を告げるのではなく、費用を払ってまで代行業者に依頼するのでしょうか。その理由は、単なる「気まずさ」だけではありません。

マイナビの調査で最も多かった利用理由は「退職を引き留められた(引き留められそうだ)から」(40.7%)でした。人手不足が深刻な企業ほど、従業員一人ひとりの退職が経営に与える影響は大きく、強い引き止めに遭うケースが後を絶ちません。次いで「自分から退職を言い出せる環境でないから」(32.4%)、「退職を伝えた後トラブルになりそうだから」(23.7%)と続きます。これらは、高圧的な上司の存在や、退職者への嫌がらせ(ヤメハラ)が横行するような、職場のコミュニケーション不全や心理的安全性の欠如を浮き彫りにしています。

特に新卒社員の場合、入社後わずか数ヶ月での利用も目立ちます。ある調査では、新卒社員の退職理由として、入社3ヶ月以内では「入社前の契約内容と勤務実態の乖離」が約半数を占め、それ以降は「いじめやパワハラなどの人間関係」が主な理由にシフトしていくことが報告されています。相談できる相手がいない孤立した状況で、心身の健康を損なう前に外部の力を借りるという選択は、きわめて合理的と言えるでしょう。

2. 退職代行を利用した「その後」の具体的な流れ

退職代行サービスを利用すると決めた後、実際にどのようなプロセスで退職が進むのでしょうか。ここでは、依頼から退職完了までの一般的な流れと、その後に必要となる手続きについて解説します。

依頼から退職完了までの5ステップ

多くの退職代行サービスでは、LINEやメールで相談から依頼までが完結し、非常にスムーズに手続きが進みます。

  1. 相談・ヒアリング:まずはLINEや公式サイトから無料相談。雇用形態、勤続年数、退職希望日、有給休暇の残日数、会社への伝達事項などを伝えます。この段階でサービス内容や料金についてもしっかり確認しましょう。
  2. 申し込み・支払い:サービス内容に納得したら正式に申し込み、料金を支払います。クレジットカードや銀行振込のほか、後払いに対応している業者もあります。
  3. 退職代行の実行:指定した日時に、退職代行業者があなたに代わって会社へ退職の意思を電話で伝えます。その際、「本人への直接の連絡は控えるように」という要望も伝えてくれるため、上司や人事から直接連絡が来る心配はほとんどありません。
  4. 退職届の郵送・貸与品の返却:業者からの連絡後、自分で作成した退職届を会社に郵送します。内容証明郵便など、記録が残る方法で送付するのが確実です。社員証、健康保険証、制服、PCなどの貸与品も、このタイミングでまとめて返却します。
  5. 退職書類の受け取り:後日、会社から離職票や源泉徴収票、雇用保険被保険者証などの重要書類が郵送されてきます。これらを受け取れば、退職手続きはすべて完了です。

「あなたは明日から会社に行かなくて大丈夫ですと言ってもらえたおかげで心が一気に軽くなった」「会社とのやり取りが一切なく退職日まで進めてもらえた」といった利用者の声が示すように、最大のメリットは精神的負担なく、迅速に退職できる点にあります。

退職後に必須となる公的手続き

会社を辞めた後は、健康保険や年金、失業手当などの手続きを自分で行う必要があります。退職代行サービスはこれらの行政手続きまでは代行してくれないため、忘れずに行いましょう。

  • 健康保険の切り替え:退職日の翌日から14日以内に、市区町村の役所で国民健康保険への加入手続きを行います。または、家族の扶養に入る、前職の健康保険を任意継続するという選択肢もあります。
  • 年金の切り替え:厚生年金から国民年金への切り替え手続きを、同じく退職後14日以内に役所で行います。
  • 失業手当(雇用保険)の申請:次の転職先が決まっていない場合、ハローワークで失業手当の受給手続きを行います。会社から送られてくる「離職票」が必要になるため、届き次第、速やかに手続きを進めましょう。自己都合退職の場合、通常2ヶ月程度の給付制限期間があります。

これらの手続きは、退職後の生活を支える上で非常に重要です。特に離職票が会社からなかなか届かない場合は、退職代行業者やハローワークに相談しましょう。

3. 【キャリア編】退職代行の「その後」― 転職は不利になる?

