静岡県富士市に根差す富士市立図書館は、単に本を貸し借りするだけの場所ではありません。市民の学びや交流、そして地域の文化を育む「知の拠点」として、多岐にわたるサービスを展開しています。この記事では、中央図書館をはじめとする各館の特色から、便利なデジタルサービス、子ども向けイベント、貴重な郷土資料まで、富士市立図書館の魅力を余すところなくご紹介します。
近年の図書館は、図書の閲覧・貸出にとどまらず、地域住民の抱える課題の解決に役立つ情報の提供、地域とのつながり・コミュニティの場としての役割も期待されています。
富士市立図書館のネットワーク:中央館から地域館、移動図書館まで
富士市立図書館は、中央図書館をハブとして、3つの地域館(西、東、富士文庫)と4つの分室(今泉、田子浦、大淵、富士川)がオンラインシステムで結ばれています。これにより、どの館からでも市内の蔵書を検索・予約し、最寄りの館で受け取ることが可能です。
中核を担う「中央図書館」
富士市の図書館ネットワークの中心的存在が中央図書館です。約58万冊の図書と約3万8千点の視聴覚資料を誇る豊富な蔵書が魅力です。広々とした館内には、一般書、児童書、郷土資料、AV・情報コーナーなどが機能的に配置されています。また、市民の生涯学習やビジネス活動を支援するための施設も充実しており、多くの市民に利用されています。
地域に根差す「西図書館」「東図書館」ほか
中央図書館だけでなく、各地域にも特色ある図書館が点在しています。西図書館はJR富士駅近くの富士市交流プラザ内にあり、アクセスが便利です。東図書館や富士文庫なども、それぞれの地域住民にとって身近な読書と学びの場として機能しています。これらの地域館は、中央図書館と連携しながら、地域に密着したサービスを提供しています。
市内を巡る「移動図書館」
「図書館が遠くてなかなか行けない」という市民の声に応えるのが、移動図書館「ふじ号」です。市内約18ヶ所のステーションを定期的に巡回し、小説から絵本まで、様々なジャンルの本を届けています。利用者カードがあれば誰でもその場で借りることができ、地域住民にとって貴重なサービスとなっています。巡回スケジュールは公式サイトや広報ふじで確認できます。
利用者必見!便利なサービスと施設の全貌
富士市立図書館では、利用者の多様なニーズに応えるため、先進的なサービスと快適な施設環境を整備しています。
デジタル時代の図書館活用術:電子図書館とオンラインサービス
富士市立図書館の大きな特徴の一つが、充実したデジタルサービスです。では、パソコンやスマートフォン、タブレットから24時間いつでも電子書籍を借りて読むことができます。さらに特筆すべきは、静岡県内の公立図書館で初めて導入された「オーディオブックサービス」です。プロのナレーターによる朗読で「耳で聴く読書」を楽しめ、移動中や家事をしながらでも気軽に本に親しむことができます。
また、館内では公衆無線LAN(Wi-Fi)が利用できるほか、自宅のパソコンから蔵書検索・予約ができるOPAC(オンライン蔵書目録)も完備。図書館に行く前に読みたい本を探し、予約しておくことが可能です。
学びと仕事のパートナー:学習室とビジネス支援
静かな環境で集中して勉強や仕事に取り組みたい方のために、中央図書館と西図書館には学習室(自習室)が設けられています。多くの学生や社会人に活用されており、知的な活動を支える重要なスペースです。 さらに、中央図書館では起業や経営に役立つ資料を集めたビジネス支援コーナーを設置。新聞記事データベースの利用も可能で、ビジネスパーソンの情報収集を強力にサポートしています。
子どもと楽しむ図書館:多彩なイベントと読書支援
富士市立図書館は、子どもたちが本に親しむきっかけ作りにも力を入れています。中央図書館や西図書館では、乳幼児向けの「おはなし会」が定期的に開催され、絵本の読み聞かせや手遊びを通じて、親子で楽しい時間を共有できます。 また、赤ちゃんとその保護者に絵本を贈る「ブックスタート」事業など、子どもの成長段階に合わせた読書支援プログラムも充実しています。これらの取り組みは、子どもたちの豊かな心を育む上で大きな役割を果たしています。
富士市の「知の宝庫」:特色あるコレクション
富士市立図書館の魅力は、その豊富な蔵書数だけではありません。地域に根差した特色あるコレクションも所蔵しています。
富士山・郷土資料:地域ならではの貴重な資源
富士市は、その名の通り富士山の麓に位置する街です。富士市立図書館では、富士山や富士市に関する古絵図、古文書といった貴重な郷土資料を豊富に所蔵しています。これらの資料は、地域の歴史や文化を研究する上で欠かせないものであり、一部はデジタルライブラリーで公開され、誰でも閲覧可能です。地域のアイデンティティを未来へ継承する重要な役割を担っています。
多様な蔵書構成:本から視聴覚資料まで
中央図書館だけでも、一般書から児童書、CDやDVDといった視聴覚資料まで、合計60万点を超える多様な資料を所蔵しています。これにより、市民のあらゆる知的探求心に応えることが可能となっています。特に児童書の蔵書が充実している点は、子育て世代にとって大きな魅力です。
市民と共に歩む「知の拠点」としての役割
富士市立図書館は、本を貸し出すだけの施設から、市民の生活を豊かにする「知の拠点」へと進化を続けています。市民活動団体への支援や、大学との連携事業、地域の文化振興に貢献する講座の開催など、その活動は多岐にわたります。 ビジネス支援や福祉関連の情報提供など、市民が抱える課題解決をサポートする役割も担っており、まさに「まちづくりの中核施設」として、富士市の未来に貢献しています。
基本情報:開館時間・アクセス
富士市立図書館の主な館の基本情報は以下の通りです。図書整理日や年末年始など、臨時休館する場合があるため、訪れる前には富士市立図書館公式サイトで最新のカレンダーをご確認ください。
富士市立中央図書館
- 所在地: 富士市永田北町3-7
- 開館時間:
- 平日: 9:00~19:00
- 土日・祝日: 9:00~17:00
- 休館日: 月曜日(祝日の場合は開館し翌平日休館)、第4金曜日、年末年始、特別整理期間
- 駐車場: あり
富士市立西図書館
- 所在地: 富士市富士町20-1(富士市交流プラザ内)
- 開館時間:
- 平日: 9:00~19:00
- 土日・祝日: 9:00~17:00
- 休館日: 月曜日(祝日の場合は開館し翌平日休館)、第2金曜日、年末年始、特別整理期間
- 駐車場: あり(有料、図書館利用で割引あり)
この記事を通じて、富士市立図書館が持つ多様な魅力と可能性を感じていただけたでしょうか。読書はもちろん、学習、ビジネス、子育て支援、そして地域文化との出会いの場として、ぜひ一度足を運んでみてください。きっとあなたの知的好奇心を満たす新たな発見があるはずです。
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