「もう会社に行きたくない…でも、辞めると言い出せない」。そんな悩みを抱える労働者の間で、退職代行サービスの利用が急速に広がっています。特に、1万円台から利用できる「格安退職代行」は、金銭的な負担を抑えたい若者を中心に大きな注目を集めています。
しかし、その安さの裏には知っておくべき「カラクリ」と「リスク」が潜んでいます。料金だけで安易に選んでしまうと、「有給休暇が消化できなかった」「会社とトラブルになった」といった失敗につながりかねません。
この記事では、2025年最新の情報を基に、格安退職代行サービスの料金相場、安さの理由、そして最も重要な「失敗しない選び方」を徹底的に解説します。あなたの状況に最適なサービスを見つけ、スムーズで確実な退職を実現するための知識を身につけましょう。
急増する退職代行サービスと「格安」の魅力
近年、退職代行サービスの需要は顕著に増加しています。株式会社マイナビの調査によると、2024年上半期に「退職代行サービスを利用して退職した人がいた」と回答した企業は23.2%にのぼり、2021年の16.3%から年々増加傾向にあります。
利用理由としては、「退職を引き留められた(引き留められそうだ)から」(40.7%)、「自分から退職を言い出せる環境でないから」(32.4%)などが上位を占めており、自力での退職が困難な状況で、第三者のサポートを求める人が多いことがうかがえます。
このような背景の中、特に注目されているのが「格安」を謳うサービスです。一般的なサービスが3万円~5万円する中で、1万円台、中には数千円で利用できるサービスも登場し、利用者にとってのハードルを大きく下げています。
退職代行の料金相場と「格安」の基準
退職代行サービスの料金は、運営主体によって大きく異なります。まずは、その全体像を把握しましょう。
- 民間企業運営: 1万円~5万円程度。交渉権がなく、退職意思の「伝達」が主な業務のため、比較的安価です。
- 労働組合運営: 2万5,000円~3万円程度。団体交渉権を持ち、有給消化などの「交渉」が可能です。コストと対応範囲のバランスが良いのが特徴です。
- 弁護士法人運営: 5万円~10万円以上。交渉に加え、未払い賃金請求や損害賠償請求などの法的手続き、訴訟対応まで可能です。最も対応範囲が広い分、高額になります。
この相場から見ると、一般的に2万円台前半、もしくはそれ以下の料金でサービスを提供している場合を「格安退職代行」と位置づけることができます。特に1万円台のサービスは、価格面で非常に魅力的と言えるでしょう。
なぜ安い?格安退職代行サービスの3つのカラクリ
「なぜこんなに安くできるのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。格安退職代行サービスの低価格には、主に3つの理由があります。これらを理解することが、サービスを正しく見極める第一歩です。
カラクリ1:サービス範囲の限定(交渉権の有無)
最も大きな理由は、サービス内容が「退職意思の伝達」に限定されている点です。弁護士資格を持たない民間企業が運営する退職代行サービスは、有給休暇の消化や退職日の調整といった「交渉」を行うことが法律(弁護士法第72条)で禁じられています。これは「非弁行為」と呼ばれ、違法行為にあたります。
そのため、多くの格安サービスは、法的な交渉権を持たない民間企業によって運営されています。彼らはあくまで本人の「使者」として退職の意思を伝える役割に徹することで、専門知識を持つ人材コストを抑え、低価格を実現しているのです。
非弁行為とは?