退職代行の利用をためらう最大の要因は、「その後のキャリアに傷がつくのではないか」という不安でしょう。しかし、結論から言えば、その心配はほとんど杞憂です。

結論:転職への直接的な悪影響はほぼない

退職代行サービスを利用したことが、その後の転職活動で不利に働くことは基本的にありません。その理由は主に以下の2点です。

  1. 個人情報保護法による制限:転職先の企業が、応募者の同意なく前職の会社に退職理由などを問い合わせる「前職調査」は、個人情報保護法に抵触する可能性があります。そのため、現在では前職調査を行う企業は大幅に減少しています。
  2. 情報が外部に漏れる可能性の低さ:退職した会社も、元従業員の個人情報を第三者に漏らすことは法律で禁じられています。また、退職代行業者にも守秘義務があるため、利用の事実が外部に知られることはまずありません。公的な記録として残ることも一切ありません。

つまり、自分から言わない限り、転職先に退職代行の利用が知られる可能性は極めて低いのです。

データが示す高い転職成功率とキャリアへの好影響

不安を裏付けるどころか、データはむしろポジティブな未来を示唆しています。2025年9月に株式会社CAREER FOCUSが退職代行利用者400名を対象に行った調査は、驚くべき結果を明らかにしました。

まず、転職成功率は95.1%に達しており、ほとんどの人が次のキャリアへスムーズに移行できています。さらに、転職活動にかかった期間も「1ヶ月以内」が41.5%、「2ヶ月以内」まで含めると61.0%と、多くの人が短期間で転職先を見つけていることがわかります。

年収面でも、47.6%が「年収が増加した」と回答し、その平均増加額は+63.4万円でした。「年収維持」の42.0%と合わせると、約9割の人が年収を維持または向上させていることになります。

キャリアに対する自己評価でも、「キャリアアップできた」(14.0%)と「現状維持」(75.6%)を合わせて89.6%が、キャリアを悪化させていないと認識しています。X(旧Twitter)などでも、「精神的に回復してから転職活動できたので結果的に良かった」「辞めてメンタル回復して転職もできた」といった声が多く見られます。

これらのデータは、退職代行の利用がキャリアの終焉ではなく、むしろ心身の健康を取り戻し、より良い労働環境や待遇を求めて前向きな一歩を踏み出すための有効な手段であることを示しています。

それでも注意!退職代行の利用がバレるケースと対策

転職に不利にならないとはいえ、情報が漏れるリスクがゼロというわけではありません。以下のようなケースでは、意図せず知られてしまう可能性があります。

  • SNSでの発信:「退職代行で辞めてスッキリ!」といった投稿は、たとえ匿名でも内容から個人が特定されるリスクがあります。人事担当者が採用候補者のSNSをチェックするケースも増えているため、絶対に避けましょう。
  • 転職活動の面接で言ってしまう:退職理由を深く聞かれた際に、うっかり口を滑らせてしまうケースです。退職理由はポジティブなものに変換し、代行サービスの利用に言及する必要は一切ありません。
  • 転職先に元同僚がいる:同業種や狭いコミュニティ内での転職の場合、噂が広まる可能性があります。これは完全に防ぐことは難しいですが、リスクとして認識しておくべきです。

最大の対策は、「退職代行を使ったことは、誰にも言わない」を徹底することです。家族や親しい友人であっても、どこから情報が漏れるかわかりません。秘密を守り通すことが、スムーズなキャリアチェンジの鍵となります。

4. 【リスク編】「その後」で後悔しないための全知識

退職代行は多くのメリットがある一方、潜在的なリスクも存在します。特に「会社から訴えられないか」「悪徳業者に騙されないか」という点は、利用前に必ず理解しておくべき重要なポイントです。

損害賠償や懲戒解雇は本当にある?法的な実態

退職を申し出た際に「辞めるなら損害賠償を請求する」「懲戒解雇にする」と脅されるケースがありますが、これらは法的に有効なのでしょうか。

結論として、退職代行を利用したこと自体を理由とする損害賠償請求や懲戒解雇は、ほぼ認められません。

日本の法律では、労働者の「退職の自由」が保障されています。無期雇用の正社員であれば、民法第627条に基づき、退職の意思を伝えてから2週間が経過すれば、会社の合意がなくても労働契約は終了します。会社がこれを妨害する行為は違法です。

  • 損害賠償請求:労働基準法第16条では、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしたりすることを禁止しています。会社が労働者に損害賠償を請求できるのは、労働者が故意または重大な過失によって会社に具体的な損害を与えた場合(例:会社の機密情報を持ち出して競合に渡す、重要なプロジェクトを意図的に放棄して多大な損失を生じさせるなど)に限られ、その立証は会社側にとって極めて困難です。単に「急に辞められて人手が足りなくなった」という理由での請求は、まず通りません。
  • 懲戒解雇:懲戒解雇は、横領や重大な経歴詐称など、極めて悪質な規律違反があった場合にのみ認められる最も重い処分です。労働契約法第15条により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない懲戒解雇は無効とされます。退職の意思を伝えたことを理由とする懲戒解雇は、権利の濫用であり不当解雇にあたります。

ただし、ごく稀に、労働者側に明らかな非(長期間の無断欠勤、引き継ぎの完全な放棄など)がある場合や、会社側が悪意を持って訴訟を起こしてくる可能性はゼロではありません。こうした万が一のトラブルを避けるためにも、業者選びが重要になります。

悪徳業者に注意!失敗しない退職代行サービスの選び方

退職代行サービスの需要拡大に伴い、残念ながら質の低い業者や悪徳業者も存在します。「料金を支払ったのに連絡が途絶えた」「会社と交渉してくれず、トラブルになった」といった被害に遭わないために、以下の5つのポイントで信頼できる業者を見極めましょう。

  1. 運営元の種類と対応範囲を理解する:退職代行業者は、運営元によって「民間企業」「労働組合」「弁護士法人」の3種類に大別され、それぞれ対応できる業務範囲が異なります。
    • 民間企業:最も安価なことが多いですが、法的に「使者」として退職の意思を伝えることしかできません。有給消化や退職日の「交渉」は非弁行為(弁護士法違反)となるため行えません。
    • 労働組合:労働組合法に基づく「団体交渉権」を持つため、会社との交渉が可能です。有給消化や未払い残業代の請求交渉など、民間企業より一歩踏み込んだ対応が期待できます。
    • 弁護士法人:最も費用は高くなりますが、交渉はもちろん、損害賠償請求への対応やハラスメントの慰謝料請求など、訴訟を含むあらゆる法的トラブルに対応できます。最も安全で確実な方法です。
  2. 料金体系が明確か:「追加料金一切なし」と明記されているかを確認しましょう。後からオプション料金などを請求する悪徳業者も存在します。料金相場は2万円~5万円程度ですが、安すぎる業者には注意が必要です。
  3. 実績と口コミは豊富か:公式サイトの実績数だけでなく、第三者の口コミサイトやSNSでの評判も確認しましょう。多くの成功事例がある業者は、それだけノウハウが蓄積されており信頼性が高いと言えます。
  4. 返金保証の有無:万が一、退職に失敗した場合に「全額返金保証」があるかどうかも重要な判断基準です。
  5. レスポンスの速さと対応の質:無料相談の段階で、返信が迅速か、親身になって相談に乗ってくれるかを確認しましょう。24時間対応を謳っているかもチェックポイントです。

特に、会社との交渉が必要になりそうな場合(有給消化、未払い賃金など)や、トラブルになる可能性が少しでもある場合は、労働組合か弁護士法人が運営するサービスを選ぶのが鉄則です。