弁護士資格を持たない者が、報酬を得る目的で、法律事件に関する交渉やその他の法律事務を行うこと。民間企業運営の退職代行が有給消化や未払い賃金の請求交渉を行うと、これに該当する可能性があります。
カラクリ2:AIなどテクノロジーの活用によるコスト削減
近年では、AI(人工知能)を活用して業務を効率化し、人件費を大幅に削減することで低価格を実現するサービスも登場しています。例えば、業界最安値クラスの2,980円でサービスを提供する「退職あんしん代行」は、AIによる法令情報提供システムや業務効率化を低価格の理由として挙げています。
こうしたサービスは、定型的な手続きを自動化することで、圧倒的なコストパフォーマンスを可能にしています。
カラクリ3:広告費の抑制とターゲットの特化
一部のサービスでは、マス広告を打たずにSNSや口コミを中心に集客することで広告費を抑えたり、正社員より手続きが比較的簡易な「アルバイト・パート」に特化した格安プランを用意したりすることで、料金を低く設定しています。例えば、「退職代行ほっとライン」では、パート・アルバイト向けに9,790円(税込)というプランを提供しています。
【最重要】失敗しない格安退職代行の選び方 3つの鉄則
価格の魅力に惹かれて安易に業者を選ぶと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。ここでは、安全かつ確実に退職するための、最も重要な3つの選び方の鉄則を解説します。
鉄則1:運営主体を確認する ―「交渉」が必要か否かが最大の分岐点
退職代行選びで最も重要なのが「運営主体」の確認です。サービスは大きく分けて「民間企業」「労働組合」「弁護士法人」の3種類があり、それぞれ対応できる業務範囲が法律で明確に定められています。
自分の状況を冷静に分析し、「会社と交渉したいことがあるか」を基準に運営主体を選ぶことが、失敗を避ける最大のポイントです。
- 交渉事が一切不要な場合:「ただ辞める意思を伝えてほしいだけ」という方は、最も安価な民間企業運営のサービスで十分です。
- 有給消化や退職日の調整をしたい場合:会社がすんなり応じない可能性があるなら、団体交渉権を持つ労働組合運営のサービスが最適です。費用も弁護士より安く、コストパフォーマンスに優れます。
- 未払い給与や残業代の請求、ハラスメントの慰謝料請求などをしたい場合:法的な請求や訴訟の可能性がある場合は、唯一法的手続きが可能な弁護士法人運営のサービス一択です。
注意!「弁護士監修」「労働組合提携」のワナ
格安の民間業者が「弁護士監修」や「労働組合提携」を謳っている場合がありますが、注意が必要です。これはあくまでアドバイスを受けているだけで、運営主体は民間企業です。そのため、これらの業者が直接会社と交渉することは非弁行為にあたる可能性があります。
信頼できる業者か見分ける簡単な方法の一つに、料金の振込先口座名義を確認する方法があります。労働組合が直接運営している場合、振込先は「〇〇労働組合」といった組合名義になっているはずです。もし振込先が株式会社名義であれば、それは民間企業(提携業者)である可能性が高いと判断できます。
鉄則2:料金体系の透明性をチェックする ―「追加料金なし」は絶対条件
格安サービスを選ぶ際は、料金の透明性が極めて重要です。公式サイトに「追加料金一切なし」「相談料・成功報酬なし」と明確に記載されているか必ず確認しましょう。
悪質な業者の場合、最初に安い金額を提示し、後から「連絡回数が増えた」「手続きが難航した」などと理由をつけて高額な追加料金を請求するケースがあります。 トラブルを避けるためにも、料金体系がシンプルで分かりやすい業者を選びましょう。また、万が一退職できなかった場合に備え、「全額返金保証」や、退職成功後に支払う「後払い制度」に対応しているかも重要な判断基準です。
鉄則3:実績と評判を多角的に調べる ―「退職成功率100%」と第三者の声を重視
料金やサービス内容と合わせて、業者の信頼性を測る指標が実績と評判です。多くの優良業者は「退職成功率100%」を掲げています。これは最低限クリアすべき基準と考えましょう。
さらに、公式サイトの情報だけでなく、X(旧Twitter)やGoogleマップの口コミ、レビューサイトなど、第三者の客観的な評価を確認することが不可欠です。「連絡がスムーズだった」「親身に対応してくれた」といったポジティブな声が多いか、「連絡が遅い」「対応が事務的」といったネガティブな声がないかをチェックし、総合的に判断しましょう。