5. 【企業編】退職代行が突きつける課題と「その後」の対策

従業員からの突然の退職代行連絡は、企業にとって衝撃的な出来事かもしれません。しかし、これを単なる「厄介事」として処理するのではなく、組織の課題を見つめ直す機会と捉えることが、企業の持続的な成長には不可欠です。

退職代行から連絡が来たら?企業が取るべき対応

まず、企業が退職代行業者から連絡を受けた際に、絶対に行ってはならないNG対応があります。

  • 退職届の受理拒否:労働者の退職の自由を侵害する違法行為です。
  • 損害賠償や違約金による脅し:悪質な引き止め行為であり、強要罪と見なされるリスクがあります。
  • 自宅への訪問など過度な干渉:プライバシー侵害にあたります。
  • 給与や退職金の不当な未払い:労働基準法違反です。
  • 交渉権のない民間業者との交渉:非弁行為への加担と見なされるリスクがあります。

冷静な対応の第一歩は、相手の運営主体(民間企業、労働組合、弁護士)を見極めることです。相手が弁護士や労働組合であれば、誠実に交渉に応じる義務があります。相手が民間企業の場合は、退職の意思を伝達する「使者」と捉え、「退職の意思は受け取りました」と事実確認に留め、具体的な手続きは本人と直接(または本人が指定する代理人と)行うのが原則です。感情的にならず、法的なルールに則って淡々と事務処理を進めることが、企業のリスク管理上、最も重要です。

根本解決へ:退職者が出ない組織づくりの4つの柱

退職代行の利用は、組織のコミュニケーション不全や労働環境の問題が顕在化した「結果」に過ぎません。真の対策は、そもそも従業員が退職代行という選択肢を考える必要のない組織を作ることです。そのための処方箋として、以下の4つの柱が挙げられます。

  1. コミュニケーション環境の抜本的改善:定期的な1on1ミーティングを「部下のための時間」と位置づけ、上司が聞き役に徹する文化を醸成します。また、ハラスメント相談窓口の設置や匿名で相談できる仕組みを整え、従業員が安心して本音を話せる「心理的安全性」を確保することが不可欠です。
  2. 人事評価とキャリア支援の再構築:評価基準を明確化・公開し、公正性と透明性を確保します。同時に、社内公募制度や研修制度を充実させ、従業員が社内でキャリアパスを描けるよう支援することで、閉塞感をなくし、定着率を高めます。
  3. 戦略的メンタルヘルス対策:ストレスチェックを定期的に実施し、その結果を部署ごとに分析して職場環境の改善に繋げます。また、管理職向けのラインケア研修を必須化し、部下の不調のサインを早期に発見し、適切に対応できる能力を養います。
  4. 働き方の多様化と労働環境の改善:フレックスタイム制やリモートワーク、時短勤務など、従業員のライフステージに合わせた柔軟な働き方を導入します。また、有給休暇を取得しやすい雰囲気づくりや、長時間労働の是正といった基本的な労働環境の整備も重要です。

退職代行の利用は、組織の健康状態を示すリトマステストです。その声なき声に耳を傾け、組織改革の機会と捉えることができるかどうかが、これからの時代に企業が生き残るための鍵となります。

6. まとめ:退職代行は、未来への賢い一歩

退職代行サービスは、もはや「逃げ」や「最終手段」ではありません。劣悪な労働環境や強い引き止めに悩み、心身をすり減らす前に、自身の権利と健康を守り、次のキャリアへ円滑に移行するための「賢い選択肢」として定着しました。

本記事で見てきたように、退職代行を利用した「その後」は、決して悲観的なものではありません。

  • 転職への影響はほぼなく、95%以上の人が転職に成功している。
  • 約半数が年収アップを実現し、9割近くがキャリアを維持または向上させている。
  • 損害賠償などのリスクは、適切な業者を選べば限りなくゼロに近づけられる。

重要なのは、退職代行を単なる「辞めるためのツール」と捉えるのではなく、「新しいキャリアを始めるための第一歩」と位置づけることです。そのためには、信頼できる業者を慎重に選び、退職後の手続きや転職活動を計画的に進めることが不可欠です。

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