【目的別】格安でも信頼できる退職代行サービス7選
ここからは、前述の選び方の鉄則を踏まえ、格安でありながら信頼性の高いおすすめの退職代行サービスを「目的別」に7社厳選して紹介します。
| サービス名 | 運営主体 | 料金(税込) | 交渉 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 退職代行ガーディアン | 労働組合 | 19,800円 | 可能 | 25年以上の組合実績、追加料金なし、即日対応 |
| リーガルジャパン | 労働組合 | 19,800円 | 可能 | 弁護士監修、アフターフォロー充実、全額返金保証 |
| 退職代行SARABA | 労働組合 | 24,000円 | 可能 | 24時間対応、全額返金保証、相談回数無制限 |
| 退職代行EXIT | 民間企業 | 20,000円 | 不可 | 業界のパイオニア、転職サポートで全額キャッシュバック |
| 退職あんしん代行 | 民間企業 | 2,980円 | 不可 | 業界最安値、AI活用による低価格実現 |
| 退職代行ニコイチ | 民間企業 | 27,000円 | 不可 | 創業20年、累計5万人以上の圧倒的実績、2ヶ月アフターフォロー |
| 退職代行ヤメドキ | 労働組合提携 | 24,000円 | 可能 | 完全後払い制、退職成功後に支払い |
交渉力と安さを両立したい方向け(労働組合運営)
有給消化や退職日の調整など、会社との交渉が必要な方に最もおすすめなのが、交渉権を持ちつつ料金を2万円前後に抑えられる労働組合運営のサービスです。
退職代行ガーディアン
信頼性と実績で選ぶなら筆頭候補。25年以上の歴史を持つ「東京労働経済組合」が直接運営しており、法適合組合として違法性の心配なく会社と交渉できます。料金は19,800円(税込)の一律価格で、追加料金は一切かかりません。即日対応も可能で、「確実に、安心して辞めたい」というニーズに最も応えてくれるサービスの一つです。
リーガルジャパン
充実したアフターフォローが魅力。同じく労働組合「日本労働産業ユニオン」が運営し、料金も19,800円(税込)とガーディアンと同水準です。弁護士監修のもと運営されており、万が一退職できなかった場合の全額返金保証も付いています。さらに、転職支援や失業保険の受給サポートなど、退職後のフォローが手厚いのが特徴です。
とにかく費用を抑えたい方向け(民間企業運営)
「会社と揉める要素はなく、ただ退職の意思を伝えてもらうだけでいい」という方は、交渉権のない民間企業のサービスを選ぶことで費用を大幅に抑えられます。
退職代行EXIT
業界のパイオニア的存在。退職代行サービスを世に広めた先駆けであり、知名度と実績は抜群です。料金は雇用形態を問わず一律20,000円(税込)。弁護士監修のもと運営されており、提携の転職エージェント経由で転職が決まると、代行費用が全額キャッシュバックされる独自のサービスも提供しています。
退職あんしん代行
圧倒的な低価格が魅力。AI技術の活用などでコストを徹底的に削減し、業界最安値となる2,980円(税込)を実現しています。サービス内容は退職意思の伝達に特化していますが、「とにかく安く、シンプルに辞めたい」という方にとっては非常に強力な選択肢となります。弁護士・社労士が監修しており、最低限の安心感も確保されています。
独自の特徴で選びたい方向け
退職代行ニコイチ
実績数で選ぶならこのサービス。創業20年、累計5万人以上という業界トップクラスの退職実績を誇ります。料金は一律27,000円(税込)と格安帯の中ではやや高めですが、その豊富なノウハウと、退職完了後2ヶ月間のアフターフォローが付く手厚いサポートが魅力です。運営は民間企業(弁護士監修)のため交渉はできませんが、「何があっても確実に辞めさせてくれる」という安心感を求める方におすすめです。
退職代行ヤメドキ
「完全後払い制」で金銭的な不安を解消。「本当に退職できるまでお金を払いたくない」という不安に応える、業界でも珍しい完全後払い制を採用しています。料金は一律24,000円(税込)で、退職が確定してから支払う仕組みです。労働組合と提携しているため、有給消化などの交渉も可能。手持ちのお金に不安がある方でも安心して依頼できます。
退職代行サービスの基本的な利用の流れ
どの退職代行サービスも、利用の流れは概ね共通しています。依頼から退職完了まで、非常にシンプルかつスピーディーに進みます。
- 無料相談(LINE・メール・電話):まずは公式サイトから、自分の状況や希望を伝えて相談します。ほとんどの業者が24時間365日対応しており、この段階で料金やサービス内容について詳しく確認できます。
- 依頼・料金の支払い:サービス内容に納得したら、正式に依頼し、指定された方法(クレジットカード、銀行振込など)で料金を支払います。後払い対応のサービスもあります。
- ヒアリング・打ち合わせ:担当者と退職に関する詳細な打ち合わせを行います。会社名、上司の連絡先、退職希望日、有給消化の希望、返却物などを伝えます。この内容を基に業者は動くため、希望は正確に伝えましょう。
- 退職代行の実行:業者があなたに代わって会社に連絡し、退職の意思を伝えます。この瞬間から、あなたは会社や上司と直接やり取りする必要は一切ありません。
- 退職手続き・退職完了:業者の指示に従い、退職届や会社からの貸与物(健康保険証、社員証など)を郵送で返却します。後日、会社から離職票や源泉徴収票などの必要書類が郵送されてくれば、すべての手続きは完了です。
多くのサービスでは、相談から代行実行までが即日で行われ、依頼した次の日から出社する必要がなくなります。
格安退職代行に関するよくある質問(Q&A)
- Q1. 本当に即日退職できるのですか?
- A. 可能です。法律(民法第627条)では、退職の申し入れから2週間で雇用契約が終了すると定められていますが、残っている有給休暇をこの2週間に充てることで、実質的に依頼した当日から出社せずに退職できます。会社が退職を承認すれば、即日退職となるケースもあります。
- Q2. 会社や上司から直接連絡が来ませんか?
- A. 代行業者は会社に対し「本人に直接連絡しないように」と伝えてくれます。ほとんどの会社はこれに従いますが、法的な強制力はないため、稀に連絡が来ることもあります。その場合は一切応答せず、代行業者に報告すれば対応してもらえます。
- Q3. 会社から訴えられたりしませんか?
- A. 退職は労働者の正当な権利であり、退職を理由に訴えられることはまずありません。本記事で紹介したような、法律を遵守している適法な業者を利用する限り、トラブルに発展するリスクは極めて低いです。
- Q4. 離職票や健康保険証などの書類手続きはどうなりますか?
- A. 代行業者が会社に必要な書類(離職票、雇用保険被保険者証、源泉徴収票など)の郵送を依頼してくれます。健康保険証などの貸与物は、自分で会社に郵送して返却します。会社に出向く必要はありません。
- Q5. 安すぎるサービスはやはり危険ですか?
- A. 「安かろう悪かろう」の業者が存在するのも事実です。特に、運営元が不明確、料金体系が不透明、非弁行為を匂わせる業者には注意が必要です。しかし、「退職あんしん代行」のように明確な理由(AI活用など)があって低価格を実現している優良サービスもあります。価格だけでなく、本記事で解説した「運営主体」「料金の透明性」「実績・評判」を総合的に見て判断することが重要です。
まとめ:自分の状況に合った「賢い選択」を
格安退職代行サービスは、退職に悩む多くの人にとって心強い味方です。しかし、その安さだけに目を奪われず、サービスの本質を見極めることが、後悔しない退職への鍵となります。
格安退職代行選びの最終チェックリスト
- あなたの希望は?:「伝えるだけ」で良いのか、「有給交渉」などが必要か?
- 運営主体は適切か?:交渉が必要なら「労働組合」運営のサービスを選んでいるか?
- 料金は明確か?:「追加料金なし」と明記されているか?
- 実績は十分か?:退職成功率100%で、良い口コミが多いか?
心身が限界に達する前に、専門家の力を借りることは決して逃げではありません。この記事で紹介した選び方とおすすめサービスを参考に、あなたの状況に最も合った信頼できるパートナーを見つけ、ストレスのない新たな一歩を踏み出してください。

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